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桐原 尚之「法的能力と支援された意思決定の議論における障害者運動の課題」

障害学会第6回大会・報告要旨 於:立命館大学
20090927


◆報告要旨
 桐原 尚之(全国[精神病]者集団・(協)プランニングネットワーク東北客員研究員)
 「法的能力と支援された意思決定の議論における障害者運動の課題」

  障害者権利条約の第12条では、「すべての障害のある人の法的能力を平等に認め、その法的能力の行使に必要な支援を受けることができる」としている。精神保健福祉士指定科目である精神保健福祉論にも、「障害者が法的能力を行使する場合に必要な支援にアクセスできるための措置を国に義務付け、すなわち「支援を受けて自己決定を行う」という概念が盛り込まれた。」と法的能力の平等と支援された意思決定についてふれている。この支援された意思決定は、インクルージョン・ヨーロッパやインクルージョン・インターナショナルで決議されたことにより、我が国でも幅広く知られるようになった。ところが、支援された意思決定の実践例について、日本語のものは今のところ見つけることができない。更には、支援された意思決定に関する文献そのものも、異常なまでに少ないように思う。
  また、障害者権利条約が批准されれば、意思能力や行為能力を制限する成年後見制度や、刑事責任能力による心神喪失抗弁にも影響することが予測される。それらへの対策や議論が障害者団体間でも不十分且つ希薄である。そこで、法的能力と支援された意思決定に関する諸文献をまとめ、障害者団体が取り組むべき課題を示す。
  国内での法的能力議論は主に権利能力と行為能力について民法を基盤に行っているが、国際的には刑事責任能力も含まれ、今後の課題としていかに包括するかが1つめの課題として挙げられる。
  民事に関しては、成年後見制度などの意思能力及び行為能力の制限が行われているが、依然として、「成年後見制度=権利擁護」との見方が強く、全日本手をつなぐ育成会刊行の「わかりやすい障害者の権利条約―知的障害のある人の権利のために―」でも、12条2項の解説では、「後見人や補佐人、補助人が、私たちの権利や利益、思っていること、選んだことを大切にするようにします。後見人や保佐人、補助人が、私たちの必要に合わせて支援するようにします。裁判所が定期的(決められた時)に、後見人や保佐人、補助人をチェックするようにします。」としている。これらに対してどのように取り組むかが2つめの課題として挙げられる。
 また、成年後見制度の代替策として、法的能力の制限を伴わない支援された意思決定により、自己決定の支援を行う。自己決定の社会モデルに基づき、自己決定の制限は社会によるものとして、個人の能力に還元させない。また、この法的能力の具体的な例を上げる。課題としては、国内での議論不足と調査・研究不足である。
  障害者権利条約が批准される可能性を踏まえて、12条の議論を始めなければならない。
*作成:
UP:20090906 REV:
全文掲載  ◇障害学会第6回大会  ◇障害学会第6回大会・報告要旨

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