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青木 慎太朗・安田 真之「視覚障害大学院生の研究支援における課題――立命館大学大学院における「視覚系パソコン講座」から見えてきたもの」

障害学会第6回大会・報告要旨 於:立命館大学
20090927


◆報告要旨
 青木 慎太朗安田 真之 (立命館大学大学院先端総合学術研究科)
 「視覚障害大学院生の研究支援における課題――立命館大学大学院における「視覚系パソコン講座」から見えてきたもの」

  2009年4月、立命館大学大学院先端総合学術研究科(以下、先端研と記す)は3名の視覚障害のある新入生を迎えることとなった。先端研では主に新入生を対象として、(1)パソコンを用いた情報の収集、(2)プレゼンテーションをはじめとした研究発表、(3)ホームページを通した情報発信について、それぞれ基礎知識と技術の習得をめざした「ディジタルデザインT」という科目が開講されている。3名の新入生はともにこの「ディジタルデザインT」の受講を希望したが、スクリーンリーダーを用いて全てキーボードで操作するといった視覚障害者特有のパソコン操作方法に担当者が対応できなかったことから、報告者の青木が急遽対応し、「視覚系パソコン講座」(以下、講座と記す)が開講されることとなった。
  講座では当初、「ディジタルデザインT」の科目のねらいに準拠し、情報の収集(ネット検索や文献検索など)、ゼミや学会での発表の準備、情報公開としての自己紹介ファイル(HTML形式)の作成に取り組む予定であった。しかし、HTMLファイルを独力で作成できる人もいれば、メールの送受信が不安な人もいるというように、受講者の間でパソコンのスキルに相当な開きがあり、事実上個別対応せざるを得ない状況となった。さらに講座では、パソコンの操作方法にとどまらず、録音図書を再生するための機器や点字電子手帳の操作方法、大学院施設の利用方法といった、視覚障害大学院生が大学院における研究活動を行ううえで不可欠である事項を幅広く取り上げることとなった。
  本報告では、講座の実施を通して明らかになった、視覚障害大学院生支援における個別対応の重要性、研究環境確立のための諸支援の必要性等の諸課題を整理する。そのうえで、他大学における視覚障害学生の個別ニーズへの対応の取り組みの状況を踏まえて、それら諸課題への対応のあり方について考察する。


◆報告原稿(ポスターに記載したものに同じ)

タイトル:視覚障害大学院生の研究支援における課題
サブタイトル:立命館大学大学院における「視覚系パソコン講座」から見えてきたもの

●背景と概要

1.背景
  2009年4月、3名の視覚障害者が立命館大学大学院先端総合学術研究科(以下、先端研)に入学。「ディジタルデザインT」(情報教育の基礎講座)の受講を希望。
 音声によるパソコン操作で提供する必要があるが、通常のクラスでは対応できない。
 「視覚系パソコン講座」の開設。(「ディジタルデザインT」振替受講)

2.概要
  1.4月11日(土) 無線LANの設定など
  2.4月25日(土) 研究施設の使い方の説明など
  3.5月 9日(土) 点字電子手帳とパソコンとの接続、データの移行方法など説明
  4.6月 6日(土) 研究計画書の作成・他
  5.6月27日(土) 録音図書再生機(PTP1)でのテキストデータ再生・他
  6.7月 4日(土) 学会報告用ポスター作成
  7.7月11日(土) HTMLファイルの説明
  8.7月18日(土) データ移行の方法他(主に復習)

●考察と課題

 1.使っている機器が3人とも異なるため、三人三様の対応が必要となった。
 2.一方的に「教える」「教えてもらう」ではなく、実際には参加者どうしで教えあう場面が多数見られた。 → 普段から使い慣れている環境であれば、その人が教えた方がわかりやすいことが多い。
 3.IT環境のみならず、研究設備等を利用する上での支援が必要となったが(上記朱下線部)、現状では他に対応できるものがなく、パソコン講座の中で対応することとなった。 → アシスタントの配置等、別途検討を要する。
 4.プレゼンテーション等には対応できなかった。 → スライドのように「聴衆に見せるもの」は自分自身で作成するには限界があり、支援者の確保が有効である。(支援者に指示できるスキルは要る)

  青木慎太朗(立命館大学大学院先端総合学術研究科) http://www.arsvi.com/w/as01.htm
  安田真之(立命館大学大学院先端総合学術研究科) http://www.arsvi.com/w/ym12.htm


*作成:青木 慎太朗
UP: 20090905 REV:20090921
全文掲載  ◇障害学会第6回大会  ◇障害学会第6回大会・報告要旨

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