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要望書「ノーマライゼーションの理念に基づいた聴覚障害者サービスの要望」

WITH2009 実行委員会 20090828


下記は、聴覚障害のある若者たちがつくって、8月28日に厚生労働省との交渉に使った要望書の本文です。「PCテイク」は、PC文字通訳のことです。
このメールの文末に、交渉の報告記事URLがあります。

要望書本文

厚生労働大臣
舛添要一殿

WITH2009 実行委員会 一同

ノーマライゼーションの理念に基づいた聴覚障害者サービスの要望

 今日、ノーマライゼーションの考え方が行政に浸透し、福祉計画の中で「ノーマライゼーション」という単語が出てきます。「ノーマライゼーション」とは、障害者と健常者が特別に区別されることなく、共に社会を構成していこうという理念です。しかしながら聴覚障害者の視点で見た場合、その理念に基づいた福祉政策が実施されていると言えません。
 例えば、情報保障のサービスを利用したい場合、A市は障害者ノーマライゼーションのある街と謳っているのに冠婚葬祭へは親族に対してしか、手話通訳士や要約筆記の派遣が認められていません。一方、B市での冠婚葬祭は親族であるなし関係なく派遣されるのです。聴覚障害者のノーマライゼーションの実態は地域格差が生じています。B市ではノーマライゼーションが遵守されています。ノーマライゼーションは家族との関わりだけで生きていく人生ではなく、友人、会社との関わりもある人生が本当のノーマライゼーシ
ョンです。
 コミュニケーション支援事業は「ニーズがない」ことを理由に、使いやすい内容に改善されません。ニーズが出てこないのは、わからない事があっても「口話が読み取れない自分の責任」「耳が聞こえない自分の責任」と我慢しているためです。
 そもそも「ニーズ=主張すること」はコミュニケーションの保障があって初めて、できるようになるのです。コミュニケーション支援事業の改善をしないために、いつまでもニーズが潜在化させられているのです。「わからない」は個人の責任ではありません。社会の責任でコミュニケーション支援事業による保障が必要です。
以下、コミュニケーション支援事業の改善の具体的要望を記します。



1.コミュニケーション支援の実施内容や利用条件を全国的に統一してください。
 コミュニケーション支援の実施主体が市町村となっているため、市町村によって実施内容や利用条件の格差が生じています。全国的に統一してください。現在のコミュニケーション支援事業は地域生活支援事業です。そうではなく、介助サービスと同様に個別給付とし、国が責任を持って実施してください。

2.コミュニケーション支援の利用制限を解消してください。
 現在、市町村によって以下のような利用制限があります。「冠婚葬祭での派遣は親族に限る」「就職の面談に限る」「病院内での診療に限る」「単発の講座や面談に限る」「一定地域に限る」といった制限をなくしてください。ノーマライゼーションの理念を持つ場合、このような発想は出てきません。障害者手帳の有無に関わらず、必要とする聴覚障害者に対して、いつ、どこでも(趣味や教養、プライベートも含めて)何回でも情報保障をつけられる必要があるからです。
 そうでなければ、聴覚障害者は情報を得られず、形だけの出席、参加になってしまいます。派遣対象者(手帳の有無で決めること)、派遣先、派遣内容、派遣回数の制限をなくすようにお願いします。

3.主催者負担は一切なくし、行政が負担してください。
 主催者負担になると、講演会やイベントに参加したくても「少数の聴覚障害者のために予算を作ることはできません」と言われてしまいます。聴覚障害者の社会参加の機会を奪われ、社会の構成員としての自覚を持てないまま社会生活を送ることになります。ノーマライゼーションではありません。行政が全額負担する仕組みにしてください。

4.生活・教育・仕事の制度を一元化してください。
 現行のコミュニケーション支援の対象は、生活の場面だけです。学校と会社でも通訳は必要でありますが、これも主催者負担と似た仕組みになっており、学校も会社も「予算がない」ことを理由に、通訳者を加えません。結果、形だけの受講・会議出席となっています。ただ、座っているだけです。ここでも聴覚障害者の社会参加の機会を奪われ、社会の構成員としての自覚を持てなくなっています。ノーマライゼーションではありません。コミュニケーション支援の対象を生活だけでなく、教育・仕事まで範囲を拡大し、行政が全額負担する仕組みにしてください。

5.コミュニケーション支援事業にPCテイクを加えて表記してください。
 地域生活支援事業実施要綱にある「2 事業内容」と「3 対象者」の中にPCテイクを加えて、PCテイクの派遣を認めて下さい。


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2009年8月28日の交渉の報告が、ブログに掲載されています。
http://chokakucenter.blog38.fc2.com/blog-entry-77.html

*作成:
UP:20090914 REV:
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