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「視覚障害者の保育士採用試験の受験及び採用に関する報道内容に対する公開質問書の提出について」

DPI日本会議 2009/07/19


臼井です。
標題の、全盲の保育士を大阪市が門前払いしている問題について、ODF準備会という、JDFの大阪版の組織でも、これは問題だという声が上がっていて、今年の試験に間にあうよう取り組みを検討していると聞いています。

下のURLは、大阪市公式サイト上の「平成21年度試験の予定」ページです。保育士試験は、8月28日に要綱発表、10月18日に一次試験、最終合格発表が12月下旬。今は、要綱と試験のありかたが決まる時期です。
http://www.city.osaka.lg.jp/kansajinji/page/0000002797.html

DPI日本会議は17日に公開質問状を提出しました。
文書は下記、DPIブログ上にリンクがあります。このメールの本文、下のほうにも、文面を貼りつけます。
http://dpi.cocolog-nifty.com/website/demand/0907saiyoushiken_osaka.doc

障害者欠格条項をなくす会からも、できるだけ早く文書を出そうと、週末から急いで検討してきました。まもなく大阪市に送るところで、この件、また続報します。

ここから下は、DPIの公開質問状の文面です。

2009年7月17日

大阪市長
平松邦夫 様

特定非営利活動法人DPI日本会議
議長 三澤 了

連絡先 〒101-0054 東京都千代田区神田錦町3-11-8
武蔵野ビル5F DPI日本会議事務局 気付
Tel 03-5282-3730 Fax 03-5282-0017
E-mail: office@dpi-japan.org(@→@)


視覚障害者の保育士採用試験の受験及び採用に関する報道内容に対する公開質問書の提出について

私たちDPI(障害者インターナショナル)日本会議は、国連が認めた国際的な障害者団体の日本支部として1986年に設立(現在・加盟団体61団体)以降、障害者の人権と自立生活の確立を目指して活動を進めてきています。
そして現在、国連が定めた「障害者権利条約」の批准と国内履行や「障害者差別禁止法」の制定及び「障害者雇用促進法」「障害者自立支援法」、「バリアフリー法」等の見直しに取り組んできています。

しかし、去る、7月7日の毎日新聞に掲載された貴市の障害者雇用に関する報道記事は、私たち障害者団体や関係者が積み上げてきた取り組みや、時代及び社会的な流れを明確に否定する内容でした。
私たちは、報道された貴市の姿勢が事実であり、貴市としての公式な対応であれば、障害者権利条約の規定に逆行した動きであり、驚きとともに大きな「怒り」と「不信感」、「悲しみ」をもって受け止めざるを得ません。今回の報道にみられる貴市の障害者雇用に対する姿勢は、「バリアフリー」や「共生・共働」といった視点ではなく、その逆の「差別」と「偏見」と「排除」に基づく「選別主義」と言わざるを得ません。

つきましては、本書をもって、貴市の視覚障害者に対する保育士採用試験における対応をはじめとする下記の項目について質問しますので、誠意ある、敏速なご回答をお願い申し上げます。

なお、本文及び質問項目並びに貴市からの回答や対応については、当会議のホームページ・機関誌への掲載やメーリングリスト・ブログ等を活用して、関係者への周知・報告することを申し添えておきます。



1.7月7日に毎日新聞が報道した貴市の視覚障害者に対する保育士採用試験における対応の事実関係の詳細を教えてください。

2.「障害者権利条約」では、障害に基づく直接的及び間接的な差別に加えて、合理的配慮を提供しないことも差別として禁止しています。例えば点字や手話等を必要とする障害者に対してこれらを提供することは、合理的配慮にあたります。日本政府は同条約の批准に向けた準備を進めていますが、この条約の批准と国内履行について、賛否も含めた貴市としての見解を明らかにしてください。また、その理由も教えてください。

3.障害者雇用は、行政が民間に対して模範となって、積極的に推進するとともに、障害者に対する一方的な偏見の解消や障害者が必要とするバリアフリーな試験(会場・方法)や職場環境を提供しなければ障害者雇用は、進まないと私たちは、思っていますが、貴市の以下に関する見解を教えてください。
(1)障害者が採用試験を受験するために車いす使用者が必要とする環境や視覚障害者が必要とする点字および聴覚障害者が必要とする手話の必要性に対する貴市の認識とこれまでの具体的な対応を教えてください。
(2)採用された障害者が、障害のない人と同様に働くことができるためには、職場において障害者が必要とする配慮や環境の整備等が必要ですが、こうしたことの必要性や対応に関する貴市の認識とこれまでの具体的な対応を教えてください。

4.報道では、貴市は「一部の人を特別扱いできず、点字受験の導入は考えていない」と回答し、受験すらできない状態が続いていると伝えられています。視覚障害者に対する点字受験を「特別扱い」として拒否することは、「障害者権利条約」、「障害者基本法」、「障害者雇用促進法」の規定に反するものであると言わなければなりません。早急に貴市として、障害者の権利に対する正しい認識を確立され、適切な対応をされることが求められます。貴市の認識と今後の対応を教えてください。

以上

*作成:
UP: 20090725
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