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「ALS 家族介護の限界から介護の社会化へ」

第13回日本在宅ケア学会各術集会抄録
分科会3 パネルディスカッション
於:大阪府立大学中百舌鳥キャンパス 20090314-15
川口 有美子


ALS 家族介護の限界から介護の社会化へ

川口有美子
(特定非営利活動法人ALS/MNDサポートセンターさくら会)

1,問題提起
 近年、介護の長期化により家族介護者の高齢化が進む一一方、未婚家族の共依存や自立困難も目立つ。家族介護を期待できない患者は人工呼吸器を断念せざるをえない。家族と医師、地域社会が治療方針を決定してしまい、「もうしばらく生きたい」との本音が言えず、亡くなる者も少なくない。
 家族のQOLのための「介護の社会化」から、在宅療養を捉えなおす時期である。同居家族のQOLも向上しなければ、患者は治療を開始したことを後悔するようになる。患者は家族の幸福を生きがいにしている。「家族の余裕」はもっとも有効な緩和ケアである。
 2000年に介護保険制度が始まり、支援費制度が始まった2003年以降は市町村の税の分配が引き合いに出され、個人への給付が出し渋られるようになった。保健所や福祉事務所やケアマネが制度のゲートキーパーになり、事業者は単価の安い重度訪問介護を提供したがらない。介護保険の自己負担が高額なので介護保険が使いきれず、結果として自立支援法の「見守り介護」の利用に手が届かない。一家に所得なく貯金を切り崩して細々と生活している。これでは、ますます家族介護になってしまう。家族の不幸を見た医者は、患者と家族を天秤にかけて、「どちらを助けるか」を起点に病気の説明をしている。

2,解決へ向けて
 希少難病のニーズを地方政治に訴え、社会の仕組みを変えるのは患者家族の役目である。しかし、当事者性に目覚める者は少ない。当事者の働きかけがなければ制度は伸びない。自治体任せでは地域間格差は拡大する一方だが、たったひとりの当事者が地域福祉を変えることもある。
 医師・看護師は非専門職に必要なケアを教え、ヘルパー養成を手伝い、患者会を支援するだけで社会は変わる。当方では2003年から「進化する介護」ヘルパー養成研修事業で医療的ケアを教え、ALSのパーソナルアシスタントを地域住民の中から育ててきた。地域の雇用対策にも貢献してきた。

3,医療と福祉の連携強化のために
 地域に医療基盤があってこそ、非専門職も安心して医療的ケアができる。長時間滞在型訪問看護はもっとも必要な制度である。また病院と診療所の連携により、短期レスバイトや在宅移行がスムーズになる。地域ケアにかかわる人びとが地方政治に訴え、必要なサービスを必要なだけ使える療養の仕組みを整えるとよい。

*作成:岡田 清鷹
UP: 20090317 REV:
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