産科医療補償制度施行に関する抗議声明
優生思想に基づく「産科医療補償制度」に抗議する障害当事者全国連合
2009/01/07
2009年1月7日
産科医療補償制度施行に関する抗議声明
優生思想に基づく「産科医療補償制度」に抗議する障害当事者全国連合
産科医療補償制度施行に関する抗議声明(MS Word版)
今年1月1日から産科医療補償制度が施行されましたが、私たち障害当事者団体として大きな怒りをもって強く抗議し、今後、障害者の生存権を保障することを前提とした産科医療についての抜本改革に向けた協議の継続を強く求めます。
なぜ脳性マヒだけを、「産科医療補償制度」の対象とされるのか、医療ミスに対する裁判件数を減らすためなら、脳性マヒだけに限定することは、その効果はあまり期待できません。また、この制度を実施しても、医療ミスに憤慨する家族がその責任を問うために裁判を行わない保障はどこにもありません。
2005年の内閣府の世論調査で、国民の80%が障害者差別の存在を認識し、若年層ほど障害者差別認識率が高くなる傾向が明らかになっています。その上で、脳性マヒを名指して補償するこの制度を実施することは、社会に対して、また妊婦の家族に対して、脳性マヒに対する恐怖感や差別感を植え付けさせ、増幅させることに他なりません。
1970年代、親による障害児殺し、あるいは無理心中が多くなされ、社会問題となりましたが、殺された障害児者の多くが、とりもなおさず脳性マヒだったことを私たちは忘れるわけにはいきません。脳性マヒはこれまでずっと社会のお荷物とされてきたのです。
現在でも親に殺されかけたり、またはそう考えたことがあると親から聞かされたという脳性マヒ者は多くいます。このことは、いかに親たちが障害や脳性マヒをもって生きる人生に対する絶望感を持っているかを表しており、また、無意識に私たち脳性マヒ児者の生きる権利を無視しているかが伺えます。
私たちも深刻な状況にある産科医療の改革の必要性については早急に行わなければならないとする立場にたちます。本質的には医療費の抑制という国の基本政策が今の状況を招いており、財源を大きく投入させ、医療と福祉の再構築が求められています。
私たち障害当事者を抜きに実施した「産科医療補償制度」に強く抗議致します。
【連絡先】 障害者の生活保障を要求する連絡会議
東京都千代田区神田錦町3−11−8 武蔵野ビル5階
TEL 03−5282−0016 FAX 03−5282−0017