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産科医療補償制度への異議申し立て

DPI女性障害者ネットワーク
2008年12月10日
産科医療補償についての厚生労働省との交渉



 私たちは、来年の1月から実施にうつされる予定の産科医療補償制度に、以下の点から、異議を申し立てます。

・産科医療補償制度は、産科医療の崩壊を食い止める手立てとして、本当に必要なことを考えて作られた制度であるとは思えません。産科医療の崩壊は、大きな社会問題だと思います。しかし、この制度が、産科医療の崩壊を食い止める手立てとなるとは思えません。現在の医療崩壊を食い止めるには、もっと本質的な医療制度の立て直しとそのための社会保障が必要だと考えます。

・産科医療補償制度は、脳性麻痺が生まれることをマイナスだと決めつけている制度だと思います。障害児が生まれる可能性がある、ということをリスク、不安として、妊婦等におわせる制度では、誰もが安心して暮らせる社会は作れません。

・脳性麻痺の人が生きにくいのは、脳性麻痺だと生きにくい社会だからです。介助保障制度も不備、所得保障も不備、社会環境はバリアフル!!です。そうした社会環境の不備を変えていくことにこそ、国はお金を投入すべきです。

・産科医療補償制度は、経済的保障や社会保障が必要な人すべてに、必要な社会保障としてお金を出すという制度ではありません。それは、先天性や遺伝性の人については、お金は出さない、といった理由が不明な規定をみても明らかです。本来は、必要な人、すべてに、必要な社会保障を提供すべきです。

・この制度は、障害当事者の視点抜きにつくられています。そして、審議の過程が短く国会での審議も経ていないことは大きな問題です。

・産科医療補償制度は、厚労省が立ち上げたのにも関わらず、『財団法人日本医療機能評価機構』が運営して、民間損害保険会社6社の商品を使う仕組みで運用されるようです。そのため、国会での審議を経ることもなく、制度の運用がきまりました。さらに、お金の流れも不透明です。年間の分娩数が約100万件とすると、300億円が保険掛け金として損保会社に集まると考えられていますが、厚労省の試算では、その内補償金として支払われるのは240億円で、残る60億円は、どうなるのでしょうか。非常に不透明です。

私たちは、障害がある女性も含む女性たちが、安心して、障害がある子どもも含めた、子どもを産める医療環境、社会環境、そして、子どもを持たない人の人生も等しく尊重される社会を求めます。障害児が生まれる可能性があるということを、過大な「不安」として、女性におわせ、産科医療崩壊に対する根本的な解決を先送りするこの制度は中止し、根本から議論をやり直してください。


*作成:近藤 宏
UP: 20081209 REV:20081210
産科医療補償についての厚生労働省との交渉  ◇脳性麻痺/脳性マヒ/脳性まひ(Cerebral Palsy)  ◇全文掲載
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