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「産科医療補償制度」の再検討を求める意見書

日本障害者協議会(JD) 20081202
産科医療補償についての厚生労働省との交渉


■意見書

2008年12月2日
厚生労働大臣 舛添 要一 様

「産科医療補償制度」の再検討を求める意見書
代表 勝又 和夫



2009 年1 月1 日から、「産科医療補償制度」の導入に向けた検討が続けられています。日本障害者協議会(JD)は、この制度を施行するには、多くの問題があると考えており、再検討を求める次第です。

この制度は、分娩が原因で発症した脳性まひ児に対しては、総額3000 万円の補償が支給されます。
まずこの制度の成立過程が、立法府での審議もないままに進められたことにも疑問を抱きます。このような経過からは、この制度が産科医療機関や分娩機関の被訴訟リスクを回避するためのものではないか、と捉えることができます。そして何よりも、脳性マヒの障害をもつ当事者の中には、「脳性マヒが生まれてはいけないのか」という見方でこの制度を見ている人も決して少なくないということです。もっとオープンに論議されて然るべき課題だと私たちは認識しています。脳性まひがある人の生きることの厳しさや、脳性まひ児を育てる家族の負担の大きさは、原因によって変わるものではありません。「障害」があることへの支援は、原因によるのではなくニーズに応じて提供されるべきだというのが、JD の一貫した主張です。

この補償制度の保険システムにも納得できない点が数多くあります。「産科医療補償責任保険」は分娩機関が加入する保険でありながら、出産育児一時金から3万円を、出産する本人の承諾も得ずに病院等に支払い、掛け金とする制度設計となっています。さらに、公的医療保険から支出される一時金を、民間の損害保険会社が運用することや、日本医療機能評価機構が制度を運営することにも疑問が生じます。
産科医不足などの厳しい現実を少しでも改善していく必要性はありますが、他の施策からの追求が求められます。
「障害観」への誤解を招きかねず、国の責任も棚上げするかに見えるこの制度を、きちんとした議論を経ずして施行をしようとする政府の姿勢に大きな疑問を持たざるを得ません。

1、2009 年1 月1 日施行予定の「産科医療補償制度」は、施行を見合わせ、障害関係団体 と充分な協議を行い、再検討をすること。
以上

*作成:近藤 宏
UP: 20081208 REV:20081210
産科医療補償についての厚生労働省との交渉  ◇脳性麻痺/脳性マヒ/脳性まひ(Cerebral Palsy)  ◇全文掲載
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