歴史社会学研究会 第2回研究会報告レジュメ
小渕 高志, 「社会政策の歴史社会学――明治期から1980年代に焦点を当てて――(その1)」
『保健福祉学研究』4:11-25,20060331(ISSN 13484567) , 東北文化学園大学.
小渕 高志, 「社会政策の歴史社会学――明治期から1980年代に焦点を当てて――(その2)」
『保健福祉学研究』5:1-15,20070000(ISSN 13484567), 東北文化学園大学.
角崎 洋平 2008/12/09
「社会政策の歴史社会学――明治期から1980年代に焦点を当てて」講読
先端総合学術研究科 公共領域1回生 角崎洋平
1、テキストについて
その1:2005発表、 問題設定・方法論、歴史記述(明治初年〜1910年代、1920年代)
その2:2007発表、 歴史記述
(1930年代〜終戦、〜1950年代、1960年代、1970年代〜1980年代)
その3:未発表、 総括・結論部、参考文献表
2、論点(主に、方法論について)
●「社会政策の歴史社会学」は歴史社会学か?
・○○政策の歴史社会学はあり得るのか?…少なくとも社会史とは関連しない
・社会政策の(○○)社会学はあり得るのか?、本稿は「社会学」の論文か?
社会学:「人間社会についての研究で、それらの社会の構造と発展について一般化することを重視するもの」(バーク)
→理論化傾向をもつもの
政策の社会学――@社会関係が政策過程にあたえる影響の考察
――A社会変動が政策過程にあたえる影響の考察
本稿の方法:Aの方法か…
社会政策の制度的展開を論述→社会変動との関連性を検討
→「戦前戦後を通じて変わらない日本的特質といったものがわが国の福祉国家の発展にどのような影響を与えたか」が明らかになる
BUT、本稿の主な対象は、社会変動でも社会関係でもなく、政策・制度そのものと、その背景事情について。
単なる「社会政策の歴史」とどう違うのか?
●歴史記述の恣意性について
・時代区分、記述のスタート時点は適切か
――「軍事救護法」の制定は1917年で、健康保険法よりさかのぼる。
「自立」支援、所得保障などの社会政策構想としては、1900年ごろの社会政策的金融機関構想が先
・捨象している歴史事実
書かれている社会関係(戦前):天皇=資本⇔労働者 →資本主義政策としての社会政策観より、幅広い社会関係の影響はなかったか?
方面委員制度(現民生委員)、社会事業法、、、
Cf:資本主義政策・戦争政策を隠ぺいする「恩恵」としての生存・救貧ではなく、「義務」としての生存
(冨江直子『救貧のなかの日本近代』)