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「性同一性障害「正規医療」におけるQOL向上を検討する(仮)」報告要旨

吉野 靫 20081108-09
  第1回クィア学会 於:広島修道大学


要旨

 近年、敢えて決定的な性別移行を行わず、一般には中途半端とされるような身体の状態を肯定的に捉え、二元化の圧力を超え出ていく性同一性障害(GID)当事者の存在が徐々に顕在化している。一方でGIDを巡って、当事者の性別を男/女へと二元的に振り分けようとする磁場が働き、法や社会制度が当事者の多様性を縮減することも指摘されている。
 当事者が身体を変えるためには何らかの形で医療が介在せざるを得ない。しかし、医療側と当事者側がそれぞれ想定する「GID医療」の内実には齟齬がある。望む身体の状態は個人によって振れ幅があるが、外科医療は二値的であり、最終的に「女/男」の身体に近似した状態に当事者を誘導していく側面がある。「正規医療」を提供している大学病院は5カ所あるが、その中心の目的であるQOL向上については詳らかでない。「正規医療」を受診した当事者への聞き取りを開始し、医療との距離を埋める実証的研究の足掛かりとしたい。(398字)


*作成:石田 智恵
UP:20080926 REV:
全文掲載  ◇トランスジェンダー/トランスセクシャル/性同一性障害/インターセックス
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