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要望書

射水市民病院問題から安楽死・尊厳死を考える連続学習会→富山地方検察庁 2008/07/25


要望書 MS Word版(30kb)

2008年7月25日
富山地方検察庁 検事正 新倉正 殿

  貴庁に於かれましては、法的正義の実現の為に日夜奮闘のことと存じます。

  私たち「射水市民病院問題から安楽死=尊厳死を考える連続学習会」は、2006年3月25日に発覚しました射水市民病院人工呼吸器外し事件(以下、射水事件)をきっかけに、安楽死や尊厳死のムード的な法制化を求める向きに抗い、射水事件の出来るだけの情報公開と、真相=深層の解明、を求める為に活動して来ました。同年11月には同病院と元外科部長に対して「公開質問状」を提出(実質回答なし)、昨年11月には大阪の人権団体の力を借りて富山県弁護士会へ人権救済申立を行ないました。

  昨日の各種報道に於いて、富山県警が元外科部長ら呼吸器外しを行なった2名の医師を殺人容疑で書類送検されたことを知りました。しかしながら、「富山地検は不起訴にする方向」という報道を聞き、法の原理に則り厳正に捜査すべきはずの検察が、世論の「命の軽視」「安楽な生死願望」ムードに左右されることになりはしないのか!と危機感を感じざるを得ませんでした。
  多くのマスコミ報道の基調は「遺族の処罰感情」を「罪の構成要件」より重視し、「医師の免責要件」の明確化の流れを作る方向に加担していると、私たちは判断して来ました。それに対して私たちは、先ず「安心して生きることが出来ること」「命の尊重」を基調とした法や社会制度の整備がなされる事(患者のセーフティネットの確立)抜きの議論の危険性を訴えて来ました。
  ナチス政権下での「安楽死」という名の障害者大量虐殺。未だに続く「障病老者殺し」や虐待に潜む、優生思想=「生きるに値する命」か否かの選別思想が未だにまかり通っている現実。そういう状態の下では「安心して生きること・医療を受けられること」を最優先する必要性があります。そういう条件不在下での、安楽死や尊厳死「延命治療中止」に関する論議は、前述の「負の歴史・現実」の上塗りにしかなりません。私たちには「射水」を初め多くの医師が、大事な医療の原点を見失っているとしか思えません(射水の麻野井院長の「最後までケアを出来なかったという負い目」を原点にした倫理の強調は深いものがあります)。

  富山地検に於かれましては、検察庁が果たすべきことは何なのか?という原点に立ち、「世論迎合」ではない法の原理を貫く番人として、射水事件の厳正なる捜査を進めるように、強く要望いたします。
 以上

射水市民病院問題から安楽死・尊厳死を考える連続学習会
(呼びかけ人:四十物和雄)
連絡先:930-0862 富山市有沢811市営住宅7-102 
TEL/FAX:076-422-0039  


UP:20080725
全文掲載  ◇安楽死・尊厳死 2008
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