A 介護用リフトの設置
介助者1人でベッドと車椅子間の移乗を行うのは困難であると考えられることから患者が外出を望む、あるいは外出が必要になった場合に介護用リフトは不可欠であると考えられる。
B 患者本人が物品を管理しやすい空間づくり
在宅独居の場合、どこに何が置かれているかということを本人が把握し管理しておく必要がある。よって特に患者が全面介助状態にある場合ベッド上から確認できるようにするなどの工夫をすることが望ましい。
C 予備の必要物品を収納できるスペース
介助体制の整備が大きく関係するが、必要な物品が不足した状況下にあった場合、患者を置いて介助者だけが外出することは実質的に困難であるため、予備の必要物品を置くスペースを確保することが望ましい。
D 患者が私的な時間を持つことに対する空間的配慮
24時間介助が必要な状態にあるということは、患者にとっては常に他人と過ごしている状況下にあるということでもある。よって患者自身の性格にも大きく関係することであるが、患者が私的な時間を持ちながらも、介助者と互いに気配を感じられ見守り介助を可能にする空間づくりが必要になり得る場合があると思われる。
これらはALSが24時間つききりの他人介護を要する病状であるほか、介助者の確保が困難であるという社会的背景から考慮したものである。
療養室の照明環境に関しては患者4名とも天井照明を眩しく感じており、療養室内の照明を使用しない例(P3、P4)も見られた。また医療福祉機器類や家電製品等の増加することから、ベッド周辺には多数のコンセントが必要である。療養室内のコンセントの不足から延長コードを用いて隣室から電源を取っている例(P1,P4)もあった。また3例(P1,P3,P4)で、介護用リフトの導入がベッド配置の決定要因のひとつになっていたことから、利用する福祉器具のサイズを含めて療養室を考慮しなければならないことが示唆される。そのほか介助者からは排泄介助に伴う、衛生面における水回りの分離も挙げられた。