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精神障害者にとっての障害学

桐原 尚之  20070916-17
障害学会第4回大会 於:立命館大学

last update: 20151224

  *MS Word版
  *このファイル(HTML版)ではMS Word版にある図表は略されています。

  「あなたは今日から精神病です」と精神科医にレッテルを貼られたときに、多くの人は何がなんだかわからないと思う。
  初診日から長い時間がたち、いつか告げられる精神病の医学的原理に、納得できるような、できないような妙な気分に襲われる。その後、ホームページや医学書で精神医学を学ぼうとする。
  はたしてこれが本当のことなのか、それを疑問に思う。そして、仲間と出会う中、多様性を学び、仕事をしている精神科通院経験者の大半は、障害の社会モデルに関する概念をなんとなくどこかで感じ取ってきたと思う。

  精神科通院経験者を一括して「精神保健福祉コンシューマー」とし、以下コンシューマーとよぶ。
  コンシューマーには、それぞれの住む地域がありその地域には、高い壁が存在する。そして、交じり合いにくい。
  勝手ながら3つに分けさせてもらう。一つは企業社会にいるコンシューマーを「企業型」とし、病棟に監禁されたコンシューマーを「監禁型」、そして地域で活動するコンシューマーや社会復帰施設のサービスを利用するコンシューマーを「地域型」とする。

  企業型は、基本的に病気を隠す必要性がある。完全オープンにしても不利になることが多いからである。もちろん、オープンにしてもしっかりやっていっているコンシューマーもいるが、そこから地域型とネットワークを組むには、労働時間上時間が足りないことが多い。
  病棟に監禁されたコンシューマーは、閉鎖病棟にいれば、それだけで外とのネットワークを円滑につくることは困難であるのは誰が見ても解る。
  地域型は、そういう中で孤立してしまう。また、社会復帰施設を利用するコンシューマーは企業型を目指すが、監禁型には近づこうとしないこともある。企業型は活動するコンシューマーと相性が悪いこともある。


  そんな中、活動するコンシューマーは障害の社会モデルの理論はわかっているものが多い。ところが、企業社会のコンシューマーもこの概念を肌で感じているものが、大多数存在した。むしろ、社会復帰施設にいるコンシューマーが最もこの概念に理解がない者の数が多いと思われる。入院中のコンシューマーもわかっている者の存在ははっきり把握できていないが少ないと思われる。

  ここでいえるのは、専門家の介入や洗脳こそが、障害の社会モデルの概念をコンシューマーから取り除く原因と思われる。
  専門職の言うことを聞いていると、実はなかなか自分の未来は明るくならない。逆に、専門職に依存せずに逆切れして去っていったコンシューマーはいつの間にか、しっかりやっていたりする。

  つまり、コンシューマーにとっては障害の社会モデルとは「当たり前」な考え方であり、殆どの者が、どこかで感じているわけである。
(2007年ブログ調査 2006年〜2007年2ちゃんねる調査)

  まず、障害の社会モデルを説明する。
  まずは、ディスアビリティが存在し、個人のインペアメントが対応できなくなり、コピーイング戦略を生み出す。コピーイング戦略とは、いわば防衛反応であり、幻聴や幻覚、妄想、躁鬱、自殺企図、依存と言った症状と言われるものである。その後、精神医療で向精神薬という有毒支援で二次的な障害を併発してしまうといったものである。
  そこからリカバリーするには、ディスアビリティとインペアメントの不一致点を考えていくことと二次障害から脱出することにある。自分にとっての悩みとはなにかを探ることで根本的悩みの解決を可能とする。二次障害からの脱出は、ピープルファーストの概念で自分はまず人間であり、全て自分のことは自分で決めることができる自由と希望と未来と、それを応援する仲間がることにある。


  この障害の社会モデルがどこかで感じている場合は、少なくとも二次障害は回避でき、場合によっては根本的な悩みを考え直すところに至っている者もいる。
  また、社会と個人には表裏一体性があり、社会がわかると自分がわかる面もある。そういった形で、障害学は個人のリカバリーを支援する重要な役割があると考える。

  精神障害者に関しては、障害学の普及を、精神障害者組織への普及ではなく、精神障害者個人への普及として取り組みたいと考えている。


UP:20070808 REV:0821
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