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「精神障害者の退院支援施設の実施に関する緊急要望書」

福岡県精神障害者連絡会・他 2007/06/25

last update: 20151224


精神障害者の退院支援施設の実施に関する緊急要望書

福岡県精神障害者連絡会・他 20070625

2007年6月25日
福岡県知事 麻生 渡様

<公証印省略>
提出団体名 福岡県精神障害者連絡会
熊本県精神障害者団体連合会
鹿児島県神障害者団体連合会
沖縄県精神障害者団体連合会
佐賀県 ユートピアサガンス
長崎県 パラダイスハウス   
共同団体名 NPO法人全国精神障害者ネットワーク協議会
賛同団体 福岡県脊髄損傷者連合会 
福岡自立生活協議会
自立生活センター福岡

精神障害者の退院支援施設の実施に関する緊急要望書の提出について

日頃から障害者の地域生活の推進にご尽力頂いていることに厚くお礼申し上げま
す。
 さて、障害保健福祉施策は、障害者自立支援法の施行により大きな混乱が生じ
ているところですが、その施策の方向性は、障害者が「施設や病院ではなく地域
生活の実現」を図ることと、そのために必要な「基盤整備の推進」が共通で重要
な課題となっています。
 しかし、厚生労働省が今年4月から実施した精神障害者の退院支援施設につい
ては、その共通で重要な課題を解決するためには、不十分であるだけでなく逆行
するものと思われます。
 つきましては、下記のとおり私たちの見解と要望項目をお知らせいたしますの
で、精神障害者の「社会的入院を解消」し「地域生活の実現を推進」するために
福岡県と意見交換を実施したく本書をもって依頼いたします。
 ご多忙な時期に誠に恐縮ですが、よろしくお願い申し上げます。

(記)

1.福岡県としての見解について
  私たちは、審議会等での議論も踏むことなく厚生労働省が突然示した退院支
援施設については、以下の(1)から(4)の理由により、精神障害者の「社会
的入院の解消」を図るためには、不的確な事業内容であり、「名目だけの入院患
者波」と「医療費の福祉予算への転嫁」を図るだけで、将来に大きな禍根を残す
事業になると懸念しています。
  つきましては、私たちの見解を以下のとおり示しますので、福岡県としての
見解を示していただけますようお願いいたします。

(1) 「地域移行推進協議会」の構成や人選について
厚生労働省は、「地域移行推進協議会を設置することにより退院支援施設の評価
と施設利用者の地域移行を図る。」と説明していますが、協議会の構成委員は、
退院支援施設設置者が人選・任命及び運営するものであり、その必須配置者も示
されていません、
私たちは、こうした設置者主導及び主体で設置し、構成する委員も曖昧な協議会
が第三者的な機能を発揮することはできないと考えますが、福岡県としてどのよ
うに考えますか。
(2) 病院からの独立性の確保について
厚生労働省は、「退院支援施設は、原則として病棟単位(フロアー単位)で転換
するので独立性が保たれる。」と説明していますが、その後の確認では、「状況
に応じては、食堂や風呂等の共同利用を可能」とまで踏み込んだ見解を示してい
ます。
私たちは、こうした退院支援施設は、病院からの「独立性」ではなく「一体的運
営の維持」であると考えますが、福岡県としてどのように考えますか。
(3) 退院支援施設からの退所について
厚生労働省は、「退院支靉施設の標準利用期間は2〜3年。更新に当たっては、
審査会における審査を要件とする。」と説明していますが、併せて「退院支援施
設で訓練を受けていたが、体調不良で一時入院して、快復後に退院支後施設に戻
った場合は、新規利用として扱う。」と説明しています、
私たちは、こうした状況は原則的に新規ではなく更新であり、これでは、病院と
退院支援施設間の往復を助長すると危惧しますが、福岡県としてどのように考え
ますか。
(4) 「退院支援施政入所者」と「精神障がい者の地域生活への移行目標値」
について
厚生労働省は、昨年9月には、退院支援施設入所者を「地域生活移行の途上にあ
る者ということになり、統計上の処理については、検討する。」と説明していま
したが、現在は、「退院支援施設は、医療からはずれることになるので精神科病
床入院患者数は減る。(社会的入院解消の前進)」と回答しています。
   福岡県は、「福岡県障がい福祉計画」で「【入院中の退院可能の精神障
がい者の地域生活への移行目標】として平成23年度末までに1,600人 注1を目標
値」としていますが、この目標値の人数に退院支援施設の利用者を含めることに
ついてどのように考えますか。
(注1 )
【九州圏内 目標数値】平成19年6月現在
    福岡県 1,600人、佐賀県 333人、長崎県 1,539人、熊本県625人、大
分県652人、
宮崎県1,005人、鹿児島県 691人、沖縄県600人、(各県平成20年度見直し予定)
2.私たちの要望について
   私たちは、精神障害者施策で重要なことは、その「社会的入院の解消」に
併せて精神障害者が「地域生活への移行を実現」できるために必要なサービス基
盤の整備と、未だに存在する「差別」と「偏見」の解消であると思っています。
こうした課題を解決するために不要な施策と必要な施策に関する、私たちの見解
を示しますので福岡県としての見解を示していただけますようお願いいたします

   なお、本要望書提出団体は、以下の施策推進に協力するものです。
(1)退院支援施設の取扱いについて
   上記1のとおり私たちは、退院支援施設については、精神障害者の社会的
入院を解消して地域移行を推進するための施策としては、極めて不適切なもので
あり、財政難の福岡県が負担すべき事業ではないと考え実施しないことを要望す
るとともに、福岡県としては、以下の
   (2)「地域生活基盤の整備について」の事業の実施及び充実を進めるこ
とを要望します。
(2) 地域生活基盤の整備について
 @ 社会的な入院を解消するために入院経験のある当事者及び当事者団体の構成
員をピアサポーターとしてその解消を図るために活用する。
 A 病院で退院支援メニューとしてピアサポーターの活用と併せて外出訓練・グ
ループホーム体験入居等の敷地外活動を実施する。
 B 精神障害者の地域生活移行のための支援施設及び精神障害者に刻する差別と
偏見を解消し「心のバリアフリー」を推進する拠点として、グループホーム、ケ
アホームの病院敷地外の設置を進め、地域住民と溶け込んで生活できるようにす
ること。
 C 退院促進を支える手立ての一つとして、セルフヘルプ活動に再評価と協議を
進め、当事者自らが地域生活維持や差別偏見の解消などのために活動する拠点と
して、「ピアサポートセンター」を設置すること。
 D グループホーム及びケアホーム等の設置に当たって生じる地域社会の差別と
偏見については、その問題を避けることなく福岡県民意識の向上を図るための課
題として福岡県の主管部局と当事者及び関係団体がその解消に向けた取り組みを
ともに進める。
 E 公営住宅の活用、民間アパートの保証人の確保など、住居の確保を進める。
 F 相談支援、権利擁護体制及び地域のネットワーク等を整備・充実し、地域生
活を実現し維持できるための支援体制を確立する。
 G 福岡県の単独事業である重度心身障害者医療費助成制度に精神障害者も含め
る。
 H 上記を含む在宅福祉サービスの推進に関する方針及び数値目標は、今年4月
に福岡県が作成した「福岡県障がい福祉計画」にも記載されているが、退院支援
施設は、記載されていない。
  福岡県としては、この計画に基づく精神障害者施策を進めること。

【担当者連絡先】 
・福岡県
〒820-0022福岡県飯塚市明星寺25-3-1544
tel 0948-25-8937
Eメール pia(アット)pia-net.net
・熊本県
〒862-0949熊本県熊本市国府3丁目12番40号
tel 096-364-9229
Eメール toku4444(アット)ybb.ne.jp
・佐賀県
〒842-0002 佐賀県神埼市神埼町田道ケ里1601番地13
tel 095-253-1506
Eメール peer-gon(アット)zenseinet.com
・長崎県
〒850-0000長崎県長崎市西海町1560
tel 095-884-0414
Eメール nagasakiparadaisuhoure(アット)yahoo.co.jp
・沖縄県
〒903-0804 沖縄県那覇市首里石嶺町4-301-17
tel 098-887-3437
Eメール mustacman(アット)yahoo.co.jp
・鹿児島県
〒891-0103鹿児島県鹿児島市皇徳寺台2丁目38番5号
tel 099-265-8878
Eメール miyaji4789(アット)w9.dion.ne.jp
【共同団体名連絡先】 
NPO法人全国精神障害者ネットワーク協議会
〒820-0022
福岡県飯塚市明星寺25-3-1544
tel 0948-25-8939
FAX 0948-25-8937
Eメール ymns(アット)zenseinet.com

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