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「差別と拘禁の医療観察法の廃止を! 11/19全国集会」に対する連帯アピール

富山「精神障害者」問題を考える会(世話人 四十物和雄) 2006/11
連絡先:〒930-0862 富山市有沢811市営住宅7-102
TEL/FAX 076−422−0039

last update: 20151224


  差別と拘禁の医療観察法の廃止を! 11/19全国集会に結集された全国の仲間に、富山「精神障害者」問題を考える会からの連帯と挨拶を送ります。

  「医療観察法」に続いて、遂に本格的な保安処分攻撃が出されてきているように思えます。7月下旬当時の杉浦法相が、「性犯罪者」「麻薬―覚せい剤使用犯罪者」に対して、保安処分を導入しよう、とする意図を明らかにしました。
  元々保安処分は「精神病者」に対してより、「再犯の恐れのあるとされる『精神病質者』『覚せい剤―麻薬依存者』」を照準にしたものでした。「精神病質」という概念の無根拠性が明らかにされ一旦は否定された筈なのに、「人格障害」なる訳の分からない概念と共に密かに現在再導入されてきています。特に「性的人格障害」(?)をターゲットにした今回の隔離=収容政策を目指す露骨な発言は、富山選出の長勢新法相(この人物は、民間の精神科病院から多大な献金や援助を受けてきた人物です)にも引き継がれているものと考えられます。
  この攻撃に対して、「精神障害者」は「怖くない」「犯罪率も低い」と、それ自体は正しいにせよ、「触法精神障害者」との連帯=強制の道を模索しようとして来なかった主張は、まさに再審に付されているものと考えなければなりません。「医療観察法」の適用状況に対する楽観論の台頭、法の保安処分性を曖昧化することは慎まなくてはならないと思います。「安心(セキュリテイ)」や「リスク(危険)」などが社会のキーワードとなっている今日、拡大適用、解釈改法への道が趨勢であることを自覚し、ともに闘っていきたいと思います。

  富山県での観察法の適用は、把握できている限りで9月現在2件ですが、北陸病院は満床です。医療観察法推進病院しか通院決定者を受け入れる体制が出来ていない状況のようです。
  「社会的入院解消」を口実とした病床削減(現実は医療費削減のためのもの)によって、「厄介者」扱いされる「患者」の「格下病院」への「たらい回し」や難民化――実はその対策用として「敷地内復帰施設」が存在するのだろうと思いますが――という重大切り捨て政策を厚生労働省は「自立支援法」の一環としてやろうとしています。このことに対して、全国の障害者、「病」者の怒りの闘いと連帯して、私たちも共に闘っていこうとしています。
  そのような中で「患者」の選別とたらい回し、というそれ自体許しがたい行為が、病院間の利害対立によるトラブルを引き起こしているようです。
  この醜悪なトラブルを交渉役のPSWに責任転化する事態が起こっています。私たちの会メンバーで民間病院へ勤めているPSW(県内の民間病院で本来の業務でPSWを雇っている所はほとんどない)に対する、「社会復帰の援助者」という役割を無視した職場内配置転換(=看護助手への)攻撃が行なわれました(本年9月)。この不当な攻撃に対して、労働者の権利の切り捨てと、PSWの「病院側の使い走り化=使い捨て化」に抗して、「この様なことがまかり通るならば、地域で『精神障害者』は生きてゆけない」として私たちは反撃を開始していることを報告しておきます。

  更に、「射水市民病院呼吸器取り外し事件」に注目していただきたいと思います。「取り外し」行為を行なった前外科部長の真意はイマイチ分かりませんが、この間の発言では、「脳死=死」という新たな「死の基準」化を前面に出して、これまでの安楽死=尊厳死条件(東海大殺人事件判決)からの大きな転換が為されようとしています。すなわち、このことは「耐えがたい肉体的苦痛の存在」と「患者の意思表示」という条件が無くとも安楽死=尊厳死が可能になる、ことを意味しています。文字通り、歴史的転換を孕んだ事態なのです。
  「脳死=死」という基準を大きな柱とする「臓器移植法」改定の国会審議入り状況(宇和島での病者臓器移植事件の発覚は、この流れを急速に強めています)とリンクされて安楽死=尊厳死法制化が前面に出てきていることに注意して欲しいと思います。
ナチスは、障害者に対する「事実上死んでいる存在」(ホッへ、20−30年代ドイツの精神科医)という見方を採用して、大量安楽死=虐殺という事件が起こしたことは周知の事と思います。論理的にはそれとほとんど変わらない新たな安楽死への転換である今回の基準が許されるならば、同様な事態がいつでも可能になるのです!(移植の場合と異なって脳死判定がなされずに、「脳死状態」なる医師の恣意的な見立てだけで、生命維持装置を外すことが可能になるかもしれないのです)この流れと、障老病者の隔離収容―「難民=棄民化」政策と結びつくならば、大変なことになります。今回の尊厳死法制化と臓器移植法改定は結びついているのです。「射水市民病院問題」はその突破口なのです。
この事に危機感を抱いた会の有志によって、射水市民病院と前外科部長宛への公開質問状を提出し、普通の人(障老病者を中心とした)が主体となった「公開の議論の場」を設定していかなければならないと決断しました(11,7)。回答は21日、それを受けた報告会を22日に行なう予定でいます。ぜひ注目していただきたいと思います。

  最後に、民衆間の分断、選別を今許すことはとんでもないことになる、という危機感を抱いて、共に生きる道を模索しながら闘っていきましょう。


UP:20061115 REV:
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