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あなた死になさいよ。

尊厳殺、ALSの未来予想図

橋本 操 2006/08

last update: 20151224

  今を生きるALSの人工呼吸器使用者は、そこそこ生きていけると思います。
  橋本みさおの課題は、呼吸器を付けたくとも付けられなくなる患者を、どのように支援するのか?だと考えています。
  尊厳死法案の時は、「人工呼吸器を外せない患者が可哀想」とか、「患者にも死ぬ権利はある」とか、いかにも優しげな、でも患者を見下した発言が多く見られました。
  尊厳死法案上程は、やんわりと「人工呼吸器外しなさいね。死は、お勧めですよ。今ならもれなく尊厳つきです。」のノリでした。
  しかしながら、その後の行政の施策を見ていると、嫌な予感満載です。
  まず次の介護保険見直しで、介護保障が削られそうですし、6年後の医療制度改革では医療保障も削りますね。
  つまりノド元に刃物を突きつけて、露骨に「死ね!」と言う時代になります。
  私は差別という言葉が嫌いです。同じALSなのに10年発病が遅れただけで、生きる権利(つまり未来の選択の自由)が奪われる現実が許せません。
  その現実に目を向けずに「私にも、死ぬ権利がある」という患者に、「だったら生きられない患者の生きる権利をなんとかして下さい。」と言いたい患者もいると思います。
  ただし、ALS人は無口で慎ましいので、何も反論をしません。
  そういう人々は、昔であれば弱者と呼ばれ社会が守ってきたのでは無いのか?
  私は、適当を極めて生きてきた。だから適当に死んでゆく。
  私は、今風の「尊厳死」という言葉に良い印象を持っていない。
  徳を積んだ高僧が、私のような民の来世のために、欲を絶ち祈りの中で命を消すイメージを捨てられずにいる。
  だから、私の死を尊厳死と呼ぶことだけは止めて欲しく、尊厳死法なんぞはとんでもないことである。


UP 20060814
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