表:尊厳死、緩和ケア、QOLなどの意味の混乱を整理した対応表。ケアモデル2が本来の難病ケアおよび緩和ケアモデルと考える。
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ケアモデル1 |
ケアモデル2 |
緩和ケアとは |
消極的安楽死。尊厳死を導く合法的ケア技術 |
オートノミーの回復。生きるためのケア。死は人間にとり避けられないが、早めもしない |
疾病観 |
病気は人間の尊厳を損なう |
病気は偶然性により起きる事象。それ自体は尊厳に影響しない |
価値観 |
人間の価値観は不変 |
人間の価値観は病態や関係性の中で変化する |
QOL |
QOLが低い状態で生きることは無駄 |
QOLは人間同士の関係性の中で決まる |
QOL尺度 |
人間としてふさわしい理想的QOL尺度がある |
QOL尺度は病態と関係性の中で決定される相対的尺度 |
尊厳 |
QOLが低いと人間の尊厳は失われる |
どんな病気、病態でも人間の尊厳は失われない |
死 |
努力すれば人は病気や死を免れ、尊厳の維持が可能。そうできない場合、死を自己決定することで尊厳を保てる |
死は人間にとり避けられない事象。死によって人は尊厳を保てない |
自己決定 |
自己決定には苦痛をともなうことがある |
自己決定のプロセスにより自分自身が成長し、幸せになれる |
自己決定内容の表示 |
リビングウイルを作成 |
インフォームドコンセントを通してAdvance
directives(事前指示書)を作成 |
病院 |
QOLが低く、高められない患者、アウトカムが評価できない患者の診療は病院の本来業務ではない |
どんな難病患者に対しても患者のオートノミーを守り育てる医療を行う。NBMの利用 |
限られた医療資源・総費用の分配モデル |
QOLが低く、高められない患者の診療は社会的負担が大。QOLに応じて医療費の再分配が必要 |
既存のQOL評価より医療費の再分配は不能。すべきできない |