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米国障害者法(ADA)の現状と課題:日本への教訓

田門 浩 2004/10/23
第41回障害学研究会関東部会 司会:森壮也


 *報告資料(PDF)

【発表要約】
生まれつきのろう者で、高校の時からインテグレーション。1995年に
司法試験に合格し、1998年弁護士登録をして活動してる。
昨年7ヶ月間アメリカに滞在し、ADAとろう者との関わりについて調
査した。調査期間は昨年の7月17日から今年の3月9日まで。滞在場所
はワシントンDCの隣のメリーランド州。
調査先は、ギャローデット大学(世界で唯一ろう者のみの教養系の大
学)、全米ろう者協会(アメリカで一番大きなろう者の団体)、司法
省、連邦通信委員会(ADAのタイトルWを管轄している)、全米障害
者評議会(ADAの基本となった案を作成した)など。
渡米する前、アメリカというのは比較的、差別を感じないでいられる
と思っていたが、実際、何か月か生活すると、聞いていた話とは違い
がかなりあった。たとえばスーパーでサンドイッチを買うときは、ほ
とんどオーダーメイドなので注文しなければならないのだが、店員に
筆談を申し入れてもスムーズに応じてもらえないという経験をした。
また、全米ろう者協会にアルバイトのような形で置いてもらっていた
が、ある会議に出席するときに主催者から通訳を用意してもらえず、
全米ろう者協会の方で用意してきてくれと言われた。ADA法をたてに
とってお願いし、最終的には2日ぐらい前になってやっと用意しても
らえた。

*タイトルVについて
ADA法は、タイトルで章立てがされてる。日本でいう、第1章、第2章
というのと同じ。T〜Xで分けられている。一番の成功例といえるタ
イトルVから説明する。次にうまくいっているのはU、一番課題が多
いのがタイトルT。
タイトルVは、不特定多数の方が利用する公共施設、それを運営する
民間団体に対してアクセス面で差別を禁止している。例えば、スロー
プがないことでその施設に実際にアクセスできないといった差別。
英語でいうとアコモデーションという言葉になるが、翻訳するのが難
しい。これが適用される施設はレストラン、小売店、私立学校や病
院、ホームレス救済施設、駅、バスターミナル、葬儀場、託児所、ス
タジアム、レクリエーション施設、鉄道、バスなどが含まれる。
ろう者の関係でいうと、効果的なコミュニケーションをするために必
要な場合は、聴覚障害者の補助機器や補助的サービスを用意しなけれ
ばいけないと定められている。これは視覚障害者も同じ。効果的コ
ミュニケーションとは何かを検討する必要がある。具体的な例。ADA
タイトルVの規定がある結果、病院についてはろう者の患者が行った
場合、手話通訳など、効果的コミュニケーションを確保しなければい
けない。その時の通訳の費用は、病院のほうが持つ。日本の場合は行
政が手話通訳派遣事業を行っているので、費用は行政が持っていると
いう状態。アメリカの場合はろう者を受け入れる側がすべて手話通訳
の費用を持たねばならない。
渡米したときに交通事故を起こし、ジョージタウン大学病院に行っ
た。病院に手話通訳を依頼したら1時間後に用意してくれた。費用も
病院もちだった。病院は手話通訳の派遣会社と契約しているとのこ
と。他にも各国の通訳者の会社と契約をしている。妻のために日本語
の通訳もつけてくれた。人種差別について意識の高いところは、通訳
体制もきちんとしていると感じた。
しかし、アメリカのどの病院でもきちんと手話通訳を用意してくれる
わけではない。ろう者側が病院に対して裁判を起こした例は非常に多
い。ADAの場合は、個人ではなく障害者団体が団体として裁判を起こ
すことが出来る。コネチカットろう者協会も、裁判を起こしたことが
あり、全面勝訴している。
 タイトルVが保障している内容は、「効果のあるコミュニケーショ
ン」の一面にすぎない。司法省のマニュアルによると、ろう者本人の
コミュニケーションの方法、コミュニケーションの長さ、内容の難易
度によりその時その時、必要な効果的なコミュニケーションは違って
くる。たとえば車の購入を考え出かけていった販売会社で、自動車に
ついてちょっとした問い合わせをするところでは筆談ではかまわない
が、契約まで話がいった場合には手話通訳を用意しなければならない
ことになっている。病院も同じで、薬をもらいに来ただけのときや、
定期検診などは必ずしも手話通訳者が必要ではないことになってい
る。このあたりの曖昧さが、ADAの批判の一つにもなっている。
誰が「効果のあるコミュニケーション」を決めるのかは難しい問題。
基本的には、障害者本人が相手との協議によって決める。病院に手話
通訳者を連れて行く際も、予約の段階で交渉しておく必要がある。
ADAタイトルVの成果として、実際に障害者のほうからアクセスが大
変よくなったという声を聞く。しかし、今でもアクセスの良くないと
ころはある。ろう者だと病院、ドライブスルー、法律事務所など。司
法省はろう者に代わって法律事務所などアクセスの良くないところへ
訴訟を提起することもある。警察、バスや地下鉄の交通機関もアクセ
スはあまりよくない。ニューヨークなどではエレベーターはほとんど
ついていない。車椅子にとって地下鉄は不便。
ろう者の関係だと、「効果のあるコミュニケーション」では不充分と
いう不満もかなりある。お店で「筆談で」と言われても反論できな
い。国連の障害者権利条約の議論の中では,「手話を言語として認め
て欲しい」という訴えがある。ADAの存在を知らない企業も多い。物
理的な障壁を取り除けばよいだろうと考えていることも多い。司法省
はパンフレットを作成し、周知徹底につとめている。

*タイトルUについて
州や地方政府の提供するプログラムへのアクセスを平等にしなければ
ならない、ということ。地方政府はカウンティ(郡)やシティ
(市)。
連邦地方裁判所はリハビリテーション法の504条が適用されている。
ワシントンDCの連邦地方裁判所には常駐の手話通訳、言語通訳のコー
ディネーターがいる。連邦議会にも常駐の手話通訳が配備されてい
る。ろう者の団体がロビー活動をする時に手話通訳を自分たちで準備
する必要はない。
 また郡営プールがあり、水泳教室が開かれている。そこへろう者が
通っている場合、郡が手話通訳の用意をする。手話通訳も一緒に水着
を着て、インストラクターと一緒になって通訳をする。
課題もあり、ADAを適用しないと掲げている州もある。連邦の最高裁
判所でも半分くらいはそれを認めているような感がある。最高裁判所
としては、たとえば州が手話通訳をつけない場合、ADAを根拠に通訳
をつけろという内容の判決は出来るが、個人からの損害賠償の請求は
できない。州によってはADA法に対して批判的態度のところもある。

*タイトルTについて
州ごとに違いはあるが、基本的に対象は15人以上の従業員を持つ会社
(州、地方政府を含む)。従業員を募集したり、昇進、研修の際の差
別を禁止している。「合理的配慮」がはかれない場合も、差別に該当
することが謳われてる。司法省の場合、ろう者の職員のために専任の
手話通訳がついている。
タイトルTについては、ADAが成立前と比べると障害者の雇用の機会
はあまり変わってないという声が多く、あまり成功しているとは言え
ない。障害者団体ではアファーマティブアクションを求める声が多く
なっている。
リハビリテーション法の501、503条にあるように、政府は当然障害者
を積極的に雇用しなければいけないが、民間についてはアファーマ
ティブアクションを守っていないところが多いようだ。障害者団体と
しては、きちんとペナルティを科すべきだという声が高まっている。
タイトル1にかんする訴訟について。1992年ADA法ができて、5年後の
時点で1200件ほどの判例があった。ADA関係の裁判では障害者はほと
んど敗訴になっている。タイトルTに関しては95%が敗訴、タイトル
Uでは54%、タイトルVでは72%。敗訴率が高い理由の1つは、アメ
リカの裁判所ではCP脳性マヒの人に障害ではないと考えるなど、障害
者に対する定義が狭いこと。2つめは、資格に対する定義が厳しいこ
と。3つめに資格の問題。「働けない」と役所に申し出て障害給付を
受けている場合,その人が企業に対して自分が「働ける」と申し出て
も,障害給付を受けている以上資格を持たないとみなされてしまう。
 「合理的配慮」について。まず障害者本人が会社との間で合理的配
慮をしてください、と話し合いをする。この話し合いのプロセスが大
切だとされ、すぐに訴えても敗訴してしまう。また会社に「過度の負
担」が生じる時、障害者側は敗訴する。たとえば手話通訳の配備に非
常にお金がかかるとき。合理的配慮を行う結果、仕事の内容が大きく
かわってしまう場合も敗訴になる。
障害者の定義について。機能障害があること、主要な生活活動のう
ち、1つ以上が機能障害により著しく制限されることのふたつが必
要。機能障害については、緩和手段があることを考慮すべきかという
問題がある。ADAでは、薬や眼鏡は、緩和手段という考え方を持って
いる。
サットン対ユナイテッド航空の裁判。サットン姉妹は強度の近眼だっ
がが、眼鏡をかければ生活できる。パイロットの資格をもっていた
が、採用を断られたことがあった。最高裁の判決は、本人は眼鏡をか
ければ普通に視力があるので、障害者ではない、つまり「ADAの適用
はない」という判決だった。この判決は障害者団体から大きな反発を
得た。
また耳が悪いというだけでは、ADAのなかでは障害者の範疇にはいら
ない。補聴器や人工内耳をつけても、機能障害が回復する見込みがな
い、改善されないという場合に限って障害者と判断される。州によっ
ては機能障害の有無の判断の際に緩和手段を考慮しないところもあ
る。
有資格の障害者について。当人が希望する職務につく必須条件をみた
している場合は有資格の障害者とみなされる(車いすで歯科医の資格
がある場合など)。ある求職に対して障害のある人とない人の二人が
応募してきたという例で、どちらも有資格で、技術的、経験も同等ぐ
らいのときに、障害がない方を採用したときは差別にはあたらない。
障害者の方が技術面、経験面がよいときに、障害のない方を採用した
場合は差別にあたる。ただ、実際は「資格のない障害者」がほとんど
である。たとえば障害者の場合、高校を中退する率も高い。聴覚障害
者の場合は45%くらい。教育面の差別も未だに解消されていない。
「合理的配慮」について。話し合いをしても結果的に調整がつかない
場合、EEOC(雇用機会均等委員会)という行政機関に申し出をする。
雇用機会均等委員会と訳されるか(政府機関)。ここが話し合いの機
会をもってくれ、その後180日をすぎた時に裁判がおこせる。

*まとめ
今アメリカ議会では、ADAについて見直しが必要ではないかという動
きがある。アメリカも、100%平等とはまだまだ言えない。障害者福祉
関係に関する給付は非常に安い。ADA成立の後、行政からの手話通訳
の派遣はなくなった。しかし、日本の方が障害者差別が厳しいのでは
ないか。ろう者でいうと手話通訳や筆談の保障がない。手話通訳がな
く、裁判に訴えられない。会社の管理職、国会議員にろう者がいない
なかで、不満を訴えられるところがない。日本ではJDA、ADAとおなじ
ような法律を作る動きがあるが、これが成立しても障害者差別がなく
なるかどうかは疑問。さらなる活動をしなければならない。

【休憩】

【質疑応答】
**:3つ質問を。1つ、15人以上の職場には通訳者などの合理的配
慮をするということに関して。合理的配慮関係の担当者は現実に置か
れているか。2つめ、病院に関する裁判で、障害者側は何割勝訴した
か。3つめ、聞こえないけれど手話があまりうまくない人に対する保
障についてはどうか。

田門:会社のなかでの担当者の数の基準は決まっていない。会社のな
かで、HR(ヒューマンリソース)という人事のような部門があり、そ
こがやっている。建築関係の場合と調整をする受付は人事部が窓口、
人事部が調整をするのが基本。2つめ、病院に関する裁判の勝率につ
いてはっきりしたデータがない。病院で聴覚障害者関係は勝っている
ものが多いと思う。聴覚障害者の場合は障害者かどうかという要件は
あまり問題にならないから。3つめ、私は経験がないが、手話がわか
らない場合はパソコン通訳が多いかもしれない。裁判所ではそういう
ものを使っていると思う。

**:アメリカにおいてはADAは司法省が主に担当して、執行してい
るという話だったが、もし、日本でADAのような法律を作った場合
は、今の状況から見ると厚生労働省が企画立案することになると思
う。アメリカが福祉部門ではなく司法省が管轄している理由は何か。
日本の場合には、厚生労働省が管轄するであろうことについてどう思
うか。

田門:細かい話になるが、ADAのタイトルTは司法省ではなくEEOC
(雇用機会均等委員会)。日本の厚生労働省に近い。タイトルUとV
は司法省が管轄。日本の場合には人権擁護法案というのがあり、基本
的には法務省が管轄している。人権擁護法に日本のJDAの手続きを組
み入れていくという方法があるかもしれない。日本の場合は、人権養
護法を法務省が管轄していることに対して、法務省は平等、公平でな
いという批判がある。第三者の機関を作って、そこに委託したほうが
いいのではとという意見がある。日本では厚生労働省が管轄すること
になるのではないか。

**:3つの質問を。病院関係の話で、小さな診療所のホームドク
ターにかかりたいという場合、入院の場合は通訳保障はあるか。2つ
め。民間の企業の場合は、ADAのことを知らない会社が多いという話
があったが、それは人事の責任になるのか、どういったことが責任に
なるのか。3つめ。管理職や一般社員から差別を受けたときに、誰の
責任になるのか?

田門:病院については小さな所も同じで手話通訳は準備しなければな
らない。過度の負担にならないので。入院の場合も意外と費用はかか
らないと思う。入院の場合は通訳の機会が意外と少ないかもしれない
が。ADAを知らないというのであれば,基本的に人事部の責任にな
る。合理的配慮の面で配慮を欠いていたとき、人事部の責任で裁判の
場に立つ必要があるだろう。

**:タイトルUとタイトルVは効果が出ているが、タイトルTに効
果がでていないということだが、タイトルTだけ機能しない理由は?
アメリカという国が経済を優先させる傾向にあり、裁判所が企業に有
利な判決を下す傾向があるのでは。次に、では何をしたらタイトルT
も機能するのか。最後に、日本に差別禁止法を取り入れる場合、現在
は割り当て雇用制の法律があるが、その流れを止めず、さらに良い流
れを促進するような形で導入する必要があると思う。その際に注意し
なければならないことはなにか。

田門:タイトルTの効果が少ない理由は、やはりアメリカが学歴社会
だからだと思う。逆にいうと、資格のある障害者にはタイトルTは効
果がある。「資格」という問題が大きな壁になっている。アメリカで
はリハビリテーションでは資格を取らせるという方向が非常に強い。
資格のない障害者は、職業リハビリテーションを受けたりアファーマ
ティブ・アクションの適用を受けたりすることで雇用を増やす方法が
ある。職業リハビリテーションに関しては、日本では効果的な方法が
まだ見出されていない状況。日本でタイトルTのような法律を作って
もあまり効果がないと思う。その前に職業リハビリテーションの整備
や雇用促進法のようなアファーマティブアクションを強化する必要が
ある。

**:3つ質問を。州によって障害者に対する偏見や差別が違ってい
るということだがどのあたりかに差別が強いのか。2つめ、ろう者の
障害の定義について、人工内耳を入れるのは当事者の選択であり、人
工内耳を入れないことで聴覚障害者と認められないならば、おかしい
と思うが。3つめ、障害者の雇用率とか就職率を語ることがそもそも
危険なのではないかと思う。障害をもっていない人の視点で現在の市
場社会の価値観を根底から見つめ直していかないといけないと思う
が。

田門:ADAは広い意味での公民権法。米国の南部は障害者だけでな
く、一般的な公民権に対して非常に偏見が強い地域だと思う。2つ
め、障害者の定義の問題。本人の選択権の問題ではないかという指摘
はその通りだと思う。問題は裁判所に対してどのように理解してもら
えればよいか、ということ。3つめ、価値観の問題。非常にシビアな
問題。米国では,会社としてどのように経営するかという問題と、個
人の人権についてどのように取り組んでいくか、その辺のすりあわせ
ば難しいようである。

**:アファーマティブ・アクションという、従来米国の障害者運動
があまり支持してこなかったことに、再度注目が集まっていることが
興味深かった。質問。業務の本質的変更に基づいて訴えると勝てる、
ということについて説明を。内容に関しての質問。1つめ。ADAが究極
の社会モデルといわれるゆえんは、障害の定義に「見なし規定」を入
れている点。ユナイテッドの裁判にしても「見なし規定」について訴
えることが出来なかったのか。2つめ。「合理的配慮」をどのように
定義するか、盛り込むかは、障害者権利条約を考える上でも核心の部
分。最終的な決定権が事業主にあるというのが最終的解釈なのか。3
点め。ADAができた当初、ろう者の一部から手話通訳を位置づけるこ
とに抵抗があったと聞いたが、現在はADAの障害の枠組みのなかで法
律を活用することに対する抵抗感はないのか。

田門:まず、障害者の見なし方。障害者でないのに、障害である、と
見なされた場合、ADA法上の障害者に該当する。ユナイテッド空港事
件の場合も、弁護士はその論法で裁判所にたいして主張したが、結局
は最高裁がそれを却下した。障害者に該当するためには「ある特定の
仕事」ができないということだけでなく「広い範囲の仕事」ができな
いという状態にあることが必要。最高裁はこれを逆手にとって,事業
主が「広い範囲の仕事」ができないと誤解すれば,障害者でないのに
「障害者だ」と誤解したと言うことになるが,「ある特定の仕事」が
できないと誤解したという場合は「障害者だ」と誤解したとは言えな
い,と判断した。そして,ユナイテッド航空の場合は,「『商用』パ
イロットができない」と誤解したに過ぎないから,「障害者だ」と誤
解したとは言えない,と判断したようである。「合理的配慮」につい
て、誰が何を持ってそれを判断するかについては、EEOCがはっきり示
している。最終的には雇用主が決める。最後の質問。全米ろう者協会
では、ろう文化を擁護しているが、一方では、ADA法を適用を受ける
べきだという2つの見解を持っている。その辺がうまく調整できてい
るかどうかが、アメリカでも議論のあるところ。ろう文化はあるが、
機能障害も間違いなくある。ろう文化は文化の側面で考え,ADA法は
機能障害の面から考えるというように,まったく次元の違う議論で整
理されていると思われる。

**:3点。タイトルVで、高校中退者が44%ということだったが、
比較として、非障害者の中退率を訓えてほしい。2点め。車を契約す
るときの手話通訳。結局契約が成立しなかったときにも、販売会社の
ほうは手話通訳者の負担をするとなると、それを避けることになるの
では。企業にはどのような印象で受け入れられているのか。3点め、
手話通訳者の経費は、日本と比べて高いのか安いのか。

田門:高校の中退率は障害のない方の場合、20%位だと思う。2点め、
販売店の話。販売店の選択の問題。ろう者のお客さんをすべて失うの
がまずいという判断をするか、費用のほうが高くていやだという見解
になるのかということ。アメリカでは消費者運動が盛んなので、ろう
者という観点からだけでなく消費者問題という観点もある。販売店は
障害者も消費者であるという見方も持っていると感じた。そうする
と,会社としては手話通訳者を付けてきちんと説明しないと消費者問
題となってしまうという意識になるだろう。手話通訳の報酬は、法廷
などの専門知識を要する通訳は1時間100ドル、一般的な通訳では、
1時間30〜50ドルくらい。物価が安いので、35ドルというのは、いい
相場だと思う。

田門:本質的な業務の変更について、追加。雇用主がその主張を使え
ば、雇用者側が勝つ率が高くなるということ。

司会:私の方から質問を。連邦議会で手話通訳があるのはADA法があ
るからだということだったが、その他の、州や郡はどうか。日本の場
合、国会議員にろう者はいないが、地方にはいる。その場合当選した
後あわてて通訳を整備する状況だが、アメリカでは上院、下院の議員
にろう者が通った場合、通訳が迅速に配備されるのか。

田門:連邦議会の場合には、正式にはリハビリテーション法504条
で、通訳をつけないといけないとなっている。州の議会はADA法。州
議会に手話通訳がいるというのは耳にしていない。アメリカの場合
は、ろう者の議員はまだいないがもし誕生したら、通訳者が配置され
ると思う。裁判所では、以前ろう者の裁判官がいた。視覚障害者の裁
判官もいる。この場合も通訳者はスムーズに行った。だから、議員の
場合も問題はないと思う。

(以上)


UP:20041028
障害学研究会関東部会  ◇全文掲載
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