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声明

2004年8月27日
赤堀 政夫大野 萌子


声明

現在、再審請求中の袴田巌氏に、本日高裁は「再審請求棄却」の判断を示した。
逮捕以降すでに38年の時の経過がありながら、今回の審理も充分行なわれな
かった高裁の判断を私達は厳しく批判する。
袴田さんに罪を着せた「味噌漬けの5点の着衣」は、弁護団の懸命な努力によっ
て鑑定書が出されその捏造が暴かれた。これは誰の目にも、明々白々な事実である。
また、再審要件に必要な「新らたな証拠」「明らかな証拠」を示す数々の証拠を
も切り捨て、事実に目をつぶった裁判所の態度に、卑怯さと卑屈さを感じざるを
得ない。
裁判所は、一旦決定した袴田巌さんへの「死刑判決」に対し、次元の低いプライ
ドと面子だけにすがり、再審請求の全面的な見直しを怠ったと考えられる。
真実を見極めるべき裁判所が、そうした態度を示したことで、司法への信頼の失
墜と、袴田さんには更に苦悩を強いるもので、断じて許せるものではない。
現在、袴田さんはこれらの重圧によって重篤な「病」に陥っておられる。
残念ながら、この棄却で袴田さんの拘禁の長期化は更に進み「病」の悪化は避け
られない。

長期拘禁と「棄却」の犯罪的行為を重ねる司法当局に、私達は次の要求を突きつ
ける。
法秩序より、病気治療が先行する大原則に対し、まずは、袴田さんの治療条件を
整え、その上で即刻身柄釈放を行なうよう要求したい。
 当局が、「獄中にも医療施設が整えられている」と強弁するのであれば、約20
年間前の「病気発症の兆候時」から、今日までなぜ治せないのか?その理由を示
すべきである。
それに加えて、「獄中の医療は杜撰である」と告発する元収容者たちの声に、監
獄行政と司法当局は、どう応えるのか。
 現在も監獄行政は、袴田さんの治療内容を後見人にさえ伝えていないではないか。
 私達はこれらの批判と要求をもって抗議声明とする。

2004年8月27日

元無実の死刑囚 赤堀 政夫  同介護者 大野 萌子


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