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尊厳死に関する法律案要綱

日本尊厳死協会 2003年12月1日


尊厳死に関する法律案要綱  日本尊厳死協会 2003年12月1日

第一条 (目的)何人も自己の生命を維持するための措置を受容すべきか否かにつき自ら決定する権利を有する。この権利に基づきこの法律は不治且つ末期の状態になって延命措置を望まない者の尊重する末期医療に関する手続き等を定めることを目的とする。不可逆的で不治ではあるが末期ではない持続的植物状態においても、あらかじめ、かかる場合の延命措置を断る明示の意思表明がある場合の措置も本法に依る。前二項のいずれの場合も意思の表明者が妊娠中は本法は適用されない。

第二条 (定義)この法律で「不治且つ末期の状態」とは、合理的な医学上の判断で不治と認められ、延命措置の施用いかんに拘わらず死期が切迫し、その施用が単に死期を延長するにすぎない状態をいう。
 この法律で「延命措置」とは、その措置によって不治且つ末期の患者の死期を単に延長するにすぎない措置をいい、苦痛緩和のための措置は含まない。

第三条 (本人の延命措置を拒否する意思表明)15歳以上で、意思能力のある者は、第一条に規定する状態になった場合には延命措置を拒否する旨を予め別表の様式に従い次のいずれかの方法で表示することができる。
@ 日付、住所、氏名を自著して捺印し、これに成年2名以上の承認が署名捺印する文章。
A 疾病その他の事由によって本人が自書しえない場合は、本人が前項の意思を表明したこと及びその日付を記録しその意思表明が正常な意識をもってなされたことを証明する担当医を除く医師1名を含む2名以上の立会人が署名捺印する文章。
B 前項の証人には民法弟74条を準用する。
C 第一項の文章の書式による。

第四条(意思の撤回)前条の意思表示を撤回するには、本人がその文章を破棄するか又はその文章に、これを撤回する旨及び日付、氏名を自書し捺印しなければならない。

第五条(意思の表明者の状態の証明)第一条第一項もしくは第二項の状態にあることは、延命措置を差し控え、または停止する担当医を除く医師ニ名以上の診断によって、確認されることが必要であり、確認した意思は、その旨を記録した書面に署名捺印しなければならない。

第六条(医師の行為の免責)この法律の規定にしたがって延命措置の差し控えまたは停止の措置について、医師は民事上、刑事上の責任を問われることはない。

第七条(文書保管の義務)延命措置の差し控えまたは停止をした医師は、第三条、第四条及び第五条の文書を、10年間保管しなければならない。

第八条(生命保険契約との関係)本人が、延命措置を拒否する医師を表示したことによって保険契約上自殺と看做されてはならない。

第九条(罰則)第四条及び第五条の文書を破棄し、又は隠匿したものは、文書の虚偽の事実を記載したもの、虚偽を知りつつ証人として署名したもの、または変造したものは    年の懲役又は第七条の義務を怠ったものは    円以下の罰金に処する。


UP: 2004 REV:20120928
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