B 産業別の雇用状況
産業別の雇用状況については、実雇用率の最も高い産業は電気・ガス・熱供給・水道業であり、実雇用率は1.75%であった。次いで製造業の1.71%、運輸・通信業の1.66%が続いていた。
産業別の実雇用率の推移については、どの産業においても実雇用率が上昇しているが、その順位について大きな変動はない。
(2)日本障害者雇用促進協会
障害者の雇用の促進と、その職業の安定を図るためには、行政機関による施策の推進とともに、社会一般、とりわけ、障害者を雇用する事業主が、障害者に対して正しい認識を持ち、その雇用問題に積極的に取り組むことが重要である。
日本障害者雇用促進協会は、「障害者の雇用の促進等に関する法律」の趣旨に沿い、行政に協力しつつ、障害者の雇用を円滑に進めるための各種事業を行うことにより、障害者の雇用の促進と職業の安定に資することを目的として、昭和52年3月、旧労働省の認可を得て設立された。事業主によって構成される障害者雇用促進団体による自主的活動である。
業務内容は以下のとおりである。
@ 障害者職業センターの設置運営業務及び障害者職業能力開発校の運営業務
障害者職業センター及び、障害者職業能力開発校については(3)と(5)で説明をする。
A 障害者雇用納付金関係業務
障害者雇用納付金制度29)に基づき、障害者雇用納付金を徴収し、その徴収した納付金を財源として、障害者雇用調整金、奨励金、及び各種助成金30)の支給をする。
B 障害者職業生活相談員の資格認定講習業務
事業主は、5人以上の障害者を雇用する事業所において、障害者の職業生活全般について相談・指導を行わせるための障害者職業生活相談員を選任しなければならないとされている。障害者職業生活相談員の資格認定講習を実施している。
C会員及び事業主に対して、障害者の雇い入れ、雇用環境の整備その他障害者雇用に関する技術的事項についての指導及び援助業務
雇用相談業務を通じて事業主などに対して技術的指導・助言を行うなどのほか、障害者の雇用の促進に関して、全国障害者雇用促進大会、障害児童・生徒などの絵画展などを開催している。
A 事業主その他に対して障害者の雇用管理に関する研修業務
事業所の雇用管理担当者、障害者アドバイザーなど障害者の雇用管理に関わる業務に従事する者に対する研修を行っている。
B 労働者が障害者となった後において、当該労働者の雇用を一定期間以上継続する事業主にあって、当該雇用の継続のために政令で定める措置を講ずる者に対して、労働省令で定める規準に適合する給付金義務
企業に採用された後、労働災害、交通事故などにより障害を有するに至った、いわゆる中途障害者の雇用を継続する事業主に対して給付金31)の支給をする。
C 障害者の技能に関する競技大会の開催業務
障害者の職業能力を促進し、その技能を通じて障害者に対する社会的理解と認識を高めるための全国障害者技能競技大会(アビリンピック)を開催している。
D 障害者の雇用に関する調査・研究及び広報業務
障害者の職域拡大に関する調査・研究、障害者の雇用に関する事業所などへの調査の実施、障害者の雇用の促進に関する情報・資料の収集・分析及び広報誌「働く広場」などを発行している。
E 障害者の雇用に関する国際協力業務
アジア諸国における国際セミナーの開催、国際協力に関するニーズ調査及び職業リハビリテーション専門家の養成のための研修を行っている。
(3)障害者職業センター
障害者の雇用支援において、職業評価、職業指導、職場適応指導などには専門的な知識が必要であるため、職業評価から就職後のフォローアップまでを専門的に行う施設として、障害者職業センターが設立された。障害者職業センターは4種類あるが、それらの概要については以下のとおりである。
@ 障害者職業総合センター
障害者職業総合センターは、職業リハビリテーション関係施設の中核として、職業リハビリテーションに関する研究・開発、障害者の雇用に関する情報の収集・提供、職業カウンセラーの養成・研修などを通じて、職業リハビリテーション関係施設を支え、職業リハビリテーションの全体的な資質の向上に資することを目的に設立された。
A 広域障害者職業センター
広域障害者職業センターは、医療施設などとの密接な連携のもとに、広範囲の地域にわたり、系統的に職業リハビリテーションの措置を受けることを必要とする障害者に対して、職業評価、職業指導および職業講習を行い、また、障害者を雇用する事業主に対しては障害者の雇用管理に関する助言その他の援助を行う。
現在、広域障害者職業センターは、国立職業リハビリテーションセンター、国立吉備高原職業リハビリテーションセンター、せき髄損傷職業センターの3カ所が置かれている。
B 地域障害者職業センター
地域障害者職業センターは、原則的には各都道府県単位に置かれ、地域の安定所との密接な連携のもとに、障害者や障害者を雇用する事業主その他の関係者に対して、専門的なサービスを提供する。
主な業務内容は、障害者に対しては職業評価、職業相談、職業準備訓練、職業講習、フォローアップなど、事業主に対しては、職場管理、作業施設に関する相談・助言などがある。