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統合失調症とともに

森実恵



■統合失調症とともに(1)森 実恵(寄稿連載)
 2003/06/21 大阪読売 健康&医療面
■統合失調症とともに(2) 森実恵(寄稿連載)
 2003/06/28 大阪読売朝刊 健康&医療面
■統合失調症とともに(3) 森実恵(寄稿連載)
 2003/07/05 大阪読売朝刊・健康&医療面
■統合失調症とともに(4) 森実恵(寄稿連載)
 2003/07/26 大阪読売朝刊・健康&医療面
■統合失調症とともに(5) 森実恵(寄稿連載)
 2003/08/02 大阪読売朝刊・健康&医療面
■統合失調症とともに(6)殺風景な閉鎖病棟 森実恵(寄稿連載)
 2003/08/30 大阪読売朝刊・健康&医療面
■統合失調症とともに(7)傷つきやすい人々 森実恵(寄稿連載)
 2003/09/13 大阪読売朝刊・健康&医療面
■統合失調症とともに(10) 森実恵(寄稿連載)
 2003/11/29 大阪読売朝刊・健康&医療面
■総合失調症とともに(11) 森実恵(寄稿連載)
 家族の仲が壊れない秘訣
 2004/01/10 大阪読売朝刊・健康&医療面
■統合失調症とともに(13) 森実恵(寄稿連載)
 患者が信頼できる説明を  2004/02/14 大阪読売朝刊・健康&医療面


Date: Sun, 06 Jul 2003 01:56:10 +0900
Subject: [mhr:2200] 統合失調症とともに(1)

(以下、筆者の了解に基づき、非営利活動のみ転載可とします)
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■統合失調症とともに(1)森 実恵(寄稿連載)
 2003/06/21 大阪読売 健康&医療面

 統合失調症は百人に一人という頻度の高い病気です。誤解を生みやすい精神分
裂病という病名は昨年、変更されましたが、一般の理解はまだまだ乏しいようで
す。患者自身から見るとどういう病気なのか、社会への思いとともに、連載で伝
えていただきます。

 ◆うるさい幻聴 今では友人 
 幻聴とは、音源がないにもかかわらず、声が聞こえることです。統合失調症に
はわりあい多い症状のようです。
 私は幻聴とつきあって十年以上になりますが、いまだに退屈しない面白い病気
だなと思います。音楽や機械の音も聞こえますが、ほとんどが人の声なので、考
えてみれば、ずいぶん人間臭い病気ですね。
 朝の目覚めとともに幻聴とのつきあいが始まります。布団の中で「さっさと起
きろ。今日は買い物に行くぞ。早くしろ、寝ぼすけ」という声に起こされ、朝食
の準備をしている間もずっと声は聞こえています。聞こえる気がするのではなく、
本当に声がはっきり聞こえるのです。
 「バカ、まずい、まずい」という声を聞きながら朝食を取り、カーテンを開け
ようとすると、「隣の人が見ているから駄目だ」と言われ、また閉めます。
 多重人格とは違うので、私の意識が途切れることも別人格と交代することもな
いのですが、幻聴はあれこれ勝手なことを言うので、ちょっと買い物に出かけて
も大変です。
 〈夕食の献立は刺し身、ワケギのぬた、もずくの酢の物、栗ご飯…〉と考えな
がらスーパーに入ると、幻聴がいろいろな指示を出します。
 幻聴A「お刺し身は食中毒が危険だから食べたくない。カレーが食べたい」
 幻聴B「カレーはコレステロールが多いから駄目よ。果物を買いましょう」
 幻聴C「何も食べたくない。可愛(かわい)いお洋服がほしいの」
 Aの声に従い、かごに入れた刺し身を元の所に戻し、牛肉を買おうとしますが、
Bの声に従い、牛肉を戻して果物売り場へ向かいます。ところがCの声が聞こえ
てきたので、すべての食材を元の所に戻し、二階の洋服売り場に行きます。
 私は店内を右往左往する挙動不審の主婦です。
 幻聴D「そうだ、百万円のダイヤの指輪を買いましょう」
 さすがに理性のブレーキが働きます。幸いなことに、そんな大金もカードも持
ち合わせておらず、この危ない幻聴からは救われます。
 帰り道、本屋の前を通ると「洋書を買おう」という声がして、つい買ってしま
います。ところが五分もたたないうちに「そんな難しい本、おまえに読めるわけ
ないだろう。さっさと捨てろ」と言われ、買ったばかりの本はごみ箱に。
 今思い出してもおかしい幻聴もあります。「頭にお守りを付けろ、でないとお
まえは殺される」という声がして、ヘアゴムの上にお守りを付けていたこと。
「清めの塩をまけ、厄除(やくよ)けじゃ」と言われ、庭中に塩をまき、町を塩
だらけにして走ったこと……。
 けれど今は、幻聴は飼い慣らされ、自分の心の中にいる何人かの友人、時に相
談相手になっています。
                             
 〈明日に咲く花〉
 おとといも昨日も今日も苦しかった/幻聴のシャワーで目覚め、音の洪水の中
で眠りにつく/明日も明後日もその次の日も苦しいだろう/幻聴のシャワーで目
覚め、音の洪水の中で眠りにつく/けれど明日には小さな花が咲くかも知れない
/愛という名の小さい花が/優しさという名の小さい花が/幻聴のシャワーの中
に/音の洪水の中に
      ◇
 筆者の森実恵(みえ)さん(ペンネーム)は大阪府在住、四十四歳。約十年前
に統合失調症を発症し、その体験と詩をつづった「心を乗っとられて―ある精神
障害者の手記」=写真=を昨年、出版しました(潮文社03・3267・718
1、1200円)。

 

Date: Tue, 08 Jul 2003 00:09:16 +0900
Subject: [mhr:2202] 統合失調症とともに(2)

医療と人権メーリングリスト mhr からの配信です。
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原@大阪読売です。(重複受信の方はすみません)
統合失調症の当事者による寄稿連載の2回目です。

(以下、筆者の了解に基づき、非営利活動のみ転載可とします)
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■統合失調症とともに(2) 森実恵(寄稿連載)
 2003/06/28 大阪読売朝刊 健康&医療面

 ◆間一髪 死に神との戦い
 統合失調症は“命にかかわる病気”です。今でこそ幻聴と仲良くつきあってい
る私ですが、急性期には悪魔のような声に翻弄(ほんろう)され、何度か殺され
かけたことがあります。
 そのような時に死ねば、形としては自殺でしょうが、脳内では幻の声とのバト
ルが繰り広げられています。自分の意志では戦い抜けず、結果として殺されてし
まうと言ったほうが良いかも知れません。
 「死ね、死ね」という声が二十四時間、絶え間なく聞こえ、音量はラウドスピー
カー六、七台分、人数は百人くらい。睡眠薬なしではとうてい眠れず、地獄のよ
うな責め苦が約三か月間続きました。
 それに加えて幻視(鎌(かま)を持った死に神が追いかけてくる)、体感幻覚
(男性がいないのに愛撫(あいぶ)されている感じ)、幻臭(甘い物のにおい、
ドブ川のにおい)、幻味(血の味、ゲジゲジの味)……。すべての感覚が病に侵
され、私は一人、シュールレアリズムの世界に漂っていました。
 一分間に三十回、一日四万三千二百回、一か月で百万回以上も「死ね」と言わ
れ、生き続けることの困難さ。
 閉鎖病棟に三か月間入院した時、トイレの窓から飛び降りようとしました。そ
の時は命拾いしましたが、退院してすぐ、ネクタイを輪にして頭を入れました。
家族は包丁など家中の危険な物を目の届かない場所に隠しました。
 ある夜、私は洗面所にあった爪(つめ)切りばさみを手に取り、家から外へ出
ました。「もう駄目だ、幻聴に殺される」。死に神に追われ、山の中を必死の思
いで逃げ回り、いつのまにか崖(がけ)の上にたたずんでいました。脳内では、
幻聴との精神戦争に疲れ果てた自我が「早く死んだ方が楽だ」と足を前へ進めま
す。
 私はみけんに爪切りばさみを突き立てました。痛みは全くありません。そのま
ま頭を下にした状態で数メートルずり落ち、まだ死ねないので、今度は手首を何
度も深く切りつけました。血が流れ、頭を岩にぶつけながら数十メートルずり落
ち、靴も脱げ、トレーナーもボロボロになっていました。
 かすかに鳥のさえずりが聞こえ、山の端から昇る朝日がとても美しく思えまし
た。そこからどうやって家へ帰ったのかはよく覚えていません。父も母も寝ない
で待っていました。母は一晩中、般若心経(はんにゃしんぎょう)を上げていた
そうです。どういうわけか、この日を境に正体不明の幻聴は徐々に勢力が弱くなっ
ていったようです。

 〈苦しみの中の喜び〉
 苦しみの中に喜びがある/今まで/気づくこともなかった/人の優しさや/人
の傷つきやすさに/初めて気づくようになって/苦しみの中に喜びを見出した
 果てしなく続く幻聴との戦いに/私はもう疲れ果て/息絶えだえなのだけれど
/今にも死にそうな私が/驚いたことに/他の人を励ましている/他の人を慰め
ている

 

Date: Wed, 09 Jul 2003 02:04:20 +0900
Subject: [mhr:2203] 統合失調症とともに(3)

医療と人権メーリングリスト mhr からの配信です。
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原@大阪読売です。(重複受信の方はすみません)
統合失調症の当事者による寄稿連載の3回目です。

(以下、筆者の了解に基づき、非営利活動のみ転載可とします)
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■統合失調症とともに(3) 森実恵(寄稿連載)
 2003/07/05 大阪読売朝刊・健康&医療面

 ◆書くことが回復後押し

 「どしゃぶりの雨もいつかは小ぶりになり、やむこともあるでしょう」。幻聴
の嵐のまっただ中、半分混濁した意識の中にいた私に、主治医はそう語りかけま
した。
 暴風雨のような幻聴の洪水も、それから三年の歳月をかけ、少しずつ静まって
きました。まず音量が小さくなり、声の内容が「死ね、死ね」といった過激なも
のから無害なものに変化し、声の人数も多い時は百人以上だったのが四、五人程
度に減ったのです。
 薬も各種合わせて一日二十錠近かったのが、最終的に抗精神病薬一錠になりま
した。どの薬が効いたのかはわかりませんが、発病から六年ほどたち、病気は寛
解しました。幻聴はあっても、現実と区別できるようになったのです。
 その過程で、私はこの病気のつらさを詩に綴(つづ)っていました。大学ノー
トにミミズののたくったような字で書きなぐり、誰にもわかってもらえない苦し
みを浄化していたのです。寛解後はアルバイトをしながら、公募を見つけては原
稿を送り、小さな文学賞の佳作にも四回入選しました。
 回復を手伝ってくれたのがほかならぬ幻聴だったことが不思議です。声のほと
んどは罵詈雑言(ばりぞうごん)ですが、十回に一回位、まっとうなアドバイス
も聞こえます。就労をためらっていた時も「さっさと働け、働かざる者食うべか
らず」と促され、ハローワークに毎日通って仕事を見つけました。
 詩を書く際も、「この詩は駄目、ボツ」と言う声が響いて来て右手が勝手に動
き、書き直したりするのです。
 二年ほど前、「おまえは文筆を通じて精神障害者のバリアフリー化運動をする
のだ。それが運命だ」と、一冊の本を出すよう指示を受け、原稿用紙百枚ほどに
まとめました。自分の意志が半分、幻聴の指示が半分でしょうか。気乗りがしな
い日も幻聴に手を動かされ、そのかいあってか、「心を乗っとられて」(潮文社
03・3267・7181)という本を出版できました。
 最初は幻聴の指示で文章を書き始めた私ですが、今は生きがいにもなっていま
す。この病気にありがちな誇大妄想かも知れませんが、天職と思うほどです。
「おまえの仕事は始まったばかりだ。統合失調症のことを世間の人にわかっても
らわねばならん。さっさと書け」。当分の間、この仕事は続きそうです。

  〈愛〉
 心の傷口に一番効く薬は何でしょうか/愛が一番深くまで滲(し)みいるかも
しれない/苦しみ/眠れず/死に一番近づいた夜は/一生のように長かった
 今も閉鎖病棟にいる仲間達(たち)/今日も枕を涙でぬらす女達/生活保護の
暗い部屋で一人眠る男達/とうの昔に闇に葬りさられた大勢の患者達
 だから私は皆に届けよう/愛の言霊(ことだま)を/涙でぬらした枕元に届け
に行きたい/一人、書き綴った心の花束を
     ◇
 この連載は今後、月一、二回のペースで掲載します。これまでの内容について
ご感想をお寄せ下さい。

 

Date: Tue, 05 Aug 2003 17:28:16 +0900
Subject: [mhr:2209] 統合失調症とともに4

医療と人権メーリングリスト mhr からの配信です。
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原です。
少し間が開きましたが、連載の4と5を続けてご紹介します。
(重複受信の方はすみません。以下、非営利活動は転載可)

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■統合失調症とともに(4) 森実恵(寄稿連載)
 2003/07/26 大阪読売朝刊・健康&医療面

 ◆救急病棟で 初めて幻覚
 精神病はストレスや過労、不眠などをきっかけに発病しやすいとされています。
 私の場合は、がんを患っていた義父の死が発端でした。夫の実家に親類縁者が
集まり、長男の嫁だった私は、慣れない接待に追われました。下の子はまだ九か
月で、その世話にも手がかかりました。親類の方は三日間ほど泊まって行かれ、
その間、熟睡できなかったのを覚えています。一週間ほどたって自宅へ戻った時
は、もう疲労困憊(こんぱい)でした。
 さらに一週間ほどたった夜でした。急に右下腹部に痛みを覚え、トイレでいき
んでもコロコロした便しか出ません。下の子がむずかるのでおっぱいをやり、夕
食準備をしましたが、下腹の痛みはひどくなる一方です。半導体の研究をしてい
た夫は実験でなかなか帰ってきません。夜中にトイレに行くと大量の下血が……。
とても不安になりました。
 次の朝、夫とともに近くの病院へ向かい、内視鏡検査を受けました。診断は
「虚血性大腸炎」。腸に血が届かない病気らしく、その日に緊急入院です。完全
絶食、点滴だけの生活が始まりました。けれども救急病棟の病室だったので、夜
間でも交通事故の患者が救急車で運び込まれ、一睡もできません。
 初めて幻覚を見たのはその夜でした。地獄にうごめく魑魅魍魎(ちみもうりょ
う)たちが病室に現れたのです。それは一瞬のことだったので私は霊を見たのだ
と思いました。ところが翌日、看護婦さんたちのひそひそ話が聞こえました。
 「○号室の患者さん、かわいいわね、いくつぐらいかしら」「どこがかわいい
ねん。ブスよ、ブス」
 ナースステーションまで五十メートルほどの距離とドアがあり、声が聞こえる
はずがないのに、私は自分のことをうわさされていると思いました。
 さらに、ベッドで寝ていると内科の主治医の声が聞こえました。先生はとても
優しく温かい人柄で、つらい検査のたびに励まして下さり、私はポーッとなって
いたのです。
 「やっと会えたね。二人は赤い糸で結ばれていたんだよ」
 私は跳び上がらんばかりに喜びました。二人の気持ちが通じ合い、テレパシー
で会話していると思ったからです。幻聴とも思わず、一晩中、先生と話しました。
もちろん先生は、一人の患者として親切にしてくれただけで、私の一人勝手な恋
愛妄想だったのです。

 〈ずっと好き〉
 「この病気になって、すべての事を諦(あきら)めた。けれど人を好きになる
気持ちは仕方がない」/病者の言葉が胸に刺さった/頭はぼんやりする/思考も
まとまらない/色々な声が聞こえる/計算もできない/だけど好きなんだ
 人を好きになるという気持ちは/きっと根が深く/相当脳がやられても/深い
所に残っているらしい

 

Date: Tue, 05 Aug 2003 17:30:29 +0900
Subject: [mhr:2210] 統合失調症とともに5

医療と人権メーリングリスト mhr からの配信です。
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(重複受信の方はすみません。以下、非営利活動は転載可)
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■統合失調症とともに(5) 森実恵(寄稿連載)
 2003/08/02 大阪読売朝刊・健康&医療面

 ◆耳鼻科や心療内科 知識乏しく回り道
 虚血性大腸炎で入院した時、お世話になった内科の主治医に恋愛妄想を抱いた
私は、退院してすぐ、「テレパシーで先生と会話したのよ。超能力者になったの
よ」と無邪気に夫に語りかけました。
 夫は一瞬、不倫を疑ったようですが、内容をよく聞いて冷静に言いました。
 「本当にテレパシーなら、約束をして、どこかで会えるはずだ」
 それから私は、先生の声で地下鉄の駅に呼び出されたり、公園に行ったり、あ
ちこちさまよいましたが、もちろんどこでも待ちぼうけです。
 自分でも何かおかしいと気づき始めました。外来受診の時、思い切って「先生
の声が聞こえるのですが……」と直接尋ねると、先生はニコニコ笑いながらおっ
しゃいました。
 「それはうれしいけれど、心療内科へ行きなさい」

 精神科なら、すぐ理解できたかも知れませんが、心療内科は何のことかわかり
ません。どういう症状が出たら精神病の疑いがあるのか、学校で教わったことも
ありません。
 私は耳がおかしいのだと思い、耳鼻科へ行きました。「うーん、まず聴力検査
をしましょう」。防音室に入り、ブザーの音が聞こえたらボタンを押すよう言わ
れました。私は幻聴が聞こえるのでいつまでも押し続けます。看護婦さんはいぶ
かしげな顔で「おかしいわね。故障かしら」。聴力異常なしの診断でした。
 耳が聞こえない、目が見えないのは大変だと思いますが、聞こえすぎ、見えす
ぎも気持ちが悪いものです。今では五感以上のものを神様から授かったのだ、と
感謝することにしていますが、当時はそれどころではありません。

 何か月かたち、夫に連れられてやっと心療内科の門をくぐりました。後で知り
ましたが、心療内科は心の不調で身体に症状が出る病気を扱う所です。でも精神
科が印象を和らげるため、そういう看板を掲げることもあるそうです。
 人の声が聞こえます、と説明すると「過緊張によるノイローゼでしょう」。け
れども後になって、診断書を取り寄せると「精神分裂病」とはっきり書かれてい
ました。
 その診察室に白いもやのような死に神の姿が見えたのです。私は恐怖のあまり、
医院を飛び出しました。電車に飛び乗って次の駅で降り、また乗って別の駅で降
りる。逃げても逃げても死に神は追って来ます。くたくたになり、夫の実家にた
どりつきました。
 そこに引っ越し、気を紛らわそうとアルバイトもしましたが、とても続きませ
ん。部屋中の壁から血がしたたり落ち、生首や手首が転がっているのが見え、お
化け屋敷で暮らしているようでした。それとともに「死ね、死ね」の幻聴がひど
くなり、ついに入院したのです。精神病についての知識が乏しかったために回り
道を重ね、発病から、ほぼ一年が過ぎていました。
 
 〈統合失調症〉
 僕達(たち)の“名前”が変わったという/精神分裂病から/統合失調症へ/
だけど変わったのは名前だけ/僕達を取り巻く環境も/人々の僕達を見る視線も
/就労状況も/何も変わりはしない/レッテルだけ貼(は)り替えて/ビンの中
味が一緒なら/僕らは今も/フタされたくさいもの

 

Date: Tue, 30 Sep 2003 19:54:31 +0900
Subject: [mhr:2234] 統合失調症とともに6、7

医療と人権メーリングリスト mhr からの配信です。
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原です。
森実恵さんの連載の6と7を合わせてお送りします。

(重複の方すみません。以下は非営利活動転載可)
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■統合失調症とともに(6)殺風景な閉鎖病棟 森実恵(寄稿連載)
 2003/08/30 大阪読売朝刊・健康&医療面

 ◆殺風景な閉鎖病棟 心潤す花もなく
 およそ十年前、三十四歳の時に、精神科の病棟に三か月間入院しました。「死
ね、死ね」という声がひどくなり、私は主治医に、自分の命が危険な状態にある
と涙ながらに訴えました。それでも閉鎖病棟と聞いて恐怖を感じ、開放病棟にし
て、と嘆願したことを覚えています。
 入り口には分厚いガラスの扉があり、他の病棟と遮断されていました。医師、
看護師ら限られた人たちだけがカギを持ち、許可がない限り、患者は外に出られ
ません。
 密閉された空間に、廊下を隔てて七つか八つの病室があったと思います。窓に
鉄格子はなかったのですが、金網の入ったガラスがはめ込まれ、開閉はできない
構造です。
 首をつる人がいるという理由で、プライバシーを守るカーテンもありません。
花瓶も割れると凶器になるというので、生花なども一切ない、とても殺風景な病
室でした。
 着替えをしていても男性の掃除係の人が入ってきたり、看護師から名字ではな
く、下の名前を「ちゃん」付けで呼ばれたりして、自尊心が深く傷つけられまし
た。
 症状の激しい時期の人や他の患者の迷惑になる行為をする人は、「保護室」と
いう、内側からドアの開かない部屋に収容されます。個室というより「独房」で
す。
 今は精神科でも、きれいな病棟に改築した病院が結構あるようですが、当時、
私がいた病棟は日中もあまり日が差さず、外の景色も金網に遮られてよく見えま
せんでした。
 一日に一度だけ屋上に出て、日の光を浴びながらラジオ体操をしました。いつ
も色彩の乏しい空間にいるため、その時に見る青空は目にしみいるように青く、
プランターに植えたベゴニアやサイネリアの花なども、鮮やかすぎる色の記憶と
して、今でも脳裏によみがえります。
 患者らは週に一度、「作業療法」を受けました。カラオケで歌ったり、美術の
先生の指導で水彩画を描いたりしました。そうやって起死回生した人たちも少な
からずいると思いますが、二度、三度と舞い戻ってくる人たちも多いのは事実で
す。回復の見込みが少ない、だから精神病棟に花は必要ないのでしょうか。
 いいえ、私たちは皆、花を必要としています。家族や世間の人たちの温かいま
なざしや愛という花を。
            
 〈心の器〉
 心の器に毎日/花を生けて下さいませんか/どんな小さな花でもいいのです/
誰かの優しい一言で/その日がバラ色に包まれるように/「こんにちは」と挨拶
(あいさつ)してくれるだけでよいのです/「ありがとう」その一言で/私の心
の器は満たされます/反対に何気ない冷たい一言は/人を死に追いやるほど非情
なものです/だから毎日/花を生けて下さい/心の器に
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■統合失調症とともに(7)傷つきやすい人々 森実恵(寄稿連載)
 2003/09/13 大阪読売朝刊・健康&医療面

 ◆まじめで傷つきやすい人々
 開かない窓といい、独房のような保護室といい、閉鎖病棟のつくりは、どこと
なく刑務所に似ています。けれども中にいる人たちは、むしろ被害者といった方
がよいかも知れません。
 私自身、この病気になるまで、精神病の人たちは訳のわからないことを言った
りしたりする、えたいの知れない存在と思っていました。実際に犯罪を起こす率
は低いのに、何か事件があると精神障害と報道するマスコミに一因があったと思
います。自分でも気づかないうちに、精神病の人は怖いというイメージが刷り込
まれていたのです。
 現実に病棟で出会った人たちの大半は、まじめで気が弱く、神経が繊細で、と
ても傷つきやすい人たちでした。急性期のごく一部の患者さんを除いて、静かに
平和的に過ごされていました。
 幼児期に両親から虐待を受け、手首を切るのが習慣になってしまったA子、ア
ルコール依存症の父親に暴力をふるわれ、拒食症になったT子ら、思春期の子ど
もたち。受験勉強のストレスが発病のきっかけになったのか、名門と言われる進
学校の生徒や大学生も少なくありませんでした。
 患者たちは、デイルームと呼ばれる部屋で雑談をします。おのおのの生い立ち
や境遇を語り合うわけですが、しばらくすると、通常の不幸に対する感覚が鈍麻
してきます。
 「離婚」や「失職」は誰からも聞かされる話であり、この二つは不幸の結末と
いうより、不幸の始まりに過ぎないことも悟らされます。若いころに発病する人
が多いためでしょうか、「失職したり離婚したりできるのは、むしろ幸福」とさ
え言われました。
 そんな中で、印象に残った男性患者が二人います。
 デイルームで突然、「結婚して下さい」と声をかけてきたKさん。私は驚きで
声も出ませんでしたが、後で聞くと女性患者全員にプロポーズしていたそうです。
国立大学を出て眼鏡をかけた彼は、女性とつきあう機会が少なかったのかも知れ
ません。けれど、交際してもなかなかプロポーズしない世間一般の男性に比べれ
ば、とても純粋だったと思います。看護婦さんも含め、すべての女性に「美人だ」
と言っていたのですから。
 元気だったころ海外を飛び回っていたS氏は「ワシは神様やから病気を治して
やる」といつも熱心に各患者の病状をメモしていました。彼は時々ズボンをはい
ていませんでしたが、私の病気が治ってきた所をみると、本当に神様だったのか
も知れません。

 〈最も人間らしい人々〉
 外科や内科や/皮膚科や歯科や/眼科や耳鼻科は/犬猫にもあるかもしれない
けれど/精神科は/人間にしかない/そのことを思えば/ここにいる人たちは/
最も人間らしく生き/最も人間らしく悩み/最も人間らしく考え/最も人間らし
く傷つき/最も人間らしく苦しんだ/最も人間らしい人々/人の中の最たる人と
して/表彰してもいいのではないかと思う
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Date: Fri, 09 Jan 2004 17:38:32 +0900
Subject: [mhr:2293] 統合失調症とともに10

医療と人権メーリングリスト mhr からの配信です。
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原です。統合失調症の当事者による連載の10回目です。
(重複受信の方はすみません。以下、非営利活動転載可)
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■統合失調症とともに(10) 森実恵(寄稿連載)
 2003/11/29 大阪読売朝刊・健康&医療面

 ◆つらさ知って 薬の副作用
 私は現在、就寝前にベゲタミンBを一錠だけ飲んでいます。この薬は色々な成
分を混ぜた合剤です。主に統合失調症に効くメジャートランキライザー(抗精神
病薬)とその副作用止め、さらに睡眠剤が含まれています。
 一日一錠というのは精神科の患者が飲む薬の量としてはたいへん少ないのです
が、この薬は睡眠剤の成分に依存性があるそうで、いったん飲み出すとやめにく
いのが難点です。私も二、三回、旅行先へ持って行くのを忘れ、苦しい思いをし
ました。眠れないだけでなく、呼吸が苦しく気分も悪くなり、慌てて薬を取りに
自宅へ帰りました。
 症状が重かった時期には薬の種類も量もずっと多く、一日三回、合計二十錠近
く飲んでいました。幻聴や妄想を抑える抗精神病薬のセレネースやリスパダール、
それらの副作用で手が震えたり、ろれつが回らなくなったりするのを抑えるアキ
ネトン、睡眠導入剤のロヒプノールなどです。
 これらの薬を大量に処方されると、様々な副作用が出ることがあります。たと
えばアカシジアは、一時もじっとしていられなくなる症状です。重症の人は、バ
スの中でさえ足踏みをしたり歩き回ったりし続け、三時間の睡眠以外、ずっと動
き回ってくたくたになったと聞きました。
 私も入院中、安静にしているのが苦痛で、閉鎖病棟の百メートルほどの廊下を
一日何十回も往復していました。オリに入れられた動物と一緒で、外へ出られな
いことの心理的な影響もあったかも知れません。
 ジストニアといって、首が一方向に曲がったり、目がつり上がったりする症状
が表れることもあります。入院中、ある患者さんは首が九十度、後ろへ曲がり、
いつも重い頭を両手で支えながら不自由そうに過ごしておられました。
 目つきや唇の形がゆがんで形相が変わってしまい、本来の美貌(びぼう)が台
無しになって、気の毒な女性の患者もおられました。
 私は幸い、大きな副作用が出たことはありませんが、二十錠近く飲んでいた時
は体が非常にしんどく、和式トイレでしゃがんでも力が入らず、便器に腰がすっ
ぽり落ちてしまったこともありました(運良く、用を足す前でした)。
 ほかにも食べ物がうまくかめない、歯磨きができない、手が震えて汚い字しか
書けない、舌足らずで子どものようなしゃべり方になるなど、日常生活に不便な
副作用を多々体験しました。現在も口の渇きや目のかすみなどが慢性症状として
あり、ペットボトルと目薬は手放せません。
 日本の精神科の病院では今でもたくさんの種類の薬を大量に出す傾向が強いよ
うです。患者は見かけや話し方が妙なこともありますが、病気の症状だけでなく、
薬の副作用で思うようにならない場合も多いのです。そういうつらさも知ってほ
しいものです。 (薬はいずれも商品名)
 
 〈pp(ピアニッシモ)〉
 人生にf(フォルテ)やmf(メゾフォルテ)、p(ピアノ)があるとしたら
/私達(たち)の生はppかもしれない/今にも消えそうなろうそくを/風の当
たらぬ場所に置いて/何とか守り抜こうとしている/私達は短時間しか働けない
/そのくせ睡眠時間は人並みはずれて長い/そうやって生と死の境目あたりにい
るのだけれど/すべての楽曲がfであれば/何の面白味もないように/pで弾く
と/美しさや優しさ、悲しさが醸し出される

 

ate: Fri, 30 Jan 2004 01:01:36 +0900
Subject: [mhr:2319] 統合失調症とともに11

医療と人権メーリングリスト mhr からの配信です。
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森実恵さんによる「統合失調症とともに」の11回目です。

(重複受信の方はすみません。以下、筆者の了解に基づき、非営利活動転載可)
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■総合失調症とともに(11) 森実恵(寄稿連載)
◆家族の仲が壊れない秘訣
 2004/01/10 大阪読売朝刊・健康&医療面

 かつて私は幸せな家庭の主婦でした。が、統合失調症を発病した後、残念なが
ら家庭は崩壊してしまいました。
 精神科の病院を退院してきた私を待っていたのは、夫や姑(しゅうとめ)の冷
たい仕打ちでした。薬の副作用もあり、身体がふらふらしていたのですが、退院
したその日、ボストンバッグ一つで実家へ送り帰されたのです。病気のために迷
惑をかけたのは確かですが、まるで犬や猫を捨てるようでした。
 「気違いの嫁」とののしられ、別居中もずっと二人の子供に会わせてもらえま
せんでした。その後、何年かたち、夫側の事情で下の子だけが私の所にやって来
ました。私は子供を支えに今まで何とかやって来れたのだと思います。このよう
な家庭環境にもかかわらず、子供たちが素直に成長していることが救いです。
 この間、両親には多大な迷惑をかけました。けれどもクリスチャンの母は、物
事に動じない所があり、私が意味不明の言葉を口走ったり、暴れ回ったりしても、
泰然自若として常に穏やかな目で見守ってくれました。時には教会に連れて行っ
たり、旅行や温泉に連れ出したりしながら、辛抱強く、病が良くなるのを待って
いたのです。
 会社人間だった父も、病院の送り迎えや家事などを手伝い、助けてくれました。
我が家はどちらかというと個人主義で、はた目には冷たい家族のように映るかも
しれませんが、必要最低限のことだけ言い、あとは自分の好きなようにしなさい
という方針が、この病気の者にとっては、負担を軽くする良き対処法だったよう
です。病気が回復してくると、さすがに働くよう諭されましたが、職業の選択に
ついてはとやかく言われませんでした。
 文章を書き始めた時に「そんなことは時間の無駄だ」と言われたら、途中でや
めていたかも知れません。とにかく自由にさせてくれたのが一番良かったと感じ
ています。
 心の病はなかなか良くならず、家族をも巻き込みます。時には一家総倒れにな
るという話も聞きます。あまりにも疲れた時、父や母はどこか別の所へ泊まりに
行き、休んでいたようです。それが経済的に無理な時は、親類の所へ行ったり、
近くの公園や図書館で時間をつぶしたりして、距離を保っていたようです。
 病気の本人も苦しいのですが、家族の方々も本当に大変な思いをされています。
多くの場合、若い時に発病して十年、二十年と長期戦になるからです。体力を温
存し、共倒れにならないよう手を抜く時には手を抜く。ある程度の距離を保ちな
がら、目は離さないようにする。これが家族の仲が壊れないよう、うまくやって
いく秘訣(ひけつ)かと思います。

 〈涙〉
 もうこれ以上/涙は出ないと思うほど/泣き暮らした日々があった/景色がう
るんでいく中で/遠くに子供達(たち)の姿を見た/この病ゆえの冷酷な運命を
生き抜いてゆくには/私はあまりに弱々しい/鋼ほどの強さもなければ/柳のよ
うな柔軟性もない/私の精神は/いともたやすく/ポキリと折れてしまう/涙の
雨で/景色がうるんでいく日には/できるだけ人目を避けて/幸福な家族を見な
いようにする
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

 

Date: Wed, 18 Feb 2004 02:39:34 +0900
Subject: [mhr:2329] 統合失調症とともに13

医療と人権メーリングリスト mhr からの配信です。
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統合失調症の当事者による連載の13回目です。

(重複受信の方すみません。以下、非営利活動転載可)
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■統合失調症とともに(13) 森実恵(寄稿連載)
 2004/02/14 大阪読売朝刊・健康&医療面

 ◆患者が信頼できる説明を

 精神科では、医師との信頼関係が良い治療を行う上で最も重要かもしれません。
統合失調症の場合、今のところ脳を検査して何かわかるわけではないので、患者
の話を聞き、その内容によって薬の種類や量を調整することが治療の中心になっ
ています。
 発病当初の私は、五里霧中でわらにもすがる思いでした。症状を治してくれる
先生を探し、ドクターショッピングしたものです。けれど何年かたち、完治しに
くいことを実感すると、一生つきあえる先生と気長に治療していきたいと考える
ようになりました。幸い、良い先生に恵まれ、自分の心を開いて、包み隠さず話
すことができています。
 しかし、他の診療科のようなインフォームドコンセント(十分な情報提供に基
づく患者の同意)が精神科で行われているかとなると、疑問です。
 たしかに幻聴や妄想に支配されている患者は「薬の中に毒が入っている」「無
理やり入院させて金もうけするつもりだ」などと被害妄想を抱くことがあります。
勝手に通院をやめることもあるし、いくら医師が説明しても誤解してしまうかも
知れません。
 ですが、回復期の患者や、もともと軽症の人たちは、意思疎通が十分可能です。
 医師の側に問題があるとしたら、軽症の人も重症の人も十把一絡(じっぱひと
から)げにした対応が見受けられることです。中には患者を人とも思わない見下
した態度をとる医師もいるし、質問にきちんと答えてもらえない場合も多々ある
ようです。
 私が外来診察で主に聞かれるのは、ふだんの生活の様子です。ほとんど雑談の
ような感じで、それはそれで意味があるのでしょうが、どの医師からも、治療計
画の説明を受けた記憶はありません。たくさん出された薬の名前や作用も、自分
から質問しない限り、説明はなかったのです。
 病名すら、いつもはぐらかされていたように思います。最初の心療内科の先生
は「過緊張によるノイローゼ」、若い研修医は「非定型精神病」、別の病院では
「心因反応」、前の主治医にはフランスでしか用いない「幻覚症」と言われまし
た。診断書には、一貫して「精神分裂病」(統合失調症の旧称)と記入されてい
たにもかかわらず……。
 病気に立ち向かうのは、患者と医師の共同作業ではないのでしょうか。すでに
本当の病名を本人が知っていれば、告知のショックで病態が悪くなることもない
のに、なぜ真実を教えてくれなかったのか、今でも疑問です。素人にうかがい知
れない裏の事情(保険医療費の審査や障害者手帳申請の便宜など)があったので
しょうか。あるいはこのような思いをいつまでもぬぐえないのは、私自身の被害
妄想なのでしょうか。
            
 〈限りなく死に近い生〉
 限りなく死に近い生を/生きてみるがいい/人間でなく/限りなく犬畜生に近
づいた/限りなく死に近い生を/二十年近く生きていると/万物の霊長である人
間の気持ちよりも/踏みにじられたゲジゲジや/踏みにじられた雑草や/叩(た
た)きつぶされた空き缶や/投げ捨てられた紙くずの気持ちの方が/よくわかる
ようになってくる/高みにいる高貴な人間達よ/限りなく死に近い生は/閉鎖病
棟の中にある


UP:20030810 REV:1228,20040404,06
原昌平
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