A 基本的理念(第3条関係)では、「すべて障害者は、……あらゆる分野の活動に
参加する機会が与えられる」となっている。つまり、障害者は「参加する機会」が恩
恵的に「与えられる」対象とみなされ、障害者の社会参加を権利として保障するとは
なっていない。つまり、「更生」と「保護」に基づく旧来からの障害者施策の考え方
にとどまり、当事者に対して障害の軽減と克服への努力をおしつける考え方を堅持し
ている。
B 「自立することの著しく困難な」重度の障害者に対しては、保護の観点から施設
入所を引き続き推進するという点では、〈施設から地域へ〉という明確な方向が打ち
出されていない。(第10条の2〜第11条関係)
C 自治体の障害者計画の策定をはじめ、各基本的施策に関する規定が「努力規定」
の枠内にとどまり、権利の確立に向けて実効性をあげていくことには限界がある。
(第7条の2関係)
2.改正の主な課題
基本法の改正の重要な課題として、次のことが上げられる。
@ 障害者の定義を個人因子に着目した「医学モデル」から、環境との関係を問題に
する「社会モデル」へ変更すること。
A 都道府県、市町村の障害者計画策定と報告の義務づけを明記すること。
B 国及び地方公共団体の審議会における障害者施策の決定過程への当事者参加(審
議会等の構成割合)を明記すること。
C 施策の基本方向として、「施設・病院から地域生活へ」、「統合教育を基本とす
る」など を明記すること。