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大阪市役所前・街頭宣伝チラシ

障害者の自立と完全参加をめざす大阪連絡会議(障大連)

last update: 20160125


 臼井さんより

 厚労省のホームヘルプ時間上限設定案は、全国な、障害別団体別をこえて
結集した1月の闘いで、押し戻しました。
 その後、佐々木さんも先の投稿で国会委員会や報道から紹介して下さって
いますが、支援費導入秒読みの中で、地域で何が起こっているのか、またど
のように取り組んでいるのか、
 ここでは大阪市の場合について、2003年2月25〜26日 大阪市役所前・街頭
宣伝チラシにてお伝えします。
 文責は「障害者の自立と完全参加をめざす大阪連絡会議(障大連)」
 パージョンA、B、裏面の違うものと複数ありますが、どれも、この期間
中に配布したものです。両日、150人〜200人が参加していました。

 2月28日には、このチラシにも記述のある、精神障害者グループホーム補
助金削減問題について、地域の精神障害当事者団体・家族会・身体障害者団
体・知的障害者団体が合同して約150人参加で大阪市と交渉しました。精神
障害者グループホームについて、このような構成での交渉は初のものでした。
この件も3月が正念場です。

 長文なので、最初にタイトル・見出しを記載します

(タイトル)
支援費は矛盾だらけ・・・自立と社会参加の理念はどこに行った!?
いったい誰のための支援費制度なのか!?
(見出し)
地域で生活したい、自立した生活がしたい…  それが障害者自身の願いなのです!
大阪市は国の悪いとこ取りだ!!
外出の制度も問題だらけ、資格でもがんじがらめ…  このまま支援費に突入するのか?
重度の障害者を切り捨てるのか!?
費用負担では障害者団体との確約も無視、  本人支援の理念を忘れたのか!?
精神障害者のグループホーム制度をつぶすつもりなのか!?

(タイトル)
今こそ、脱施設・地域での自立生活を!!
(見出し)
これは 明らかな サービス水準の引き下げだ!
障害者の生活実態を なぜ 見ないのか?
1日3時間以上の介護制度が なくなってしまう!?

(タイトル)
身体・知的・精神、すべての障害者の自立生活を進めよ!
(見出し)
生活実態や障害者のニーズに合わせた認定へ!
ガイドヘルパーを充実するのか?、潰すのか!
本人支援という理念はなくなったのか!?
理念はグループホーム充実、 施策はグループホーム補助金カット??

以下、全文掲載です。
2003年2月25〜26日 大阪市役所前・街頭宣伝チラシ
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【バージョンA】

支援費は矛盾だらけ・・・自立と社会参加の理念はどこに行った!?

 いよいよ4月から障害者施策は支援費制度に変わります。措置から利用契
約方式になり、「利用者本位・障害者が事業者を自由に選べる」等と言われ、
これまで以上に介護制度も充実すると思われていました。しかし、現実はま
ったく違ってきています。利用時間の制限、これまで以上の画一的な認定、
事業者の不足、介護者への厳しい資格制限、費用負担での明らかな理念の後
退、重度障害者に厳しい料金体系などなど、充実どころか実際には「現行サ
ービス水準の引き下がり」も起きています。

 『地域で生活したい、自立した生活がしたい…
  それが障害者自身の願いなのです!』
 今年の1月になって厚生労働省は突然、介護サービスの上限案を持ち出し
てきました。重度の身体障害者で月120時間、知的障害者では重度で50
時間、中軽度で30時間という驚くべき低い数字に、全国の障害者や大阪市
をはじめ多くの自治体、マスコミなどの反対の声の中で「上限」としないこ
とを確約しました。しかし、それまで厚生労働省はこうした上限を撤廃する
ように各自治体に強く指導していたこともあり、180度とも言える方針転
換は大きな不信を抱かせるものとなりました。入所施設=箱ものには手厚く、
在宅サービスには厳しい予算配分となっているのです。理念としては「脱施
設」=これからは地域での自立生活を進めること、がうたわれているのに具
体的な施策の面では相変わらず施設中心であることは変わっていません。
 昨年12月には障害者の相談・ケアマネジメント事業の中核となる市町村
障害者生活支援事業や地域療育等支援事業の一般財源化(補助金カット)も行
いました。月120時間=1日4時間までという数字は「重度障害者は地域では
生活できない=施設へ入れ!」と言われているのと同じなのです。まして知
的障害者は重度でも月50時間=1日1.6時間であり、知的障害者への偏見・差
別であるとさえ言えます。精神障害者は施策全体が遅れており支援費の対象
からも外れています。
 2005年には介護保険に障害者も組み込んでいく話が出ていますが、介護保
険でも実際には特別養護老人ホーム等の入所待機者が激増しているように、
このままでは障害者においても施設待機者が増えかねません。しかし入所施
設では人権侵害が続発しており、入所している知的障害者のアンケートでも
8割が施設を出たいと答えているのが現実なのです。

 『大阪市は国の悪いとこ取りだ!!』
 大阪市でも支援費の下で利用できるサービスの時間数を決める支給決定が
3月上旬に行なわれることになっていますが、その内容において決して許せ
ない内容が含まれています。
 大阪市ではこれまで重度の脳性マヒ者などの全身性障害者対象の介護制度
や、知的障害者や盲ろう者の外出等のための制度、グループホーム制度など
を全国に先駆けて創設し、充実させてきました。重度身障者の場合、ホーム
ヘルプサービスと全身性障害者介護人派遣事業を合わせた利用も可能で、1
日8時間に近い介護制度を持っていました。現在策定中の新長期計画の中で
も「地域での自立生活の推進・・・特に施設で生活している障害者や長い間入院
している障害者が地域で生活できるように取り組みます」と明記されていま
す。「必要な時に必要な介護を」「重度障害者の自立生活を支援するシステ
ム」が大阪市の介護制度充実の基本的な方向だったはずです。
 しかし現在聞かされている案はこうした理念に逆行しかねない内容となっ
ています。

<裏面>
 『外出の制度も問題だらけ、資格でもがんじがらめ…
  このまま支援費に突入するのか?』
 外出のためのガイドヘルパーは支援費では「移動介護」となりますが、多
くの課題が山積みです。時間数は月51時間が上限でこれ以上の決定はでき
ないことになっています。本来は実態に合わせ外出利用が多い人には必要な
時間数を決定できるシステムを作る必要があります。特に知的障害者の介護
についてはいまだに「一人で歩けるのだから介護はいらないのではないか」
といった誤解も多く、介護や支援体制が不十分な中で3分の1の知的障害者
は入所施設で暮らしています。自立生活にとっても生活の幅を広げることは
きわめて大切なことですが、制度が不十分なために外出をあきらめてしまう
と生活の意欲自体も奪われてしまいます。また、等級による制限も残された
ままで支援費の理念と相反しています。
 またこれまではガイドヘルパー等では介護者の資格は必要がなく、団体や
個人で必要な研修を行ってきました。ヘルパーも幅広い層の市民が参加して
いました。利用者は2000人以上、介護者はその何倍もの数が活躍しています。
支援費ではすべての介護者に資格(研修)が義務付けられていますが、知的
障害者の移動(ガイドヘルパー)と日常生活支援(長時間介護の必要な全身性
障害者のための生活介護)に関しては国は未だに内容を示していません。3
月末に出ると言われていますが、申請等の準備に3ヶ月はかかるので4月か
ら7月ごろまでは新しい人は介護に入れません。しかもホームヘルパー資格
者であってもそれだけでは移動介護には入れないのです。まったく信じられ
ないことですが、国も大阪市も「半年程度の猶予期間」といった緊急措置を
取ろうとしていません。
 またこれまでは利用者と介護者で個人的に介護契約を結ぶシステムでした
が、支援費ではそれぞれ事業者との契約が必要となります。ところが、契約
できる事業者が圧倒的に不足しており、このままでは実際に利用できない障
害者、介護者が多数出てくることが予想されます。制度はあっても実際には
利用できない、介護に入れないということになりかねません。

 『重度の障害者を切り捨てるのか!?』
 支援費ではこれまでの制度より単価は上がり、一人一人が利用できる時間
数はほぼこれまで通りなので一見、問題がないように思われます。
 ところが、ホームヘルプサービス週18時間(月78時間)と全身性障害
者介護人派遣事業月153時間を両方使うような重度障害者では逆に月10
万円程度下がってしまうという信じられないようなことが現実に起きてしま
います。これは月78時間(家族同居では52時間)を超える場合はすべて
日常生活支援という安い単価で計算するという大阪市の決定のためです。
(国は高い単価の身体介護や家事援助との併用も認めています)これまで多
くの障害者がホームヘルプと全身性障害者介護人派遣事業などをうまく組み
合わせてきた実態を無視しています。このままでは金額的には78時間が上限
となってしまい1日3時間以上の介護制度は実質、破綻してしまう可能性もあ
ります。

 『費用負担では障害者団体との確約も無視、
  本人支援の理念を忘れたのか!?』
 支援費での費用負担はこれまでの障害者団体との確約も無視して、まった
く国基準どおりに実施しようとしています。
 これまで全身性障害者介護人派遣事業やガイドヘルパーは自立と社会参加
のための制度であり、費用負担を家族に求めるのは自立と社会参加を阻むこ
とにつながるとして大阪市では本人負担のみとしてきました。本人が外出し
ようとしても家族に費用負担があると利用を制限される人も出てきます。少
なくとも外出に関わる制度は本人負担とすべきです。
 また18〜19歳はこれまで本人のみの負担でしたが支援費になると親負
担となります。これは障害者施策では18歳以上が「障害者」扱いなのに税
金や費用負担の仕組みが20歳以上となっていることから来る矛盾です。し
かし他の自治体では従来どおり本人負担とするところもあります。
 理念そのものが大きく後退してしまっています。

 『精神障害者のグループホーム制度をつぶすつもりなのか!?』
 精神障害者のグループホームは1998年の大阪市障害者支援プランや今回の
新長期計画でも積極的な事業推進が掲げられています。
 ところがこれまでの補助のベース部分であった運営強化費を突然カットし、
補助金を年500万円から300万円にするというのです。
 大阪市はその削減のかわりに、社会的入院解消に関わる「社会的入院者加
算」を設けようとしていますが、ベース部分の補助を堅持し運営を安定させ
た上での補助の上積みとしなければなりません。
 もともと他の障害者の制度より低額で、運営が大変厳しい状況なのにこれ
では運営が立ち行かなくなることは明確です。
 また、地域から排除され、長い入院生活からやっとの思いでグループホー
ムで暮らしている障害者にも大きな衝撃と動揺を与えるものであり、精神障
害者施策全体を大きく後退させることにつながるものであり、断じて許すこ
とはできません。

 障害者の自立と完全参加を目指す大阪連絡会議 (障大連)
大阪市天王寺区生玉前町5−33 大阪府障害者社会参加促進センター内

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【バージョンB】

いったい誰のための支援費制度なのか!?

 『地域で生活したい、自立した生活がしたい…
  それが障害者自身の願いなのです!』
 4月から始まる支援費制度、しかし厚生労働省は今年1月になって突然、
介護サービスの上限案を持ち出してきました。重度の身体障害者で月120
時間、知的障害者では重度で50時間、という驚くべき低い数字に、全国の
障害者や大阪市をはじめ多くの自治体などの反対の声の中で「上限」としな
いことを確約しました。
 背景には入所施設=箱ものには手厚く、在宅サービスには厳しい予算配分
がありました。大阪市はこれまで全身性障害者対象の介護制度や、知的障害
者や盲ろう者の外出等のための制度、グループホーム制度などを全国に先駆
けて作ってきました。現在策定中の新長期計画の中でも「地域での自立生活
の推進・・・特に施設で生活している障害者や長い間入院している障害者が地
域で生活できるように取り組みます」と明記されています。
 しかし、大阪市の案は国の基準に従うばかりで地域で生きたいと願う障害
者の声を無視したものなのです。

 『外出の制度も問題だらけ、資格でもがんじがらめ…
  このまま支援費に突入するのか?』
・外出のための時間数は月51時間が上限でこれ以上の決定はできないこと
になっています。本来は支援費では実態に合わせ外出利用が多い人には必
要な時間数を決定できるはずなのです。
・支援費ではすべての介護者に資格(研修)が義務付けられていますが、知
的障害者の移動(ガイドヘルパー)と日常生活支援(長時間介護の必要な全
身性障害者のための生活介護)に関しては国は未だに内容を示していませ
ん。3月に出ても研修開始は7月以降で、このままでは新しい介護者が確保
できません。
 しかもホームヘルプ資格だけでは移動介護には入れないという厳しい内容
です。
・移動は家事援助と同じ低い単価、しかも資格も厳しい、事業者も不足して
いる・・・特に知的障害者のガイドヘルパーは制度はあっても利用できな
くなる人がたくさん出てきます。

 『重度の障害者を切り捨てるのか!?』
・月78時間(家族同居では52時間)を超える場合はすべて日常生活支援
という安い単価で計算するため、金額的には78時間(1日3時間)が上限と
なってしまいます。事業所としては78時間を超える利用者への派遣は非常
に厳しくなります。(介護内容は身体介護・家事援助と日常生活支援は同
じです)
・またホームヘルプサービス週18時間(月78時間)と全身性障害者介護
人派遣事業月153時間を両方使って(併用して)生活を組み立てていた
重度障害者では今より月10万円程度下がってしまいます。
・国は身体介護や家事援助と日常生活支援の併用も認めていますが、大阪市
はこれを認めていません。
 
 『費用負担では障害者団体との確約も無視、
  本人支援の理念を忘れたのか!?』
・費用負担はまったく国基準どおりに実施するためこれまで本人負担のみで
よかった18歳、19歳は親負担、外出にかかわる介護など配偶者の負担が出
てきます。他の自治体では従来どおり本人負担とするところもあります。
自立と社会参加、本人支援という理念そのものが大きく後退してしまって
います。

 『精神障害者のグループホーム制度をつぶすつもりなのか!?』
・突然、補助金を年500万円から300万円にするという決定をしました。
・大阪市障害者支援プランや今回の新長期計画でも積極的な事業推進が掲げ
られています。
・他の障害者の制度より低額で、運営が大変厳しい状況なのにこれでは運営
が立ち行かなくなります。

<裏面>その1
今こそ、脱施設・地域での自立生活を!!

 『これは 明らかな サービス水準の引き下げだ!』
 支援費ではホームヘルプサービスは身体介護と家事援助、ガイドヘルパー
は移動介護となり、全身性障害者介護人派遣事業を使っているような重度で
長時間の介護が必要なケースは日常生活支援という類型になります。それぞ
れこれまでより単価が上がり、一人一人が利用できる支給量(時間数)はほ
ぼこれまで通りなので一見、問題がないように思われます。
 ところがホームヘルプサービス週18時間(月78時間)と全身性障害者
介護人派遣事業月153時間を両方使うような重度障害者ではヘルパー派遣
事業者へ入る金額がなんと約月10万円も下がってしまうという信じられな
いようなことが現実に起きてしまいます。これでは重度障害者は実際のサー
ビス利用で大きく不利益を受けてしまいます。これは月78時間を超える利
用の場合はすべて身体介護単価(約4300円)から日常生活支援単価(約1800
円)に切り替えられるために起こる逆転現象なのです。
 身体介護と日常生活支援は介護内容はまったく同じで、違うのは介護者に
求められる資格がヘルパー3級以上(約50時間講習)か約20時間講習かです。
日常生活支援という類型は全身性障害者介護人派遣事業を使っているような
障害者のために厚生労働省が9月に設定したものです。介護保険では従来の
家事型や折衷型を廃止し「生活支援」型ができましたが、日常生活支援はこ
れよりも更に低い単価であり、身体介護との差が2.4倍もあるため全国の障
害者団体が問題にしてきました。

 『障害者の生活実態を なぜ 見ないのか?』
 厚生労働省は障害者団体の意見も取り入れて1月には身体介護・家事援助
と日常生活支援の「併用」を認めるとの方針転換をしました。
 これまでも地域で暮らす重度の自立障害者は例えば朝の2時間(7〜9時な
ど)はホームヘルプサービス、昼は作業所など、夜や日曜日は全身性障害者
介護人派遣事業を使い学生や社会人などの介護者に入ってもらっていました。
朝は短時間ですが、着替え、トイレ、外出準備や調理など介護内容も多くそ
の上、介護者確保が難しいために社協などのヘルパーに入ってもらっていま
した。ここ数年は社協のヘルパーの人数が減ってきたために民間の事業者に
もお願いしていましたが、4000円前後の単価であったため事業者としても安
定したヘルパー確保がしやすかったのです。
 「併用」が認められたのはこうした障害者の生活実態を反映したものです
が、大阪市はすでに予算案を考えた後であったこともありこの「併用」は認
めないとしています。大阪府などは当然ながらこの併用は認めています。

 『1日3時間以上の介護制度が なくなってしまう!?』
 大阪市の案では月78時間(家族同居では52時間)を1時間でも超えると
低い単価設定になるので、利用時間が増えると金額では半分以下に引き下が
るケースが生じます。また金額的には月78時間が一番高くなってしまい、
実質的に月78時間(1日約2.6時間)が制度の上限となってしまいかね
ません。身体介護と日常生活支援は2.4倍の単価差があるので金額的には78
×2.4=187時間、78時間と187時間が同じ金額になってしまいます。しかし、
長時間で認められているのは180時間までです。
 しかも日常生活支援の講習内容もいまだに示されていません。これまでは
介護資格が要らなかったため幅広い市民が協力してくれていましたが、今後
は事業者が派遣調整を行います。単価も低く、資格(講習)も必要とされる
ので介護者が確保できるかどうかは大きな疑問です。大阪市はこれまで作っ
てきたシステムを生かすのでなく、支援費になる中で潰そうとしているので
しょうか?
 このままでは重度障害者の実態をまったく無視したシステムになってしま
います。

<裏面>その2
身体・知的・精神、すべての障害者の自立生活を進めよ!

 『生活実態や障害者のニーズに合わせた認定へ!』
 外出のためのガイドヘルパーは支援費では「移動介護」となりますが、多
くの課題が山積みです。
 まず大阪市では51時間が上限でこれ以上の決定はできないことになって
います。「支援費になったらやっと必要な時間が認められる」と実態に合わ
せ時間数アップを期待している利用者も多かったはずです。しかし、大阪市
ではこれまでとおり、ニーズに合わせるのではなく等級などの機械的な認定
になりそうです。特に知的障害者の介護についてはいまだに「一人で歩ける
のだから介護はいらないのではないか」といった誤解も多く、介護や支援体
制が不十分な中で3分の1の知的障害者は入所施設で暮らしています。自立
生活にとっても生活の幅を広げること、外出支援はきわめて大切なことです
が、制度が不十分なために外出をあきらめてしまうと生活の意欲自体も奪わ
れてしまいます。

 『ガイドヘルパーを充実するのか?、潰すのか!』
 介護者(ヘルパー)の資格は大きな問題になってきます。
 これまでは知的障害者のガイドヘルパーや全身性障害者介護人派遣事業
(含む、車いすの外出)では介護者の資格は必要がなく、団体や個人で必要
な研修を行ってきました。ヘルパーも幅広い層の市民が参加していました。
少なくとも3000以上のヘルパーが活躍しています。支援費ではすべての類型
に資格(講習)が義務付けられていますが、知的障害者の移動と日常生活支
援に関しては国は未だに内容を示していません。3月中に出ると言われてい
ますが、申請等の準備に3ヶ月はかかるので4月から7月ごろまでは新人は
介護に入りたくても入れなくなります。「半年程度の猶予期間」が必要です
が、国も大阪市もこうした措置を取ろうとしていません。またヘルパー資格
だけでは移動介護には入れず、資格でのしばりは非常に厳しいものになって
います。
 また契約できる事業者も不足しておりこのままでは実際に利用できない障
害者が多数出てくることが予想されます。制度はあるが、実際には利用でき
ない・介護に入れないということになりかねません。

 『本人支援という理念はなくなったのか!?』
 費用負担はこれまでの障害者団体との確約も無視して、まったく国基準ど
おり(本人+配偶者、子ども負担)に実施しようとしています。
 これまで全身性障害者介護人派遣事業やガイドヘルパーは自立と社会参加
のための制度であり、費用負担を家族に求めるのは自立と社会参加を阻むこ
とにつながるとして本人負担のみとしてきました。本人が外出しようとして
も、家族に費用負担があると、利用を制限される人も出てきます。少なくと
も外出に関わる制度は本人負担とすべきです。 また18〜19歳はこれま
で本人のみの負担でしたが支援費になると親負担となります。これは障害者
施策では18歳以上が「障害者」扱いなのに税金や費用負担の仕組みが20
歳以上となっていることから来る矛盾です。他の自治体では従来どおり本人
負担とするところもあります。
 理念そのものが大きく後退してしまっています。

 『理念はグループホーム充実、
 施策はグループホーム補助金カット??』
 精神障害者のグループホーム制度に関しては、運営強化費補助(約200万
円)を突然カットし、年500万円から300万円にする決定がなされようとして
います。
 グループホームは1998年の大阪市障害者支援プランや今回の新長期計画で
も積極的な事業推進が掲げられ、「地域での自立生活に向けて施設・病院か
らの地域移行や地域での生活を促進する…質的向上を図るための支援の拡充
を図る」とされています。
 ところが、これまでの補助のベース部分であった運営強化費を突然カット
し、補助金をというのです。
 大阪市は削減のかわりに社会的入院解消に関わる「社会的入院者加算」を
設けようとしていますが、社会的入院を解消していくのなら、ホームの運営
を安定させるべく、ベース部分の補助を堅持した上での補助の上積みとしな
ければなりません。
 精神のグループホーム制度はもともと他の障害者の制度より低額であり、
運営が大変厳しい状況にあるのに、これでは運営が立ち行かなくなることは
明確です。また、地域から排除され、長い入院生活からやっとの思いでグル
ープホームで暮らしている障害者にも大きな衝撃と動揺を与えるものであり、
精神障害者施策全体を大きく後退させることにつながるものであることから、
断じて許すことはできません。

障害者の自立と完全参加を目指す大阪連絡会議 (障大連)
大阪市天王寺区生玉前町5−33 大阪府障害者社会参加促進センター内


http://www.asahi.com/life/aged/030226a.html
障害者福祉、現場に不安
4月スタート「支援費制度」<上>

 障害者福祉を支える「支援費制度」のスタートまで1カ月余り。サービスの利用内容を市町村が判断する措置制度から、4月以降自分で事業者を選ぶなど障害者の自己決定を重視する制度に変わります。3月には一人ひとりのサービス支給量が決まります。しかし、開始を前に財政難やサービスの不足など問題点も明らかになり、現場では不安が広がっています。(清川卓史)

 ◇増えぬサービス量

 「夜間や早朝、休日にもホームヘルパーを派遣してほしい」

 1月、埼玉県熊谷市に住む飯田力さん(55)、房子さん(45)夫妻は、支援費制度開始に向けた聞き取りで自宅を訪れた市の職員に訴えた。ともに重度の全身性障害者で電動車イスを利用し、長男(15)と暮らす。

 市内の重度障害者向けホームヘルプサービスは現在、市が運営する事業が中心。派遣は平日の午前9時から午後4時までだ。

 障害者福祉サービスは国や自治体の財源でまかなわれており、支援費制度でも変わらない。4分の1を負担する市町村が予算を決め、それに合わせる形で都道府県が4分の1、国が2分の1を支出する。このため、市町村の予算が事実上の利用限度になる。飯田夫妻の場合、週4回、1回2時間が実質的な上限。このほかは移動のための全身性障害者向け介護が月90時間だ。

 「夫婦で1日約13時間の介助が必要」と力さん。力さんは障害者のデイケア施設の施設長を務めているので、平日は朝晩の着替えや洗顔、入浴、トイレの手伝いなどに介助が必要だ。房子さんはベッドに横になると自力で体を起こせない。夜、介助者がいないときはトイレに行けなくなるので、水分をとるのを控え、午前1時すぎまで車イスに座って起きている。

 市の派遣で足りない分はボランティアや有償の介助に頼っているが、経済的な負担は大きい。

 支援費制度になってからのサービス内容はまだ決まっていないが、市は1月末、財政状況が厳しく、すぐにサービス量を増やすことは難しい、と飯田夫妻に伝えてきた。深夜や週末に対応できる民間事業者が参入する見通しもないという。

 「このままでは何も変わらない」。飯田夫妻らはヘルパー派遣事業に乗り出す準備を進めている。力さんが代表を務める「自立生活センター」の有償介助派遣を発展させ、1月末にNPO法人を設立。専従の職員3人も決め、指定事業者の申請も済ませた。

 市の03年度のホームヘルプ予算案は約3600万円で02年度より約600万円増えた。しかし、力さんは「4月からホームヘルプサービスの報酬単価が上がることを考えれば、夜間・早朝の派遣が可能になるような額とは思えない。全体のサービス量が増えないとなると、派遣事業がうまくいくかどうか……」と不安げだ。力さんは27日、市長に会い、予算の上積みなどを訴えることにしている。

 ◇自治体負担、さらに重く

 東京都町田市は障害者福祉の手厚さで全国的に有名だ。最長1日20時間(月620時間)の公的介護を保障していて移り住む障害者も少なくない。300人を超す身体・知的障害者がホームヘルプサービスを利用する。

 ホームヘルプの報酬単価アップは、利用量が多い町田市にとって深刻だ。現行のサービス水準を維持するだけで市の負担は02年度より54%増え、約10億円に膨らむ。

 厚生労働省が示した国庫補助金の「上限」問題も不安材料だ。全身性障害者の場合、月125時間(1日約4時間)を補助金配分基準とするというもの。国は上限ではないと説明、町田市のように月600時間を超えるサービスを保障している自治体でも経過措置として現行のサービス量を維持する方針を示した。

 具体的な内容は未定だが、新たにサービスを受ける人の場合は125時間を超えた分を都道府県や市町村が全額負担することになるかもしれない。

 この春、自立して生活するため、町田市に引っ越す準備を進めている車いすの新婚の夫婦がいる。2年前から準備をし、入居するマンションも車いす用に改修した。

 夫(29)は1日8時間、妻(29)は24時間近い介助が必要だ。超過分についてサービスを削るのか、負担増を覚悟で現行通り保障するのか。町田市の担当者は「現段階ではノーコメントとしか言えない」と話す。2人は「派遣時間が希望より少なくなれば、生活が成り立たなくなる」と不安を隠せない。

 夫婦を支援してきた「町田ヒューマンネットワーク」の関根善一代表(48)も重度の身体障害者で、12年前に埼玉県から移り住んだ。住んでいた市の担当者から「あなたが週4回ヘルパーを使うから、ほかの人が利用できない」とサービスの返上を促されたのがきっかけだ。「同じことがまた起きなければいいが」。関根さんは心配する。

 ◇事業者は参入に慎重

 千葉県のある市の担当者は介護保険事業者を回り、障害者のホームヘルプ事業に参入してもらえるよう要請している。

 現在、サービスを利用しているのは重度障害者の2人だけ。需要が少ないために事業参入がなく、選択肢が広がらないために利用者が増えない、という悪循環を断ち切ることが急務だ。しかし、担当者は「参入を検討しているところでも、『高齢者介護で手いっぱいで、障害者に何人のヘルパーを派遣できるかわからない』と言われる」と肩を落とす。

 障害者のホームヘルプサービスを行うための指定を申請した居宅介護事業者の数は、1月20日時点で約4150。厚労省は昨年末から参入要件を緩和しているが、見込みを下回っている状態だ。

 大手在宅介護事業者の「やさしい手」(東京都目黒区)は、すでに派遣委託を受けている約20の市区については指定を申請した。だが、「自治体の予算には枠があり、サービス量が増える可能性は少ない」として新規参入には慎重だ。

 同社は(1)障害者介助は技術的に難しく、介護事故を心配するヘルパーの声が強い(2)高齢者介護より求められるサービスの幅が広く、マニュアル化できない(3)サービスを組み立てるケアマネジャーがいない、などを理由に挙げる。

 ◆キーワード

 <障害者支援費制度> 市町村がサービスの利用申請を受けつけ、障害者のニーズを判断してサービス事業者・施設を選び、委託するのが現在の措置制度。
 支援費制度では、障害者が市町村に支援費の支給を申請し、市町村は障害の程度などを考慮してサービスの支給量などを決める。その後、障害者自らが事業者・施設を選んで契約する。
 財源は従来通り、国や自治体の障害者福祉サービス予算。市町村によって利用度合いや事業者の参入にばらつきがあり、計上する予算も大きく違う。このため、新制度に切り替わっても、望むサービスを障害者が受けられない事態が心配されている。


REV: 20160125
障害者の自立と完全参加をめざす大阪連絡会議(障大連)  ◇支援費・ホームヘルプサービス上限問題  ◇全文掲載
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