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週刊朝日への抗議文

京都−滋賀地域合同労働組合

last update: 20160125


山本さんより

先の週刊朝日の記事について京都−滋賀地域合同労働組合が以下の抗議文を出し
ておりますのでご報告いたします。

以下転載公開大歓迎だそうです。
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週刊朝日9月20日号について、厳重に抗議します。
 以下抗議すると共に、質問します。
  必ず、回答を求めます。
   回答期限は、10月15日とします。

   2002年9月26日
   京都ー滋賀地域合同労働組合

一、週刊朝日9月20日号の大波綾記事は、とても重要なことと思います。精神
病者(障害者)労働者を職場から差別・排除しようとするものに間違いありませ
ん。とことん糾していく必要があると思います。
わたし達の阪田組合員は、都タクシーの運転手をしており、その際交通事故に
より、「外傷性精神障害」を強いられました。
都タクシーは、労災にあって苦痛を強いられている阪田組合員を首としたので
す。
わたし達は、資本・会社の「労災で役に立たなくなったら首」と言う攻撃を絶
対に許せません。
 所が、週刊朝日の大波綾記事は、「鬱になったかどうかは会社の嘱託医の診断
にしろ。本人が言っても、医師の診断書があっても信用するな。最近は労働者に
鬱を理由にしたサボりが多い。」と言うものとおもえてなりません。
このような、全く資本・会社に加担した週刊朝日を絶対に許せません。

二、貴誌の上記記事は、まず、全労働者を、@会社ズル休みの連中が多い。と言
うことをキャンペーンするものです。A同時に、労働者の訴えを認める一般の医
師は信用できない。会社の嘱託医師の判断が絶対だと言うキャンペーンです。
 こんなことは絶対に許せません。
今労働者とその家族は、マスコミでも大きく報じられている通り、毎年年間三
万名を越える自殺者の急増と言う異常事態、大失業強要社会の中で生きることを
余儀なくされています。自殺を強いられた労働者家族の子供達が、小泉総理大臣
の善処を要請するなどと言うことさえ起こっています。
そのような自分と家族の生活と声明を奪われるような職場と社会の中で苦痛を
強いられている労働者仲間の精神的重圧は凄まじいものがあります。自殺を選択
せざるを得ないほど凄まじいものです。
にもかかわらず、そこから必死で「助けを求めて」医師に赴く立ちあがっている
労働者仲間に対して、「ズル休みだ」などとキャンペーンを張ることなど絶対に
許せません。
貴誌は、この点、全労働者を侮辱するものです。
 絶対に許せません。
 
三、労働組合の労災闘争、労働安全衛生闘争を完全に潰そうとするものです。そ
うして、労災被災労働者、労災で被災された精神障害者労働者を一員とした労働
組合運動を完全につぶそうとするものです。そうして労働者と精神障害者との団
結と交流をなきものにしようとするものです。
労働者階級は、労働組合の闘いを中心にして、資本・会社の労災隠しを許すこ
となく、職場の労働条件・労働環境の改善に必死で立ちあがってきました。その
重要な一環に精神的な労働条件・労働環境の人間的な確保と言う課題が強くあり
ました。その点でも労働安全衛生闘争の成果をつぶし、団結と闘いを押し潰そう
とするものです。
 貴誌は、この点、絶対に許せません。

(1)1つは、NTT東日本関東病院精神神経科秋山部長が先頭になっていると
言う事です。
 ご存知のように、今NTT11万人合理化攻撃の中で、労働者とその家族に首
切り、・生活破壊が強行されています。その事から来る苦しみ故に、精神的苦
痛・病気を強いられる労働者仲間に対して、@会社ズル休みの連中が多い。と言
うことをキャンペーンするものです。A同時に、一般の医師は信用できない。会
社の嘱託医師の判断が絶対だと言うキャンペーンです。
 その先頭にNTT東日本関東病院精神神経科秋山部長が立っているとと言う事
です。
ですが、資本こそ、会社こそ、労災隠し。職業病隠しを常態とする不法行為者
そのものです。今この点、日本医師会も、厚生労働省も労災隠しをなくせと大き
な力を割いていることは周知の通りです。毎日新聞のそれに基づいて取り組みを
しています。
貴誌と秋山部長のキャンペーンは、それを全く無視し、資本の言うことを聞
け、会社の言うことを聞けと言うものと思われます。
貴誌は、この点、絶対に許せません。

(2)2つは、国鉄分割民営化のなのもとに、国労等の闘う労働組合つぶしが強
行されました。その際、200名に近い国労等の組合員が自殺に追いやられまし
た。そして今もその問題は続いています。このことについて、責任は本人にあ
り、労働組合つぶしは関係ないという政府・会社側の主張を裏付けるものです。
今日も、国労の闘う闘争団は、この時の悔しさを忘れることなく、国家的不当
労働行為、国労潰しを許さないと闘っています。
貴誌は、この点で、闘う国労闘争団をはじめとした国労闘争を闘い仲間を強く
侮辱するものです。絶対に許せません。
あの当時も、国労はサボりだ。ヤミ手当等々のキャンペーンがマスコミ等で強
く張られました。しかしそれらは、国家的不当労働行為そのものであったことが
全て明らかになっています。
貴誌はそのことを反省することもなく、今日、全労働者を相手に、「最近会社
サボりの労働者が増えている。しかもうつ病とか言ってだ。」などとキャンペー
ンしているのです。
 わたし達は国労闘争を闘う国労闘争団と共に闘う者として、このことを絶対に
許せません。

(3)、3つは、広告業界における資本の意を呈して、広告業界の長時間残業の
強要等によって自殺を強いられた労働者への「労災認定判決」の否定を図ろうと
するものです。これは、一連のうつ病を労災として認定した判決の重要な柱に
なった事件の判決ですが、それを必死で否定しようとするものです。

(4)4つは、「中学校の教員」の話が出てきますが、これもまさに、今激増す
る学校職員の精神病について、まさに、@会社ズル休みの連中が多い。と言うこ
とをキャンペーンするものです。A同時に、一般の医師は信用できない。雇う側
の嘱託医師の判断が絶対だと言うキャンペーンです。

(5)5つは、長野英子さんの言われていましたが、全逓労働組合の高見さんの
職場からの差別・排除を否定した神戸地裁判決を完全に否定するものです。その
意味で、全逓労働組合運動をも、完全に潰そうとするものです。
高見さんの闘いでは、神戸地裁は、判決で、『主治医と患者との信頼関係の形
成が重要である』と述べて、郵政当局の一方的な郵政当局指定の医師への診断命
令を不当とした。
あらゆる病気において医師と患者との信頼関係の形勢は、極めて重要である。
労働者は、資本家と階級対立の関係にある。会社・資本の嘱託医は、労働者の階
級敵側が信頼し、依頼した医師である。そんな医師との間での信頼関係など、基
本的にありえないのである。
にもかかわらず、秋山部長は嘱託医の判断によるべきと言うのである。
わたし達繊維関係の労働者においても、例えばユニチカでは、宇治市に、ユニ
チカ中央病院と言う会社経営の病院がある。だが、ユニチカの労働者は、そこに
行けば自分の全ての体調が管理されるので、受診をいやがるのが当然である。
既に始まっているNTT11万人合理化でもそうであるが、会社は、労働者家
族に病人がおり、或いは高齢者がおり、介護問題があることを知れば、広域配転
を故意に命令しさえするのである。そうして労働組合潰しを行ったり、労働者の
立場を更に弱い立場に落とし込め、会社への従属を狙う者である。
秋山部長のNTTにおいてもうその事例が出ているのである。
このような一方では、労働者の「弱み」につけこんで非人間的行為の限りを尽
くしておきながら、他方で、「会社の嘱託医を信頼せよ」などと言うのは、全く
の暴論である。
貴誌の態度は全く許せない。

(6)以上のように、労働組合の労災闘争、職場安全衛生闘争をはじめとした必
死の闘いを、完全に潰そうとするものです。

四、週刊朝日とNTT東日本関東病院精神神経科秋山部長は、「医師やカウンセ
ラーが、客観的評価もなく本人の言うがママに、診断書や指示を出す事は、実際
に行われています。」「本人の意向通りに診断書を出している精神科医や心療内
科医は少なくない。」などと言っている。
 だが、それなら、日本医師会なりで、なぜ公表し問わないのか?
全社会的に、医師の氏名なりを公表し、糾さないのか?
そう言うこともしないで、公に論じないで、陰でこそこそと陰口を言うなどと言
うあり方は、週刊誌としても、医師としても、大失格である。
この点、貴誌の秋山部長の責任を問う。

五、週刊朝日は、中堅広告会社に勤めるKさん(33歳)を例に挙げて言う。更
には、北海道の中学校の教員(36歳)を例に挙げている。だが、周辺の偏見に
満ちた話は、引用するが、本人の言い分、主治医の話は全くない。
 このような週刊朝日の記事は、精神病者・障害者を職場から抹殺しようと言う
悪質なキャンペーンそのものであると断言できる。
 特に重要なのは、@医師が鬱だと診断しても信用するな。A会社は、嘱託医にか
からせろ。とキャンペーンしているということである。

(1)今日、精神障害者、病者労働者に対しての職場もの差別的現実は今も根強
い。そのような中で、特に、「匿名」で、精神病者労働者を攻撃する「周囲の
人」と言うのは、絶対に許せない。
既に自治労でも各自治体などでの仕事の途中に精神病者・障害者になった仲間
を共に職場の仲間として、しっかりと迎え、共に団結し歩むと言う闘いが進んで
いる。
自治労顧問の上野医師の話にもある通りである。
(2)全社会的にも、例えば、住居の問題にしても、精神病者・障害者への住居
提供における差別は依然多きなものがある。この点、京都市こころの健康増進セ
ンターの方が明らかにしている通りである。
貴誌は、このような困苦を強いられている精神障害者・病者労働者仲間に対し
て、重大に罵倒するものである。絶対に許せない。

六、現在、会社は、犯罪行為を強要して、儲けようと言うところまですさんでい
る。
 東京電力等の原子力発電所での違法行為の続発に明らかである。日本ハムによ
る違法行為の続発に明らかである。雪印食品による違法行為の続発に明らかである。
 また、会社による労災隠しは、極めてゆゆしき事態にいたっている。厚生労働
省も日本医師会でさえも、その是正の重要性を訴えている。
 とりわけこの時に、「うつ病については、一般の医師は信用するな、会社の指
定する医師にかからせろ」と言うのである。これは、まさに会社のいいなりの医
師に判断させろと言うことに他ならない。こう言うことを週刊朝日はキャンペー
ンしているのである。
 絶対に許せない。

七、貴誌は、既に「鬱」と診断名がおりている労働者仲間に対しても、「会社は
信用するな。」としているのである。  
絶対に許せない。

 貴誌に厳重に抗議すると共に、記事についての謝罪を要求する。
 貴誌の見解を求める。

2002年9月26日  京都ー滋賀地域合同労働組合

REV: 20160125
精神障害/精神障害者 2002  ◇全文掲載
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