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パン・アフリカンエイズ治療実現行動

(PAN-AFRICAN HIV/AIDS TREATMENT ACCESSMOVEMENT)

last update: 20160125


斉藤@足立区です。

[GAA]から吉田さんが、表記のメールを転送してくれました([GAA]については Website: http://www.globalaidsalliance.orgをご覧下さい)。南アフリカ共和国のTACが発しているニュースが、MLを通して伝わってきたわけです。
今後の取り組みの方向、共同作業の相手、などについて考える上で重要なニュースなので、全訳を紹介します。

From: "TAC News Service"
25 August 2002


みなさん
この8月22日〜24日、アフリカ21カ国から70人以上の代表がケープタウンで、パン・アフリカンエイズ治療実現行動を開始するための会合を持ちました。以下は、この会合で採択された宣言です。できるだけ多くの人びとと共有してください。

パン・アフリカンエイズ治療実現行動宣言

 私たちは腹を立てている。私たちの仲間が次々に死んでいるのだ。

 治療が実施されなければ、現在この大陸に暮らす2800万人のPLWAs(HIV/AIDS感染者)は、10年内に予告されたしかし避けることのできる死を迎えることになる。アフリカでは、今年一年だけで200万を超える人びとがエイズによって命を奪われる。これは、人道に対する罪に他ならない。各国政府、国際機関、民間セクターそして市民社会は、貧しい人々を標的としたホロコーストをくい止めるために今すぐに行動を起こさなくてはならない。必要とする全てのHIV感染者に、総合的なケアの一環として抗エイズ薬(ARV)治療を保証しなくてならない。こうした現状を踏まえ、少なくとも、世界保健機構(WHO)が目標として掲げる2005年(?)までに途上国に暮らす300万人以上への抗エイズ薬治療を、早急に実施することを求める。私たちは、国際的な連帯の力で、この目標を実現すべき責任を負う各国政府・国際機関・債権国そして民間セクターを追及していく。

 私たちは、アフリカ21カ国の活動組織を代表して、8月22日〜24日、南アフリカ共和国ケープタウンで会合を持ち、必要とする全ての人びとにエイズ治療を保証するために、私たちの共同体そして大陸を立ち上がらせることを目ざすパン・アフリカンエイズ治療実現行動を開始した。

 私たちは、アフリカ大陸におけるHIV治療および予防活動の現状報告を持ち寄った。いたるところで、目覚ましい成果が上がっており、いくつかの国々では新規感染者数が大きく減少し、またHIV/AIDSによって被害を被った個人・家族・共同体へのケアも改善されている。しかし、現在の取り組みだけでは不十分であることも、全体で確認された。エイズ危機の拡大は、貧困、社会経済的な不平等、性的不平等、不適切なヘルス・ケア施設そして弱体な管理・運営機構といった、アフリカが直面する多くの問題を明るみに出した。抗エイズ薬治療を実現することは、倫理的な義務であるだけでなく、感染防止活動を強化し、VCT(voluntary counselling and testing;自発的エイズ検査?)への参加を増やし、日和見感染症の発症を減らし、またエイズによる孤児の数をも含む、家族・共同体そして経済にHIV/AIDSがもたらす影響を軽減するものである。

 生存、尊厳、平等、自由そしてヘルス・ケアを含む公共財への平等なアクセスという人権を確認することが、エイズ危機に取り組むにあたっての基本的な原則である。この点において、人権宣言そして人民の権利に関するアフリカ憲章に立ち返らなくてならない。さらに、アフリカにおいては、女性・子どもそして若者の人権がことに脅かされているという現実がある。HIV/AIDSに対する治療と感染防止の戦略は、人権を脅かされている人びとに特有のさまざまな必要を考慮に入れなくてはならない。ことに重要なことは、社会的サービスそして医療保険への平等なアクセスを含むPLWAsの人権が守られることである。差別と差別意識が私たちの尊厳を脅かし、エイズ危機に立ち向かう努力を阻害している。アフリカのPLWAsである私たちは、政策決定過程に名目的に参加してはいても、実質的に関与してこなかった。私たちの目標は、PLWAs自身がHIV/AIDSに関わる全ての政策決定および実施の家庭に積極的に関与していく中でしか実現しない。

 エイズ危機の被害を軽減するためには、各国政府、国際機関、民間セクターことに医薬品産業、そして米国・EUを始めとする高所得諸国の政治的指導力と責任を果たす努力が必要とされる。私たちは巨大な障壁と闘っている。HIV/AIDS治療を優先課題としない政策、必要な資金を十分に拠出することを拒む援助国、法外な価格付けによって全ての人が必須医薬品・検査薬を利用することを阻む製薬会社、公共のヘルス・ケアシステムを破壊する世界銀行・IMFが進める構造調整政策、そしてヘルス・ケア含む基本的な社会サービスへの資金投入を困難にする高所得諸国への債務。これら障壁となっている諸機関・部門に果たすべき責任を遂行させるためには、共同体レベルでの人びとの立ち上がりと市民の社会的行動が絶対に必要である。

 人びとが健康であることは、持続的な開発の先行条件である。現在のエイズ危機は、アフリカ諸国のヘルス・ケアシステムを大きく揺るがしている。貧しい人びとを対象としたエイズ治療そして感染防止のプログラムを含む社会保障政策を実施することなく、持続的な経済開発を実現することはできない。

 現在、食料安全保障の欠如による危機(飢饉)が、アフリカの多くの人びとに被害を及ぼしており、エイズ危機はさらに状況を悪化させている。この危機に立ち向かうために、緊急の食料援助を求めるものである。援助国および受け入れ国の政府は食料援助の実施に不当な条件を付けてはならない。社会全体の保全につながる継続的な食料生産と公平な分配を確実にする国家的政策と国家による施策なしには、食料安全保障は実現されない。政策立案・施策実施にあたっては農場主・農業労働者そして給養の専門家との協議がなされなくてはならない。

○私たちは、アフリカ諸国政府、援助国、国際機関、製薬会社、そして他の民間企業・財団・団体に以下を要求する。

●アフリカ諸国政府への要求項目

・全ての人びとに行き渡る、抗エイズ薬治療をも含む総合的で明確で法的な拘束力のあるHIV/AIDS政策とケア・プランを策定し実施すること

・感染防止にむけて:男性用・女性用コンドーム配布の拡大、殺菌剤およびワクチン研究資金の増額

・VCT(カウンセリングを前提とした自発的HIVテスト):地方部、都市部でVCTセンターを拡充しHIVテストを受けやすくすること
 VCTキャンペーンはエイズ理解につながり、感染防止および治療の取り組みへの支援となる。

・母子感染・親子感染の防止に向けて: 全ての産前医療ケア施設で、早急に母子感染・親子感染防止の取り組みを産前ケアの重要な要素として実施するプログラムを策定し実施すること。母子感染・親子感染防止の取り組みを抗エイズ薬治療プログラムに結びつけていくこと。また、女性たちに乳児への授乳あるいは人工栄養など選択を要する事項について必要な情報を提供すること

・性的暴行被害者およびセックス・ワーカーのための接触後感染防止法(Post-Exposure Prophylaxis;PEP)

・日和見感染症の治療:結核、カポジ肉腫、カンジダ症、髄膜炎はじめ全ての日和見感染症に対し、フルコナゾル、アシクロビル、コトリモキサゾールといった薬剤を使用しての積極的な治療を実施すること。薬剤耐性、副作用に関するモニタリング(特にコトリモキサゾールに関して)も同時に進めること

・結核治療:診断手順の見直し、診断法の改善、治療薬服用を容易にする新しい手法開発への資金投入、さらに現存の結核治療施設を抗エイズ薬治療プログラムを行い得る施設へと拡充すること

・性感染症治療:性感染症治療および予防教育を拡充すること

・栄養補給:栄養補給・食事改善についての情報提供、教育を拡充し、被害を被っている諸個人・家族への支援を行うこと

・苦痛緩和ケア:医療機関と連携した家庭内での終末ケアを拡充すること

・臨床治験:全ての臨床治験が普遍的な倫理概念に沿って行われることおよび製薬会社が全ての臨床治験参加者の生存のための治療を確約することを保証すること

・死と病気が私たちの家族・共同体・経済の経済に及ぼしている多大な影響をなくしていくために、保健衛生、とりわけHIV/AIDS・結核・マラリアへの取り組みに対し国家予算の15%を投じるというアブジャ・サミットでなされたコミットメントを実施すること。十分な報酬で熟練した保健・医療従事者を確保することも課題にしなくてはならない

・TRIPS協定と公衆衛生に関するドーハ宣言を実行に移し、ブラジル、タイ、インドその他の国々からのジェネリクス薬製造技術移転をも含めた南南協力を通して、ジェネリクス薬の現地生産の拡大に向けた手順を踏んでいくこと

・抗エイズ薬をプライマリーケアレベルの必須医薬品リストの入れること

・PLWAs、共同体、保健医療従事者に対して治療に関する情報提供・教育を強化し、治療を受けようとする動きを促進すること

・公平にまた安定的に供給される最も安価な高品質の医薬品を使った抗エイズ薬治療を拡大あるいは開始する包括的な申請をGFATMに対して行うこと

・各国の保健医療およびHIV/AIDSに関わる予算を行使するにあたって、公平、公開、説明責任を強化すること。保健医療の取り組みで効果を上げていくためには、特定対象に偏らない予算行使が必要である

・全ての必須医薬品および欠かすことのできない診断薬に対する税を撤廃すること


●OECD加盟国・中所得国など援助国に対して

・GDPに応じて新たに年間100億ドルを上回る資金拠出を通して、エイズ・結核・マラリアと闘う世界基金(GFATM)に適切な資金供与を行うというすでになされたコミットメントを完遂すること

・ドーハ宣言を真摯に実行に移し、国内に十分な製造能力を持たない国は最も効果的な方法で高品質のジェネリクス薬を輸入する権利を持つことを確認し並行輸入に関わる問題点を解決すること

・途上国に対して予防最優先、先進諸国の製薬会社の医薬品のみの強要、GFATMへの申請抑制に関わって圧力をかけることをすぐにやめること

・債務を破棄し、社会サービスとりわけ保健医療への資金投入を保障すること

・新薬、新しい診断薬、ワクチン、殺菌剤研究開発予算を増額すること


●WHO、WTO、UNAIDS、UNICEF、GFATMを含む国際機関に対して

・2005年までに最低300万人に抗エイズ薬治療を実施するという目標を達成するための具体的な対象および日程設定を含む戦略を早急に策定すること

・アフリカ諸国が十全な治療プログラムおよび申請を策定し実施するための技術的援助を行うこと

・政治的干渉を受けることなく委託された任務を果たすために加盟国から独立して行動すること

・厳しい環境に対応するために、簡略化された治療法(抗エイズ薬治療、結核治療)、簡略化された診断法と検査手段(抗エイズ薬治療、結核治療、性感染症対策)、殺菌剤そしてワクチンの研究開発の方針を確定すること

・臨床治験参加者に対して生きている限り無償の治療を保障する国際的な倫理ガイドラインを策定すること



●医薬品産業による利益優先主義とパテント濫用によって、すでにアフリカ大陸を始めとする各地で死と苦しみが引き起こされ、そして現在も引き起こされている。医薬品の高価さは、最も疾病による危機に苦しんでいる私たちの大陸が最も必須医薬品に遠い状態を固定させている。従って、医薬品産業に対しては以下を要求する

・治療薬、診断薬そして検査手段の価格を無条件で引き下げること

・途上国がジェネリクス薬を製造あるいは輸入することを妨害することを即時止めること

・要求に応じて無条件で特許権供与を行うこと

・臨床治験への全ての参加者に対し、生きている限り無償で治療を行うこと、またWHOが策定する国際的な倫理ガイドラインを遵守すること


●多国籍企業、半官半民企業、大企業そのた民間財団・団体など民間セクターに対して

・HIV/AIDSに関わる取り組みに対する社会的な資金供与を通して社会的利益に貢献すること

・全ての従業員を対象としたHIV/AIDS教育、VCT、心理的・社会的支援および抗エイズ薬治療を始めとする治療の実施を含む、労働現場における包括的なHIV/AIDS対策方針を実施すること

・雇用および施策の推進・実施にあたっていっさいの差別をしないこと

・PLWAsに対して適切なケアと治療を実施するための企業内医療保険を確立すること


●私たちは以下を実現することを宣言する

・PLWAsを中心にした、私たちの生活に関わる主要な政策決定過程にPLWAsが関わることを確実にする共同体に基盤を置いたアフリカにおける現在のエイズ危機への対応策を提示する

・まずはWHOが掲げる2005年までに途上国の300万人への抗エイズ薬治療の即時実施を実現し、必要とするアフリカ大陸中の全ての人びとが抗エイズ薬治療を受けることができるように共同体、政治的指導者たちそして全ての領域・階層の人びとに立ち上がりを促す

・2005年までに予想されるPLWAsの少なくとも10%に対し抗エイズ薬治療を実施するという明確な目標を持って、アフリカ諸国政府が包括的なケアの一環として抗エイズ薬治療を含む国内治療計画を立案することに最大限協力する

・ジェネリクス薬の現地生産、並行輸入、地域一括購入その他、公平、安定な最安価の高品質薬品、診断薬、検査手段入手を確実にする取り組みを政策提言していく

・政策策定・施策実施そして明示された諸目標達成の責を負う各国政府・国際機関、民間セクターとりわけ医薬品産業を、国際的な連帯運動と共に注意深く見守り必要があれば抗議の声をあげていく

・HIV/AIDSのケアと治療の全領域にわたって簡明で判りやすい知識および情報をPLWAs、共同体、保健医療従事者に向けて作成・配布し、治療を受けようとする動きを促進していく

・地方、国内、地域レベルでの治療実現・促進に向けたキャパシティー・ビルディングのためにお互いの情報と経験を共有していく

・2002年10月9日をエイズ・結核・マラリアと闘う世界基金のための国際行動の日と設定し、援助国にさらなる資金拠出、資金供与申請そして供与決定過程において治療優先、情報開示および基金配分のモニタリングを求めると同時に、各国の調整機構にPLWAsが重要な役割を果たすことを要求して行動する

・アフリカにおける最大の民間企業であるコカコーラおよび他の多国籍企業に対する国際行動を2002年10月17日に設定し、HIVポジティブの従業員および家族に対する抗エイズ薬治療を実施することを求めていく

・世界エイズ・デーの12月1日、抗エイズ薬治療実現国際行動を実現する


数百万の命がかかった巨大な取り組みである。成功させなくてはならない。


PS
僕の手元に届いた原文は一部タイプミスがありました。その点、また、文章の読み間違いや不適切な用語使用などがあるかと思います。
多くの人に知って欲しい宣言ですので、できるだけ早くウェブ化します。早急に点検をお願いします。

斉藤 龍一郎

REV: 20160125
HIV/AIDS ◇HIV/AIDS・2002  ◇全文掲載
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