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「道交法,銃刀法,警備業法のパブリックコメント」

日本障害者協議会

last update: 20160125


◆2002/01/17 道交法,銃刀法,警備業法のパブリックコメント

氏名:日本障害者協議会 代表河端静子
住所:162-0052 東京都新宿区戸山1-22-1
    (財)日本障害者リハビリテーション協会内
電話:03-5287-2346
意見:
(以下は各部署に送った意見)

○ 銃刀法

 日本障害者協議会は,障害をもつ人の当事者団体および関係者
団体により構成される全国団体です(現在69団体加盟)。
 当会は,以前より政府および関係省庁に対して,障害にかかわ
る欠格条項の抜本的見直しを求めており,近年では,1998年に総
理府障害者施策推進本部宛に,「障害を事由とする欠格条項に関
する要望」を提出し,また,昨年11月5日に警察庁からのヒアリン
グの際にも,見直しにあたっての当会の意見を表明しております。
 さて今回の「銃砲刀剣類所持等取締法」の一部改正案の内容は,
当会の主張が反映されておらず,誠に残念に思っております。そ
こで改めて当会としての意見を表明いたします。
第一に,今回の改正は,現行法同様,病名を欠格の基準としてお
り,精神疾患患者を一律に排除することになり,「精神保健福祉
法」の理念とも矛盾していることから,改正内容の再検討をお願
いします。
 現行の「銃砲刀剣類所持等取締法」における欠格条項の規定理
由は「精神病者,心神耗弱者のように健全な精神状態を完全に欠
いている者や,これを欠いている者に銃砲刀剣類を所持させるこ
との危険性を排除するため」と述べており,古い精神病者観に基
づいた規定と考えます。現在の学会等の理解では,精神疾患をも
つ者であっても,健全な精神状態を併せ持っているとしています
が,今回の改正は,これまでの古い精神病者観から抜け出せてい
ないと考えます。このように一律に精神疾患患者を排除する規定
は,精神疾患をもつ人の社会参加を阻害するだけでなく,精神疾
患患者を危険視する誤解と偏見を拡大させるものと言わざるを得
ません。現行の「精神保健福祉法」は昭和62年の改正で,精神障
害者の理解と協力を義務づけており(3条),同法の理念と相反す
る規定と考えます。よって,病名を欠格の基準としない改正内容
にしていただきたく,再検討をお願いします。
 第二に,再検討する際には,銃刀法の安全な管理能力に着目し
た欠格内容としていただきたくお願いいたします。
 確かに銃砲刀剣類は,国民が一般的に所持するものではなく,
その所持にあたって規制を行うことは合理的であり,必要なこと
と考えます。そして,自己や他人に危害を加える恐れが高い者に
許可を与えないということも理解できます。しかし危害を加える
恐れが高い者=「精神疾患患者」とは言えないことは,上述の通
りです。自由民主党政務調査会「心神喪失者等の触法及び精神医
療に関するプロジェクトチーム報告(案)」(座長熊代昭彦・平
成13年10月30日)でも,「精神障害者は、我々の社会の大
切な構成員である。精神障害者の犯罪率は、社会全体の犯罪率に
比ベ、かなり高いのではないかと一般に漠然と考えられているが、
その認識は正確な資科によって改められる必要がある。」と冒頭
で基本認識を述べています。
 よって「精神疾患患者」であろうがなかろうが,安全な管理が
できない者を欠格とすることには賛成いたしますが,「精神疾患
患者」を一律に対象とした今回の改正案は,合理性を欠いており,
銃刀法の安全な管理能力に着目した欠格内容としていただきたく,
ご検討のほどお願いいたします。

○警備業法

 日本障害者協議会は,障害をもつ人の当事者団体および関係者
団体により構成される全国団体です(現在69団体加盟)。
 当会は,以前より政府および関係省庁に対して,障害にかかわ
る欠格条項の抜本的見直しを求めており,近年では,1998年に総
理府障害者施策推進本部宛に,「障害を事由とする欠格条項に関
する要望」を提出し,また,昨年11月5日に警察庁からのヒアリン
グの際にも,見直しにあたっての当会の意見を表明しております。
 さて今回の「銃砲刀剣類所持等取締法」の一部改正案の内容は
,当会の主張が反映されておらず,誠に残念に思っております。
そこで改めて当会としての意見を表明いたします。
 第一に,欠格事由の規定理由が合理性を欠き,「精神保健福祉
法」の理念とも矛盾すること。
 警備業法では,昭和57年の改正で,欠格事由が追加され,「精
神病者」等が追加されました。なおその規定理由は「精神病者は
一般的に判断力、自制力に欠けるところがあり、さらには、他人
の生命、身体及び財産を侵害するおそれもあり、適正な警備業務
の管理運営、実施を期待し得ないと認められるため」(1998年総
理府調べ)でした。しかしこの規定理由は,古い精神病者観に基
づいたものと考えます。現在の学会等の理解では,精神病者であ
っても,健全な精神状態を併せ持っているとしています。しかし
今回の改正において欠格条項を必要とする理由に同様の趣旨が記
されており,これまでの古い精神病者観から抜け出せていないと
考えます。こうした精神病者観にもとづく今回の改正は,精神障
害をもつ人の社会参加を阻害するだけでなく,精神病者に対する
国民の誤解と偏見を拡大再生産するものと言わざるを得ません。
現行の「精神保健福祉法」は昭和62年の改正で,精神障害者の理
解と協力を義務づけており(3条),同法の理念と相反する規定が
警備業法に残されることに遺憾の意を表明します。
 第二に,欠格条項を廃止しても,国民の警備業に対する信頼性
を揺るがさないと考えられ,廃止すべきであること。
 警備業は,民間で行われるものであり,いかなるものが警備業
を営み,警備員として採用されるかは,基本的に民間の裁量に任
されるところと考えます。無論,事業の性格上,最低限の規制は
必要と考えますが,本欠格条項を廃止しても,警備員として「障
害があっても十分な業務遂行能力」を有するか否かの判断は事業
主が行えばよいことです。本欠格条項の有無によって国民の警備
業に対する信頼性が揺るぐとは考えられません。よって,本欠格
条項が廃止されることを強く要望いたします。

○道交法

日本障害者協議会は,障害をもつ人の当事者団体および関係者
団体により構成される全国団体です(現在69団体加盟)。
 当会は,以前より政府および関係省庁に対して,障害にかかわ
る欠格条項の抜本的見直しを求めており,近年では,1998年に総
理府障害者施策推進本部宛に,「障害を事由とする欠格条項に関
する要望」を提出し,見直しにあたっての当会の意見を表明して
おります。
 さて,「道路交通法施行令の一部を改正する政令試案」の「第
2 病気等に係る免許の拒否や取消しの基準等の整備につい
て」,当会の意見を表明いたします。

 第一に,「1 免許の拒否や取消し等の基準」については,試
案のように「精神分裂病」「そううつ病」「てんかん」などの疾
患名を挙げての基準を定めないこと。
 特定の疾患を挙げて免許の拒否等を行う基準を定めることは、
これらの疾患患者においては、当該疾患を有するすべての人々へ
の偏見を助長し、その移動に関する生活のみならず、生活全般に
影響を及ぼす可能性があります。
 試案では「精神分裂病」「そううつ病」「てんかん」を挙げて
運用基準を定めることとしていますが、自動車運転に支障をもた
らすのはそれらの疾患のごく例外的で一時的な症状にすぎません。
また、治療やリハビリテーションの進歩等により、精神疾患は
従来よりも比較的短期に回復し、社会参加が可能となりました。
このようなことから、回復を前提とした保留・停止にとどめるべ
きと考えます。
 なお、精神分裂病関係、そううつ病の項目を削除し場合につい
ては、あらたに「急性精神病状態」という項目を立て、以下のよ
うな規定とすることを提言します。

「急性精神病状態」
(1) 急性精神病状態にある人が、その症状により交通事故を起こ
した場合は、主治医または公安委員会が指定する医師が、その症
状が消失し、運転に支障がない状態までに回復したと認めるまで
運転免許を停止する。6月以内に回復しない場合は、6月ごとに停
止期間の延長ができるものとする。
(2) (1)以外であっても、明らかに急性精神病状態にあり、主治医
または公安委員会が指定する医師が運転に支障があると認めた場
合は、最大6月間の運転免許の保留または停止を行う。主治医また
は公安委員会の医師が運転に支障がない程度に回復したと認めた
場合には停止期間を短縮できるものとするが、6月を経過してもな
お病状が回復しない場合には停止期間の延長を行うことができ
る。

 また,てんかんに関しては,「発作の再発」という表現が不明
確であるため,「再発」という表現の削除をお願いします。

 第二に,「1 免許の拒否や取消し等の基準」については,試
案の「…おそれがないと認められる場合には免許の拒否等を行わ
ないこととします。」ではなく,「…おそれが認められる場合に
免許の保留・停止等を行うことができます」と変更することを要
望いたします。
 「試験で確認することが困難な、幻覚の症状を伴う精神病であ
って政令で定めるもの、発作により意識障害又は運動障害をもた
らす病気であって政令で定めるもの、その他自動車等の安全な運
転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるものにか
かっている場合等には、公安委員会は、政令で定める基準に従っ
て、免許の拒否や取消し等ができること」という規定は,当該疾
患の有無にかかわらず試験に合格したものの内「拒否や取消し等」
にあう者が例外であると解すべきと考えます。なぜならば,障
害者施策推進本部の見直しの方針では,障害にかかわる欠格条項
は原則廃止であり,「真に必要」なものについても,極力制限を
限定化する旨の趣旨が謳われています。この試案は、運転に支障
を来す可能性がある疾患や障害を列挙し、それらを有する人々の
運転免許取得を制限することを前提として、例外的に障害や疾患
が軽微な場合だけ免許の取得や更新を認めるという考え方に基づ
いていると解せられます。しかし、運転に支障があるのは、疾患
や障害を持つ人の一部の人にすぎず、しかも疾患によっては一時
的な現象にすぎません。よって制限が例外であることを明示する
ために,運用にあたっては「以下の諸基準は障害や疾患を持って
いる人も一市民として自動車を運転し移動する権利を有するもの
であるという基本的な認識に立って定められたものです。その
適用にあたっては、免許の拒否・取消し等にのみ着目するのでは
なく、障害や疾患を持つ人が安全に運転でき移動できる諸条件を
整えることに努めなければならない。」旨の趣旨が各公安委員会
等に周知徹底されるようお願いいたします。

第三に,再発予測診断に基づいた処分や命令は行わないこと。
 試案では、「免許証の有効期間中」あるいは「6月以内」に、
「症状が再発するおそれがないこと」を医師に診断させ、その診
断に基づいて免許の保留・停止・拒否・取消処分の決定、あるい
は臨時適性検査(又は主治医診断書の提出)命令を行うこととし
ています。しかし、次のような理由から、将来の再発予測を処分の
条件とすることは行うことは適切ではないと考えます。
?一般に精神疾患の再発の可能性、とくにその時期を確実に予測
することは不可能である。
?再発すると予測して再発しなかった場合には当事者の生活権の
著しい侵害をもたらす。
?主治医が、自動車免許取得制限のために再発可能性を記した診
断書を発行することは、主治医と患者の信頼関係を損ない治療継
続を困難にする可能性がある。

第四に,病気などを原因としてやむを得ず運転免許の停止処分等
を行う場合には、一律にすべての運転を禁止するのではなく、障
害の質と程度に応じて停止処分の内容を弾力的に決められるよう
にすること。そのためには「運転制限に関する諮問委員会(仮称)」
の設置が必要である。
 病気などを原因としてやむを得ず運転免許の停止処分等を行う
場合には、一律にすべての運転を禁止するのではなく、運転目的
(自家用、人員輸送業務、運送業務など)、運転道路種と運転距
離、運転時間帯、服薬遵守など、その運転に支障を来す障害の質
と程度に応じて停止処分の内容を弾力的に決められるようにすべ
きと考えます。そのためには、障害者団体代表や精神科リハビリ
テーションの専門家が加わった「障害にかかわる運転制限に関す
る諮問委員会(仮称)」を設置し、公安委員会の決定を保佐するシ
ステムが必要です。
 このような配慮を行うことによって、日頃から制限されがちな
障害者の移動制限の拡大を最小限にくい止めることができます。

第五に,免許申請時や免許更新時の病状等申告制度の導入にあた
っては,まず申告対象となる病状出現期間を限定化すると同時
に,病状等を申告した者が,必要以上の権利制限が行われないよ
うに配慮すること。
 試案では、免許申請書又は更新申請書に、具体的な病名等の記
載は求めないが、「病気等ごとの具体的な運用基準」に該当する
症状等を有しているかどうかを把握するために4項目の設問に回
答しなければならないとしています。この申請書に精神疾患に関
する回答欄がないことはご配慮いただいたものと考えます。
 しかし4項目目(医師から助言を受けている場合)のみ「現在」
という限定がなされているものの,他の項目については,期間の
限定がなく数十年前にあった病状でも素直に読めば該当者として
申告を促すものとなっています。改正案の趣旨からいえば,当然一
定期間内に限定されるべきであると考えます。
 さらに,必要以上に申告者の免許取得の制限を回避し,また適
切な医療サービス等に結びつけるためにも,相談機関で適切な相
談が受けられるように配慮することを求めます。


REV: 20160125
欠格条項  ◇日本障害者協議会  ◇全文掲載
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