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「武力によらない平和を求める!」

日本キリスト教協議会→米国大統領

last update: 20160125


米国大統領、ジョージ・ブッシュ 様

     「武力によらない平和を求める!」

11日、米国の人々が襲われた突然の殺戮行為とその惨劇に
対して 平和を願う世界中の人々は、私たちとともに、大きな
衝撃を受け、深い悲しみと慄きのうちに、哀悼の祈りを共に
していると考えます。日本キリスト教協議会(NCCJ)に
つながる私たちも、犠牲者の方々を深く悼み、また、瓦礫の
下で生き延びている人々の一刻も早い救出と、手当てを受け
ている方々の癒しを、心から祈るものです。

 11日、米国ニューヨークの世界貿易センタービルと
ワシントンの国防総省という、米国経済と軍事戦略の中心と
いえる建物に、何者かにハイジャックされた3機の旅客機・
航空機が相次いで激突し、炎上しました。またピッツバーグ
付近でも航空機が墜落し、「同時多発テロ」として、世界中を
震撼させ、暴力とテロに対する憤りを巻き起こしています。
4機の乗客乗員をはじめ、このビル内で働く人々、救助に当た
った人々など、実に何千人もの死傷者・被害者は、ごく普通の
朝の一日を初めたばかりでした。巨大な軍事力のすき間を縫う
ような形で、ハイジャックした飛行機でビルに突撃するという
暴挙は、ミサイルによる攻撃同様どんなことがあっても許され
てはなりません。このような犯罪行為は、国際的な、完全に法的、
理性的、平和的方法で処罰されるべきです。

 米国が「自由と民主主義」に対する攻撃に対して、断固とし
た闘いを宣言されるとき、私たちは、その戦いが、軍事的報復
によらない完全に平和的手段によるものであり、そのことによ
って、米国の正義と平和への決断における倫理的優位を、国際社
会に対して明らかに示すものであることを、心から希うものです。
「報復」は、敵意と軍拡の相乗作用を増幅させるだけで、平和を
危うくし、人々を恐怖と不安に陥れるだけです。いかなる科学的
先進的技術による防衛も、敵意のあみ出す巧妙な攻撃を封じるこ
とはできないでしょう。軍拡競争への道を遮断し、和解と平和へ
の道を模索する他、人類が生き延びる道はありません。米国がこ
れまで地域対立への調停の役割に惜しみない努力を傾注してこら
れたのも、市民生活を大切にする自由と民主主義の精神を固持し
たいと考えられたからでした。世界中のどの国も、経済的な状態
や社会的な状況に関わらず、軍隊でない市民がミサイルや「テロ」
攻撃にさらされることはそれ自体不正義であり、決して許される
ことではありません。
 日米安保条約の下、他国への攻撃の基点とされ、さらなる基地強化
がなされようとしている沖縄など多くの基地を抱える日本にとって、
今回の攻撃はけっして他人事ではありません。軍事「報復」をもたら
す危険な基地の撤去を求めます。

 今こそ、滅びに到る「報復」のワナにおちいることなく、
米国の正義と自由、民主主義を、全世界に明らかにすることにより、
真の平和への道を指し示されることを希望するものです。

2001年9月12日

日本キリスト教協議会
 総幹事          大津健一
 平和・核問題委員会委員長 小笠原公子


……以上……

REV: 20160125
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