「国=厚生労働省は、熊本地裁判決に従って、遺族原告・非入所者原告・退所者原告と和解せよ!」
石埼 学 2001/09/11
last update: 20160125
国=厚生労働省は、熊本地裁判決に従って、遺族原告・非入所者原告・退所者原告と
和解せよ!
石埼学 20010911
今日(九月一一日)、あきれたニュースが飛び込んで来た。ハンセン病訴訟で、ま
だ和解が成立していない原告のうち、遺族原告と非入所原告について、坂口厚生労働
大臣が、「裁判でほとんど議論されていない問題だ」として、「裁判所の判断」を求
めるとの考えを示した。五月一一日の判決には、含まれていない原告たちであり、和
解交渉が継続してきたところである。和解ではなく、判決を求めるということだ。厚
生労働省は、退所者原告=社会復帰者や私立病院に一時いた原告などについても、
「和解」になかなか応じていない。
しかし、熊本地裁判決で、すでに「裁判書の判断」はハッキリしているはずだ。同
判決は、「らい予防法」や療養所の存在そのものが、ハンセン病者に対する差別・偏
見をつくりだしてきた事実を認め、「ハンセン病患者や入所者、元入所者と関係しな
いところで、いかに偏見が薄れていったところで、・・・何の意味もないのであっ
て、問題は、これらの者が、社会と接する場面において、いかに認識され、扱われて
いるいたかということにある。そして、そのような場面においては、なお、厳然とし
て、ハンセン病に対する過度の恐怖心からくる根強い差別・偏見が残ってきたといわ
ざるを得ない」と断じ、そのような差別される地位に置かれたことを被害と認定して
いる。
判決は、非入所者や社会復帰者や「療養所」に隔離された者を区別していない。
「らい予防法」体制のもとで、苛酷な差別と偏見のなかで生きざるを得なかった、死
んで行かざるを得なかったすべてのハンセン病者の人生に思いを馳せ、社会のなかで
安心して暮らしていくことのできなかったすべてのハンセン病者の被害を認めてい
る。非入所原告が、社会のなかで、何の苦しみもなく生きてきたとでも坂口大臣は
思っているのであろうか?ハンセン病者であることを隠し、必死の思いで生きてきた
ことを知らないのか?ハンセン病者の家族が、国が作りだした差別の中で、どれだけ
の苛酷な人生を強いられ、今日生きているのか、それを知らないのか?今は亡き家族
の無念の死を、せめて国の謝罪によって晴らしたいという遺族原告のささやかな思い
が、分からないのか?
ハンセン病者として、社会の中で生きていくことの困難、二〇〇〇年一月一八日の
東京地裁での冬敏之さんと柴田良平さん(ともに退所者原告)の証言が、それを証し
て余りある。
国の重たい責任を認め、謝罪することを拒否し、「裁判所の判断」を求めようとす
る国=厚生労働省の態度は、熊本地裁判決を無視する暴挙であり、「らい予防法」が
いかに多くの人々の人生を踏みにじってきたかを認めない官僚的冷酷さの現れであ
り、この後に及んで、口先とは裏腹に、何の反省もしていないことの証左である。坂
口厚生労働大臣の各療養所への謝罪の行脚が何だったのかさえ疑わしくなる。もし、
すでにハッキリしている「裁判書の判断」を求めるという形式論理でもって、ハンセ
ン病隔離政策のすべての犠牲者の思いを踏みにじるなら、入所者原告・退所者原告・
弁護団・支援者・世論は、そのような「政治判断」に怒りをもって応えるであろう。
首相・閣僚・政治家のみなさん、熊本地裁判決を機に、少しつづ築かれつつかる
「信頼」を裏切るような行為や言動はただちに撤回し、国の責任を認めたうえで、す
べての原告と早期に「和解」せよ!
このメールを読んでいるみなさん、熊本地裁判決の成果が、国の不誠実な対応に
よって、今、揺らぎだそうとしています。何としても、これを食い止め、早期に、ハ
ンセン病隔離政策のすべての犠牲者が、一日もはやく「自由」を実感できるように、
そして私たち自身が、「自由」を、新しい未来を歩んでいけるように、今回の国=厚
生労働省の暴挙をやめさせるために、あらゆる「力」をつかって、国=厚生労働省に
訴えましょう!
要請先
厚生労働省FAX:03−3595−2020
厚生労働省メール:www-admin@mhlw.go.jp
☆どんな文面でも構いません。一人一人の思いをぶっつけましょう!
発信者:石埼学(亜細亜大学法学部専任講師)
sachiko-i@muh.biglobe.ne.jp
……以上。以下はこのホームページの作成者による……