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「学校教育法施行令「改正」と統合教育に関する要望書」


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last update: 20151223


                              2001年9月 日
衆議院(参議院)議員
  様

DPI(障害者インターナショナル)日本会議
議長 山 田  昭 義
障害児を普通学校へ全国連絡会
代表 徳 田   茂

学校教育法施行令「改正」と統合教育に関する要望書

 日頃より、障害児・者のノーマライゼーション理念に基づく「完全参加と平等」に向けた取り組みにご尽力いただき感謝申し上げます。
 現在、文部科学省では今年1月に出された「21世紀の特殊教育の在り方に関する調査研究協力者会議」(以下、協力者会議とします)の最終報告を受け、学校教育法施行令22条の3を中心にした法「改正」の検討が進められています。
 「学校教育法施行令22条の3」は、障害児がどの学校に入るかの基準を定めたもので、この基準のために、これまで障害をもつこどもたちが地域の学校に入るのに大変な苦労を強いられてきました。しかし、多くの親子は、地元の教育委員会や学校に共に学ぶことの大切さを訴え、地域の学校への入学を果たしてきました。今ではたくさんのこどもたちが地域の学校に入り、元気に過ごしています。
 今回の学校教育法施行令の「改正」は、「協力者会議」の中間報告に関する新聞報道にもあったように、一部の障害児の普通学校への入学をゆるやかにする面はありますが、実際にはそれも「合理的な理由がある特別な場合」とし、あくまでも「例外」とする観点から検討が行われているようです。
以下、伝えられる「改正」の問題点について列記いたします。

1. 普通学校入学については、学校教育法施行令の別の項で「特別措置」として一部認められる可能性がありますが、そこには条件(基準)がつけられ、それに合わない児童は入学を認められないことが予想されます。
2. 検討されている条件(基準)によっては、市区町村の教育委員会との話し合いなどで、今まで入れていた児童も、この「改正」によって、今度は市区町村が法を盾に入学を認めなくなるといった自体が起きる可能性がでてきます。
3.入学の条件(基準)として入学を認められないと予想される児童は、
  @重度の障害を重複している児童
  A安全性が確保できない(例えば、医療的ケアの必要な)児童
  B対人関係に問題がある児童 などです。
 特に今回の検討において懸念されるのは、施行令「改正」に加えて、文部科学省が、「介助をつくことは前提としない」(現に付き添っている介助員の存在の否定)、「医療的ケアの必要な児童の普通学級入学は違法」、「知的障害の児童の普通学級入学は不適当だが違法ではない」などの、地方自治体の教育委員会が自主的に判断すればよいようなことにまで「見解」を示すもようで、地方自治体を<共に学ぶ>こととは反対の方向に向けさせて行きかねない危惧をもたせるものです。
 こうした問題点を引き起こす危険性のある今回の学校教育法施行令「改正」は、明らかに地方分権を推進する考え方とは逆であり、自治体に対して、障害をもつ児童を普通学級に入学させないようにするためのしばりをかけていくことにつながります。
 改めて言うまでもなく、共生社会の実現のために、教育は最も大切な役割を果たします。個々の障害をもつ子どもと保護者の希望を踏まえつつ、統合教育を原則とした多様なニーズに対応できる教育の実現を図ることが最も重要であると考えます。
私たちは、今回の学校教育法施行令の改正が、こうした方向を促進することにつながるものでなければならないと考えています。
 つきましては、こどもたちの「人権」を大切にする観点から、最低限以下の点について働きかけて下さるようお願い致します。

(1)通常の学校、学級に入学することについて、「違法である」、「特例は認めない」などの表現を使った、条文、解説は避けること。

(2)基準をつくる場合には、少なくとも親子の希望は認める方向で、「改訂」すること。

以上、要望致します。


……以上(以下はホームページの制作者による)……


  ◆障害者と教育
  ◆DPI(障害者インターナショナル)日本会議
  ◆障害児を普通学校へ全国連絡会


REV: 20151223
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