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『出会い そして 自立――「佐藤賢一」36年の闘い』

自立支援センター『ぱあとなぁ』編 20010615,140p.

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last update: 20190829

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自立支援センター「ぱあとなぁ」編 20010615 『出会い そして 自立――「佐藤賢一」36年の闘い』,140p. 1500+ ※ il

■内容

本書:pp.1-3より

   序にかえて    二〇〇一年三月十三日 弔辞より

「佐藤賢一君へのレクイエム」 楠 敏雄
 
 佐藤君、君と初めて出会ったのは、たしか一九八四年の夏だったよな。まだ二〇歳になったばかりの君は何となく不安げだったが、とても生き生きしていたよ。あれから、あっという間の一七年、ほんとに波乱万丈の日々だった。親から独立した自立生活のスタート、作業所「つばさ」の立ち上げ、死ぬほど苦労した介護者探し、自動車の運転免許証へのチャレンジ、いろんな人たちとの出会い、人間関係に悩みながら君は着実に成長し多くの障がい者の仲間や介護者を掴んできた。
 君と私とは年齢は少々離れていたが共に重度の障がい者同士の連帯感 △1 で結ばれていたように思う。私はあるときは君の強い自立心に驚嘆させられ、またあるときはなかなか決断しない君にいらいらもさせられた。
 佐藤君、私は残念でならない、悔しくてたまらない。せっかく東大阪で初めて生活支援事業を受けられることになって、さあ、これからだという時だったのに・・・。後一年は無理かと半分は諦めかけていたけど、君の熱意と粘りで行政を動かしたようなものじゃないか。だから君だってほんとに悔しいよな。死にたくなんかなかったよな。あんなに薬が嫌いだった君が漢方薬でも何でも必死で飲んでがんばっていたのに。まだ君と一緒にやることが山ほど残っていたのに・・・。みんなだって君と一緒に運動したり、議論したり、酒飲んだりしたかったんだぞ。ほんとにみんな寂しいんだ。
 でも我々がみんな落ち込んでばかりいたら、君はもっとがっかりするだろう。だから我々も何とか気を取り直してがんばるよ。こんな早く君を失ってしまったショックと悲しみを忘れることは不可能だ。でも何とかみんなでやってみるよ。君だって命がけで闘ってきたんだから。 △2
 佐藤君、この前私が君に「好き嫌いするから病気になるんだ」と言ったら、「楠さん、人のことを言えますか」と言って君に言い返されたなあ。君のそんな一言一言が耳の奥にこびりついて離れない。そんな君とのたくさんの思いでを心に刻み込みながら、みんなで力を合わせて活動を続けていくつもりだ。だから佐藤君も安心して見守っていてくれ。
 そして、もう痛みや苦しみからすっかり解放されて、周りの人のことばかり心配するのもやめにして、ぐっすりと熟睡してくれ。さようなら。
                  
                                                       (くすのき としお/つばさグループ代表)

■目次


■引用


■書評・紹介


■言及



*作成:岩ア 弘泰
UP: 20190829 REV:
自立・自立生活(運動) BOOK
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