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高齢者、障害者等による高度情報通信機器等の利用の円滑化の促進に関する法律案大綱(試案)

民主党
2001/6/26

last update: 20160125


1 目的
  この法律は、共用化仕様に関する基準の策定及びこれに適合する高度情報通信機器等の認定、高度情報通信機器等に係る福祉用具に関する補助等について定めることにより、高齢者、障害者等による高度情報通信機器等の利用の円滑化を促進し、もって国民の福祉の増進に寄与することを目的とすること。

2 定義
(1) この法律において「高齢者、障害者等」とは、高齢者で日常生活又は社会生活に心身の機能上の制限を受けるもの、障害者その他日常生活又は社会生活に心身の機能上の制限を受ける者をいうこと。
(2) この法律において「高度情報通信機器等」とは、次に掲げるものをいうこと。
<1> 電磁的記録(電磁的方式で作られる記録であって電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。<3>において同じ。)を電気通信回線を通じて送信し、又は受信するために個人により広く利用されるものとして流通する機器として政令で定めるもの
<2> <1>の政令で定める機器を利用するために個人により広く利用されるものとして流通するソフトウェアとして政令で定めるもの
 <3> 電気通信回線を通じ<1>の政令で定める機器を介して閲覧その他一般公衆の利用に供される電磁的記録
(3)  この法律において「共用化仕様」とは、高齢者、障害者等を含むすべての者が共通に利用することを前提として、すべての者の円滑な利用が最大限に確保されるよう配慮された高度情報通信機器等の仕様をいうこと。
(4)  この法律において「独立行政法人等」とは、独立行政法人又は特殊法人のうち政令で定めるものをいうこと。

3 基本理念
  高齢者、障害者等による高度情報通信機器等の利用の円滑化は、急速な情報通信技術の革新によりこれらの者とそれ以外の者との間に新たな格差が生ずるおそれがあることにかんがみ、すべての国民が情報通信技術の恵沢をあまねく享受することのできる社会を実現することを旨として、共用化仕様の高度情報通信機器等の充実及びその利用の拡大を図ることを基本とし、併せて高度情報通信機器等に係る福祉用具の高度化及び普及を推進するとともに、高齢者、障害者等が高度情報通信機器等を利用するために必要な支援を行うことにより、積極的に行われなければならないこと。

4 共用化仕様に関する基準
(1)  主務大臣は、3の基本理念にのっとり、共用化仕様に関する基準(以下「基準」という。)を定めるものとすること。
(2)  基準を定めるに当たっては、高度情報通信機器等の仕様と高齢者、障害者等の心身の機能上の制限との関係について、その仕様の要素及び制限の態様ごとに、十分に検討が加えられなければならないこと。
(3)  主務大臣は、少なくとも3年ごとに、基準に再検討を加えた上で、これを確認し、又は必要があると認めるときはこれを変更するものとすること。
(4)  主務大臣は、基準を定め、又はこれを確認し、若しくは変更するに当たっては、共用化仕様等委員会の議決を経なければならないこと。
(5)  共用化仕様等委員会は、主務大臣に対し、基準の策定又は変更について、意見を述べることができること。
(6)  主務大臣は、基準を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならないこと。

5 国の提供する高度情報通信機器等の基準適合義務等
(1) 国及び独立行政法人等は、高度情報通信機器等を一般公衆の利用に供する場合において、基準が定められ、又は変更されたときは、速やかに、これを基準に適合させなければならないこと。
(2) 地方公共団体は、高度情報通信機器等を一般公衆の利用に供する場合には、これを基準に適合させるよう努めなければならないこと。

6 国等の調達
(1)  国及び独立行政法人等は、2の(2)の?又は?の政令で定める機器又はソフトウェア(以下「機器又はソフトウェア」という。)を調達するに当たっては、基準に適合した機器又はソフトウェアを選択するよう努めなければならないこと。
(2)  国及び独立行政法人等は、毎会計年度又は毎事業年度の終了後、遅滞なく、基準に適合した機器又はソフトウェアの調達の実績の概要を取りまとめ、公表するものとすること。
(3)  地方公共団体は、機器又はソフトウェアを調達するに当たっては、基準に適合した機器又はソフトウェアを選択するよう努めるものとすること。

7 基準適合性の認定
(1)  機器又はソフトウェアの提供を行う事業者は、当該機器又はソフトウェアが基準に適合することについて、主務大臣の認定を受けることができること。
(2)  (1)の認定を受けた事業者は、当該機器又はソフトウェアが基準に適合することを示す主務省令で定める方式による表示を付することができること。
(3)  (1)の認定は、主務大臣が指定する法人に行わせることができること。

8 課税の特例
  事業者がその事業の用に供するため取得した機器又はソフトウェアであって7の(1)の認定を受けたものについては、租税特別措置法で定めるところにより、特別償却を行うことができること。

9 福祉用具の研究開発等に係る補助
(1) 主務大臣は、基準に適合する高度情報通信機器等の機能を補完して高齢者、障害者等による高度情報通信機器等の円滑な利用を確保するために必要とされる福祉用具に関し、研究開発及び普及の推進についての方針を定めるものとすること。
(2) 主務大臣は、(1)の方針を定めるに当たっては、共用化仕様等委員会の意見を聴かなければならないこと。
(3) 国は、政令で定めるところにより、福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律第7条の指定を受けた法人又は新エネルギー・産業技術総合開発機構に対し、(1)の方針に適合する研究開発又は普及の助成に要する経費を補助することができること。

10 利用の機会の提供等
国及び地方公共団体は、高齢者、障害者等に対し、適切な高度情報通信機器等及び高度情報通信機器等に係る福祉用具の利用の機会の提供並びに高度情報通信機器等の利用に関する情報の提供、助言及び講習会の開催その他の学習の機会の提供を行い、又は民間団体等が自発的に行うこれらの活動を促進するため必要な措置を講ずるよう努めなければならないこと。
 
11 広報等
国及び地方公共団体は、広報活動等を通じて、高齢者、障害者等による高度情報通信機器等の利用の円滑化に関する国民の理解を深めるよう努めなければならないこと。

12 事業者の責務
  事業者は、その事業活動として高度情報通信機器等の提供を行うに当たっては、基準に適合した高度情報通信機器等を提供する等高齢者、障害者等による高度情報通信機器等の利用の円滑化に配慮するよう努めるものとすること。

13 共用化仕様等委員会
(1) 経済産業省に共用化仕様等委員会(以下「委員会」という。)を置くこと。
(2) 委員会の委員は、高齢者、障害者等を代表すると認められる者、高度情報通信機器等の提供事業者を代表すると認められる者及び学識経験者のうちから、関係大臣の意見を聴いて、経済産業大臣が任命すること。
(3) 経済産業大臣は、高齢者、障害者等を代表すると認められる者を委員に任命するに当たっては、障害の種別その他高齢者、障害者等の心身の機能上の制限の態様に応じ適切にその意見が代表されるよう配慮するものとすること。
(4) 委員会は、4の(4)及び(5)並びに9の(2)の事務を行うほか、主務大臣の諮問に応じ、高齢者、障害者等による高度情報通信機器等の利用の円滑化の促進に関する重要事項を調査審議すること。


……以上……


REV: 20160125
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