感染症対策を効果的に行うに当たっては、住民に直接行き亘る草の根レベルでのきめの細かい対応が重要であり、NGOの果たす役割が重要となっている。この観点から、日本は、日本のNGOによるプロジェクト形成調査団を派遣した。具体的には、「HANDS(Health and Development Service)」によるケニアのSTI/HIVに必須な医薬品・医療機材供給・管理システムに関する調査(2001年3月)、「ケア・ジャパン」によるヴィエトナムの製造業及び建設業の労働者のHIV/AIDS及び性感染症対策に関する調査(2001年2月)をNGOの視点からそれぞれ実施し、7月には「ワールド・ビジョン・ジャパン」によるタンザニアのHIV/AIDS予防対策に関する調査を行う予定。今後、これらの調査を踏まえ、具体的なプロジェクト/プログラムを形成していく考えである。「ワールド・ビジョン・ジャパン」は、別途「小規模開発パートナー事業(注)」を通じ、タンザニアのンゲレンゲレ郡におけるHIV/AIDS対策のためのキャパシティ・ビルディング事業を実施する予定である。また、2000年度NGO事業補助金として、「アドラ・ジャパン」、「国際保健協力市民の会(SHARE)」及び「AMDA」が保健衛生事業や地域総合振興事業の活動の中でHIV/AIDS予防教育活動などを行い、政府として総額約16万3,000ドルの補助金の交付を行った。
日本は、自然的、社会的、文化的に共通の基盤を持つ一定の開発途上地域の中からある程度の技術水準に達した研修実施国を選定し、近隣諸国から研修員を招請して実施する第三国研修を実施している。これは、現地事情により適合した形で、我が国の技術・知識の移転を図るとともに、途上国同士の技術協力を促進することを目的としている。
HIV/AIDS対策についてもこうした第三国研修を実施しており、アフリカについては日本の無償資金協力及び技術協力で協力しているケニアの中央医学研究所(KEMRI:Kenya Medical Research Institute)を拠点として、血液検査技術の周辺国への普及を目的として、南ア、ボツワナ等周辺国16ヶ国を対象とした「血液スクリーニングセミナー」を毎年実施している。また、アジア・太平洋地域についても、無償資金協力で建設したフィリピンの熱帯医学研究所(Research Institute for Tropical Medicine)を拠点として、97年度から第三国研修「HIV感染及び日和見感染症の診断技術」を実施しており、毎年この地域20ヶ国からの人材を招聘し育成を図っている。