「『道路交通法改正試案』に関するパブリックコメントについて」
DPI障害者権利擁護センター
last update: 20160125
■「道路交通法改正試案」に関するパブリックコメントについて
◆DPI障害者権利擁護センターより(200010111)
なくす会mlの皆様
寒中お見舞い申し上げます。
DPI障害者権利擁護センターの金です。本年もよろしくお願いいたします。
障害者の欠格条項問題(運転免許の資格取得)に関連して、「道路交通法改正試案」(警
察庁)についてのパブリックコメントの募集も行われています。
DPI日本会議の方で、この件に対して多くの個人・団体がパブリックコメント(意
見)を所轄省庁に対して送る取組みを進めていくために不十分なものですが、とりあえず
<共通して提起する基本事項>の案をまとめました。この案は、DPI日本会議の加盟団
体向けのものですが、少しでも参考にしていただければ幸いです。「意見募集期間」が
迫っており大変恐縮ですが、できればご検討下さい。
☆☆以下、末尾で本mlで伊藤さんと臼井さんによって交わされたメイルの一部を抜粋さ
せていただいています。このような形で、障害学mlなどにも投稿したいと考えていま
す。承諾いただければ幸いです。ご返答お待ちしています。
■「道路交通法改正試案」に関するパブリックコメントについて
●添付資料
・「道路交通法改正試案」に対する意見の募集について
・伊藤哲寛さん(精神科医)のコメント
<共通して提起する基本事項>(案)
1.欠格条項の見直しに関して、もっとも重要な課題である「障害名・病名を特定するこ
とを廃止する」という観点からみると、本改正試案は「てんかん、精神分裂病」を特定す
ることによって逆行するものとなっている。免許・資格を取得する場合の本質的要件は何
かを明記することが必要である。障害名・病名を特定しない、必要とされる状態及び条件
を表わす規定に改めるための再検討を求める。
2.改正試案では、「てんかん、精神分裂病等」の対象者については、運用上は原則的に
運転免許を与えない(絶対欠格事由)ものとして、扱われる危険性がある。「対処方針」
では、「絶対欠格事由は、相対的欠格事由に改めることを原則とする」としているのだか
ら、少なくともその最低ラインは明記するべきである。
3.補助的手段の導入については、本人と自動車試験場との協議の結果、必要となる補助
的手段にかかる経費については、公費負担とすることを盛り込むべきである。
4.行政手続法及び行政不服審査法に定められている異議申し立ての適用除外項目から、
「試験及び検定の結果に関する処分」の項目をはずした上で、本人の聴聞の機会を保障す
るべきである。
以上
平成12年12月
警察庁交通局
「道路交通法改正試案」に対する意見の募集について
最近の交通情勢にかんがみ、運転免許証の更新を受ける者の負担軽減、運転者対策の推
進その他交通の安全と円滑を図るために、道路交通法を改正することを検討しておりま
す。現在、検討している内容は、「道路交通法改正試案」(別紙)のとおりです。これに
関し御意見のある方は、平成13年1月24日(水)までに次のあて先に御意見をお寄せ
ください。(電話による御意見は受け付けておりません。また、頂いた御意見に対しての
個別の回答は致しかねますので、あらかじめその旨御了承願います。頂いた御意見は、住
所、電話番号、電子メールアドレスを除き公開される可能性があることを御承知おきくだ
さい。)
通信方法 あて先
(1)電子メールの場合 kaisei-iken@npa.go.jp
(2)郵送の場合 警察庁交通局交通企画課法令係
(〒100-8974 東京都千代田区霞が関2−1−2)
(3)FAXの場合 03−3581−9337
(参 考)
運転者対策に関しては、この試案に盛り込んだもの以外にも、これまでに様々な要望が
寄せられています。要望を踏まえ、その適否を含めて検討を行っている項目については、
「運転者対策に関する要望」に対する意見の募集についてに記載していますので、御覧く
ださい。
以下、「道路交通法改正試案」の関連の抜粋部分
(2)障害者に係る欠格事由の見直し等
@ 現行は、精神病者、知的障害者、てんかん病者、目が見えない者、耳が
聞こえない者、口がきけない者、一定の身体の障害のある者に対しては、免
許を与えず、また、これらの者は運転免許試験を受けることができないこと
とされていますが、これを改め、Aに該当する場合を除き、現行の運転免
許試験に合格すれば、すべて免許を与えることとします。
A 運転免許試験に合格した者がてんかん、精神分裂病等にかかっている者
である場合には、道路交通の安全の観点から、政令の基準に従い、原則とし
て、免許を拒否することとします。
B 免許を受けた者が、目が見えないこと等の自動車の安全な運転に支障を
及ぼすような身体の障害が生じた場合やAに該当することとなった場合に
は、免許を取り消し、又は免許の効力を停止することとします。
C 取消し・免許の効力の停止事由に該当する疑いがあるときや事故を起こ
した場合で適性を備えていないおそれがあるときなどに臨時に行う適性検査
を受けない者は、そのことについてやむを得ない理由がある場合を除き6か
月を超えない範囲内で免許の効力を停止する等の処分を行うこととします。
D 免許の取消しや拒否の処分は、聴聞等の手続を経た上で行うこととします。
<備考>
* 障害を理由とする欠格条項については、平成11年の障害者施策推進本
部決定で、再検討し、必要性の薄いものは廃止し、真に必要と認められる制
度については、次のうちの一つ又は複数の措置を行うことにより対処するも
のとされています。
ア 欠格、制限等の対象の厳密な規定への改正
イ 絶対的欠格から相対的欠格への改正
ウ 障害者を表す規定から障害者を特定しない規定への改正
エ 資格・免許等の回復規定の明確化
* 1.について、例えば、精神分裂病であっても、寛解していて、安全な
運転に支障を及ぼすおそれがなければ、免許の拒否の対象としないものとす
ることを予定しています。また、てんかんであった方でも、その後治癒され
ていれば、免許の拒否の対象としないものとします。(抜粋以上)
【参考資料】
■欠格条項をなくす会メーリングリストから
<コメント>
こんばんは、精神科医の伊藤哲寛です。
臼井さん、重要な情報ありがとうごさいます。
道路交通法で障害者欠格条項が基本的に廃止する方向が出ましたが、残念ながらここでも
精神障害とてんかんを持つ人への配慮が全くなされておらず憤りを感じています。
原則禁止にして、特別の場合だけ例外的に免許をあたえるというのは差別以外のなにもの
でもありません。
> A.運転免許試験に合格した者がてんかん、精神分裂病等にかかっている者
> である場合には、道路交通の安全の観点から、政令の基準に従い、原則とし
> て、免許を拒否することとします。
>
> *A.について、例えば、精神分裂病であっても、寛解していて、安全な
> 運転に支障を及ぼすおそれがなければ、免許の拒否の対象としないものとす
> ることを予定しています。また、てんかんであった方でも、その後治癒され
> ていれば、免許の拒否の対象としないものとします。
これでは欠格条項全面廃止などとはとてもいえません。精神障害やてんかんを持つ人も大
部分の人は運転に問題がありません。病気の重い時期、一時的に運転に問題が生じるだけ
です。身体病の場合でもたとえば心筋梗塞の発作あるいは糖尿病の低血糖発作時に運転が
できないのと同じことです。
この問題は私たち精神科医も問題にしていかなければなりません。
なんらかの意志表示が必要と考えています。
(以上)
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DPI障害者権利擁護センター
所長 金 政玉(きむ・ぢょんおく)
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