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第2回精神病床設備構造等の基準に関する専門委員会議事録


last update: 20151225


「00/08/07 精神病床設備構造等の基準に関する専門委員会議事録
公衆衛生審議会精神保健福祉部会
 第2回 精神病床の設備構造等の基準に関する専門委員会
 厚生省大臣官房障害保健福祉部精神保健福祉課
   日 時 平成12年8月7日(月)16:00〜18:15 於厚生省特別第1会議室
2 議 事
  1.精神病床の療養環境の向上に関する参考人からの意見聴取について
  2.委員から提出された資料等について
  3.その他
3 出席委員
  池原 毅和  (財)全国精神障害者家族会連合会常務理事
  伊藤 哲寛  (社)全国自治体病院協議会
  伊藤 弘人  国立医療・病院管理研究所主任研究官
 岡谷 恵子  (社)日本看護協会専務理事
 金子 晃一  新潟県立小出病院精神科部長
 吉川 武彦  国立精神・神経センター精神保健研究所長
 末安 民生  東海大学健康科学部看護学科助教授
 竹島  正  国立精神・神経センター精神保健研究所精神保健計画部長
 津久江一郎  (社)日本精神病院協会副会長
 西島 英利  (社)日本医師会常任理事
 野中 邦子  弁護士(茨城県精神医療審査会委員)
 山崎  學  医療法人慈光会病院院長

【重藤補佐】
 定刻になりましたので、ただいまから「第2回 精神病床の設備構造等の基準に関す
る専門委員会」を開催させていただきます。
 本日の委員の方々の出席状況をご報告いたします。本日は池上委員がご欠席との連絡
を受けておりますので、委員13名中、12名にご出席をいただくという予定にしておりま
す。ただ、現在、池原委員、野中委員がおくれておりますようでございますけれども、
13名中10名が現在御出席ということでございますので、会としては成立ということでご
ざいます。池原委員、野中委員につきましては、おくれるという連絡は受けておりませ
んので、ほどなくいらっしゃるものというふうに考えております。
 これより、吉川委員長に進行をお願いします。よろしくお願いします。

【吉川委員長】
 それでは、第2回の精神病床の設備構造等の基準に関する専門委員会を開かせていた
だきます。
 それでは、事務局から本日お配りいただいております資料のご説明をいただきたいと
思います。よろしくお願いします。

【重藤補佐】
 本日、お配りいたしましている資料の説明をいたします。まず最初の本日が議題が書
いてある紙でございます。それから、資料の一覧でございます。
 資料1としまして「精神病床の設備構造等の基準に関する専門委員会」の参考人とい
うことで名簿を載せております。
 資料2は、「精神病床の療養環境の向上に関する参考人からの資料」ということで、
本日の参考人の方からいただいております本日の陳述の資料でございます。
 資料3、「委員より提出された資料」ということで、前回の委員会におきまして、資
料等を配りたいということでございましたので、あらかじめ委員より預からさせていた
だいた資料を冊子としてまとめさせていただいております。
 それから、参考資料でございますけれども、参考資料1としまして「精神病床の設備
構造等の基準に関する専門委員会」について。
 参考資料2、「精神病床の新たな機能区分の設定について」(公衆衛生審議会)の答
申でございます。
 参考資料3、「長期入院の患者の療養のあり方に関する検討会中間とりまとめ骨子」
でございます。
 参考資料4、「病床種別一覧」。
 参考資料5、「精神保健指定医数の推移」。
 参考資料6、「追加資料」でございますけれども、これは前回の専門委員会におきま
して、地域別とか病院の設置形態別の人員や看護の配置数について資料をほしいという
ことでございましたので、追加資料として用意しております。
 以上が本日の資料と参考資料でございます。過不足等ございましたら、事務局までお
申しつけくださいますようお願いします。

【吉川委員長】
 よろしゅうございますか。それでは、資料何か問題あるようでございましたら、事務
局の方に言っていただきたいと思います。
 本日は先ほど申しました精神病床の設備構造の基準に関する専門委員会でございます
が、前回、お諮りいたしましたように、本日は精神病床の療養環境の向上に関しまし
て、利用者の立場からご意見をいただくことになっております。先ほどもお話がありま
したように、3名の方を参考人としてお呼びしてございます。したがいまして、本日の
スケジュールといたしましては、議題の1番目として、参考人からの意見聴取を行いた
いと思っております。
 それから、前回の何人かの委員の方々から、人員配置等あるいは在院日数等の関連に
つきましてさまざまな資料をご提出いただくということになっておりましたので、それ
につきましては、議題2につきまして、後ほど意見交換をしたいと思っております。
 それでは、まず3人の参考人の方々にお席にお着きいただきまして、議事に入らせて
いただきたいと思います。どうぞ、前の方においでいただきたいと思いますが。
 それでは、まず議題の1の精神病床の療養環境の向上に関する参考人からの意見聴取
ということで、参考人の方々からご意見をいただきたいと思っておりますが、それに関
しまして、趣旨あるいは意見聴取の進め方につきまして、事務当局の方からご説明をい
ただきますでしょうか。

【重藤補佐】
 それでは、私の方から本日の趣旨並びにこれまでのところの当専門委員会の状況につ
きまして、参考人の方々に手短に状況をご報告して、意見をお聞きするという段取りに
したいと思います。
 まず本日の参考人でございますけれども、資料1でございます。精神病床の設備構造
等の基準に関する専門委員会の参考人ということでございます。本日御出席いただいた
参考人の皆様のご紹介をさせていただきます。山本深雪さん、大阪精神医療人権セン
ター事務局長でございます。
 小林信子さん、東京精神医療人権センター コーディネーターでございます。
 広田和子さん、精神医療サバイバー&保健福祉コンシューマーでございます。
 本日、お願いをしています意見の内容につきましては、医療法改正に向けて、医療法
の施行規則に盛り込む精神病床の設備構造及び人員配置の基準についての案を作成する
ために、以下の内容に対する意見をお願いをしております。
 内容につきましては、病院に配置するべき医師や看護婦等の人員配置に関すること。
  病床の広さや作業療法室等の設備構造に関すること。
 その他、療養環境の向上に関すること。
 というような内容で、本日お話しいただきますようお願いをしております。本日のそ
れぞれの参考人の方々には、約20分程度でお話しいただきますようお願いをいたしま
す。
 それから、委員の先生方には、もう既にご承知のことかと思いますけれども、ざっと
この専門委員会の概要とその内容につきまして、参考人の方々にご説明をさせていただ
きたいと思います。参考資料1でございます。
 参考資料1に、本「精神病床の設備構造等の基準に関する専門委員会」についてとい
うものの概要の紙がございます。この内容につきましては、1番の「専門委員会の設
置」のところに書いてございますように、平成12年6月22日に開催されました精神衛生
審議会精神保健福祉部会におきまして、医療法改正に向けた設備構造と人員配置の基準
を定める専門委員会を設置するということといたしました。検討内容につきましては、
人員配置、設備構造。
 日程につきましては、9月末を目途に5回程度の専門委員会で基準案をつくっていき
たいということです。
 4番は本日お集まりの委員の方々のお名前と今の勤務につきまして書いてございま
す。
 それから、参考資料2でございます。資料2につきましては、平成12年1月25日の公
衆衛生審議会の答申の内容でございます。「精神病床の新たな機能区分の設定につい
て」というところでございまして、その2ページでございますけれど、下半分以下のと
ころで、「2.具体的な医療法における位置づけ」のマル1のところ、「医療法上、精
神病床は、精神疾患の特性によって精神病院以外の一般の病床とは別の病床として定め
られているところであるが、今回の見直しに当たっても精神疾患の特性について十分配
慮し、医療法における病床の種別は、「精神病床とすることが適当である。なお、精神
病床の設備構造及び人員配置の基準については、一般の病床とできるだけ格差のないも
のとすることが求められる。」                         
 2番目のマルでございますけれども、「また、精神病院の機能分化を進めるために、
医療法上に精神病床の機能の区分を病床の種別として規定することについては、一般の
病床においては既に機能分化の積み重ねがあることに対して精神病床においては機能分
化が実態として進んでいない状況を踏まえると、現段階で直ちに法律で定める状況にな
いと判断される。しかし、現在の精神医療の実態、また救急医療、薬物中毒等に関する
専門医療、重篤な合併症を有する患者の医療等のための体制整備の必要性を踏まえ、精
神病床の機能分化及び療養環境をさらに向上させ、一般の病床との格差を是正する観点
に立って、別途、必要な基準を設定することが求められる。」という方針が決められて
おります。つまり精神病床として新たな基準を今回の医療法改正につくると。ただ、機
能分化ということについてはまだ熟成していないということでございますが、ただ、別
途必要な基準を定めていこうということで、その基準を今回の専門委員会で定めるとい
うことで議論をしているという状況でございます。
 それから、参考資料4でございます。参考資料4は、「病床種別一覧」というもので
ございます。病床の種別一覧で、左側のところが精神病床、上から4番目のカラムに人
員配置基準ということで医師数が48:1、看護職員6:1、薬剤師数 150:1。
 病床面積 4.3m2ということがあります。
一番右側が一般病床でございます。これは医療法改正後の案ということでございまし
て、医師数16:1、看護職員3:1、薬剤師70:1、病床面積 6.4m2。
それから、左側から2番目、療養病床の案でございますけれども、医師数48:1、看
護職員6:1、看護補助者6:1、薬剤師数 150:1、病床面積 6.4m2というものが基
準でございます。一般病床、療養病床の医療法改正後の案を見ながら、精神病床どうい
った人員配置、設備構造にすべきかということを議論をしているという状況でございま
す。
以上、現在までの状況を踏まえまして、参考人の皆さん方に利用者の立場として、ど
ういった人員配置、設備構造が望まれるかということを中心に、療養環境の向上につき
まして、ご意見を伺いたいということが本日の趣旨でございます。

【吉川委員長】
専門委員の先生方には二重になりましたお話でございましたけれども、きょうおいで
いただきました参考人の先生方に、できるだけ短時間でご意見をいただくためにも少し
整理をさせていただいたというところでございます。
 3人の参考人の方々には、お忙しいところ、当専門委員会の方にご出席いただきまし
てまことにありがとうございました。少々堅苦しい場合でございまして、なれないとこ
ろかもしれませんけれども、ぜひご意見を賜りたいと思いますし、お話しいただくこと
はふだんお考えのところをお話しいただいて結構でございまして、ぜひ私たちの参考に
なるようなご意見をいただければと思っております。
 最初に山本深雪さんの方からお話しいただけますでしょうか。順番どおりで山本さん
の方からお願いいたします。

【山本参考人】
 その前に、新聞資料を一部委員の方に配ってよろしいでしょうか。

【吉川委員長】
 そうですか。私、全然見てませんので、どんなものかわかりませんけれども。
          (97年7月7日付産経新聞抜粋資料配付)

【山本参考人】
 初めまして、大阪から来ました精神医療人権センターの事務局の専従に入って92年か
ら仕事をしてきました山本深雪と申します。今、配付させていただいた新聞資料等、主
に93年からの安田系3病院の事件、高齢者と精神障害者を約 1,000床近くのベッドを持
ってきていた系列病院の中で、それが医療とは呼べない事態になっていたことが放置さ
れてきていた事実について、何があれば、再発を防ぐことができるのか、そういう視点
から現在も府下の57病院を訪問継続をしています。
府の審議会の中において、この繰り返しを防ぐために必要な最低限のことということ
で、手元に資料として事前配布させていただいております最終答申を先日8月4日に知
事に手渡すという作業が終わったところです。今後、大阪府下においては、権利擁護検
討委員会というのを立ち上げて、病棟の中にぶらり訪問を繰り返して、47ページに記載
されているような入院中の患者が、人として最低限保障されるべき権利について守られ
ているかどうか、そのことをチェックしていく作業を進めていきたいというふうに思っ
て、現場では毎日動いています。そういう中で見えてきているものという視点から、本
日発言させていただきたいと思っています。
 まず、1点目ですが、マンパワーのところです。本日の配付資料にも病床種別一覧と
いうことで参考資料4が配付されていますが、一番左端に「精神病床」といった形で規
定がなされておりますが、これを一般の国民に配布されたときにどのように思うでしょ
うか。現在でも地域の中で生活支援センターを建築しようとしても、グループホームを
建築しようとしても、援護寮を建築しようとしても反対運動が起こっています。そのこ
との理由の第1番目に挙げられているのが、精神障害者は危険だから子どもが通る通り
道に来てほしくない、そういうのが一番の理由に挙げられています。現に運営されてい
る、うまくいっている施設の中においてすら利用者に対して、バッジをつけてほしいと
か区別してほしいとか、そうした声が一般に出てきています。それらをバックアップす
るものがこの参考資料4であると私は思います。
 具体的に申しますと、精神病床、「危害防止のための遮断等の措置が必要」というと
ころで書かれています。こうしたペーパーが、例えば17歳の方のうちのごく一部の方が
犯罪を犯したときに、17歳の犯罪というふうに表現することが間違いであるのと同様
に、精神症状を持つ人のごく一部が危害防止のための云々というふうな事態にあるとし
ても、それが精神病床一般の中でこのように語られてしまうことについて、説明される
という文章が平然とこうやってつくられてしまうことに関して非常に憤りを持っていま
す。そうしたものは一般的に国民の目に触れるわけです。で、結果的に地域の中に来て
ほしくないよ、そういうふうに言われます。
 そういうふうな説明を国がやはりしてきた。こうした審議会の中においても、こうい
うペーパーが何の配慮もなく表現されている。そういう事態が私はやはり地域の方々の
思い込み、すり込みをさらに追加させている事態であるというふうに思います。ですか
ら、こうした精神病床をやはり特殊病床扱いしていく歴史的な経緯に関して、もう一度
きちんとした見直しをしていただきたい。
 現状で精神科に入院したときに、2時間待ちの3分診療、同じことの質問が繰り返さ
れるだけ。私の聞いていただきたいことはほとんど聞いていただけない、そういうふう
な入院期間、時間を非常に長期にわたって強いられていることの患者側の苦痛というこ
とにもう一度思いをはせて、医師数48:1、看護職員6:1、こういう基準において
は、人手こそが、人手の持つゆとりと質こそが治療の唯一の武器である。そういう治療
現場において、これまではまるでユーザー側の要望には応えきれていない、そういう実
態にあることをもう少し厳しく指摘したいと思います。
 私たちはこういう精神病床が特殊病床扱いされることについて、やはりさらに差別を
深めるものとして危惧しています。ですから一般病床並みにしていく計画をこの場にお
いて、さらにきちんと酌んでいただきたい、そういう思いから具体的に日々思っている
ことを述べていきたいと思います。
 まず、看護基準に関してですが、6:1を満たしていなくても人員募集の看板が出さ
れていれば、現在行政の方では認めています。そして、特別入院基本料の換算をして、
それでよしというふうになっています。けれども、そうした病院に私たちが足を踏み入
れると、たいがいの病院の詰所では昼間からかぎがかかっています。スタッフは中で薬
剤の氏名にマジックで書いたり、書面作成等で閉じこもってしまって、肝心な患者の声
を聞くという時間や仕組みはできていないということについて気づかされます。
 最も肝心なはずの患者に対する声かけが行えるような詰所のかぎをあけることであっ
たり、オープンカウンターにすることであったり、一番重要なことを行えず、結局のと
ころ事故防止のときだけ動くという看守的な役割を患者との関係においてつくってしま
っている。そうした中ではスタッフの側もとても言葉遣いが荒くなって、「こら!」と
か何とかというふうに呼びつけにするのが平然と行われる現場になってしまっていま
す。
 そうした病院において、私たちの側から見て療養環境というふうに呼ぶことはできな
い、そういうふうに思っています。ですからそうしたたぐいの病院においては、患者数
を減らす措置を早急にとっていただいて、療養環境と言える最低限の維持のラインを明
確にしていただきたいと思います。現状の特例すらも満たしていない病院、そこに患者
を入れているという状態についての認められている実態は私たちとしては認められませ
ん。
 2点目に、医療監視の書面上でパスするために非常勤の方を非常に多く雇用して、常
勤換算する仕組みというのが実行されていますけれども、その事態も現場においては患
者の氏名とカルテ等が一致しないということ事態を生み出してしまって、結局のところ
病室の患者さんのお名前の上に数字で表現したりカルテの方にもそうした数字でもって
表現するという事態が今も続いています。これでは肝心な患者の顔と名前と症状が一致
して覚えることのできないようなスタッフとの対応の中では、治療環境と呼べるにふさ
わしいとは思えません。ですからそうした常勤患者の仕組みに関しても、ある一定程度
の歯どめをかけていただかなければ、本人がそこにいることの意味、治療と呼べるにふ
さわしい関係づくりの基礎というのがないように思っています。
 3点目、国家資格の免許証が現在一生使えるというふうな仕組みになっていますけれ
ども、それは私たちの側から見て納得がいかない事情があります。現場においては人の
命を預かる仕事をしている中で、医療行為に現実に携わることのできない方々が免許証
の数のために病院の敷地内に単身寮まで設けて、あなたは住んでいるだけでいい、寝当
直でいい、そういうふうな勧誘でもってスタッフを呼び込んでいます。患者にとっては
甚だ迷惑な事態です。特に夜勤帯に関して人手が少ないようで、そういう事態を生み出
していることに関して、入院した者としては、身近にいる看護スタッフのサービスの質
ということが最もかなり大きなウエートを占めてきますので、療養環境ということを考
えていただくに当たって最低限、人の命を預かる以上は、運転免許証並みの更新手続を
とっていただきたいというふうに真剣に考えています。そのことはくれぐれも、こうし
た質の保証ということに関して明確にしていただきたいと思います。
 もう一点、看護婦のところでつけ加えです。医療監視が6月の末に行われています。
補助官報に定められた看護スタッフの届け出義務が12月末というふうに処理されていま
す。その時間的なずれの中で、一致してチェックすることができないというふうに行政
の側が、私たちにこの間繰り返し説明してきました。ところが働いておられる方々は、
12月のそのときに届け出てなければ罰金 5,000円でしたか支払う仕組みになっているわ
けです。片方で働いている側に罰金までペナルティーかけて届け出義務をきちんとさせ
ようとしているデータと医療監視のときのデータを突き合わすことができさえすれば、
私たち利用者側からすると、それが一つのものとしてうまく、間違った書類を行政が受
け取るといった過ちのゆとりがなくなるわけです。私たちの側からすれば、そのペー
パーを1種類情報開示請求すれば手続上済むわけで、ぜひオンライン化されていってい
る仕事の流れの中で、同一業務を同一時期にきちんとしていただきたい。そうすること
で働いておられる方と精神医療を利用する者との双方の利害の一致ということがあり得
るというふうに思っています。
 次に医師のマンパワー不足の点に関してです。数字上ですが、99年10月末のデータに
おいては、指定医が約1万人、閉鎖処遇の入院患者が約17万人ということで、計算上指
定医が不足している数字となっていません。けれども、実際の現場においては、外来患
者に対しては1日 100人を超えて診察している現場、あるいは受持ち入院患者について
は50名から数百名を受け持っている現場というのが多くあります。その中では3分診療
でいつも同じ質問しかされない。詰所の中で行列をつくって順番に話をするしかないと
いう、前に座っている方のお話が全部聞こえてしまう。非常に苦痛だから、自分がゆっ
くりしゃべることができない。そういうことがよく声として聞こえてきます。一番肝心
なのは、医師とか看護婦が1人の生活者として患者と向き合える、そして患者の人とし
ての誇りを大事にしあえるゆとりと視点を取り入れることだと思います。
 細かくは検温の仕方においても、現状のようにホールに一度集めて、あるいは洗面台
のところの紙に自分で計って記入させる仕組みを取りやめ、病室を回ってひと声かけな
がら脈拍測定や検温等を行える人手をきちんと十分に配置していただきたい。投薬方法
に関しても、1人ひとりに見合った薬剤管理の方法が取り入れられる必要があると思っ
ています。一律全員管理で行列させて、口をあけてという姿に関しては、患者の側は
日々誇りを傷つけられています。こうした事態もすべて人手不足と質の研修不足からき
ています。
 最後に本人が何のためにここの場に入院してこの時間を使っているのかということに
関して重要な、本人に対する説明の行為ですが、10年前に作成された「お知らせ」とい
う入院時の告知文書がまだ渡されていない病院が見受けられます。どの患者について
も、その病棟において知られていない。そこにおいては任意入院の閉鎖処遇の同意書が
退院間近に署名させられる、そういう事態が発生しています。脱法行為というふうに言
うこともできますが、結局のところカルテチェックをしただけでは明らかにならない事
態でもあります。そうした事態がこの10年間何ら改善されずにきてしまったというの
は、やはり医師の質の低さ、あるいは人員の少なさの結果として治療の主体者であるは
ずの患者にきちんと、あなたの入院形態はとか、入院の目的はということに関して説明
することの意義と意味をはき違えてしまったのか、あるいは納得させるという行為が、
単に薬を与えずに不安を与えて、テレホンカードも渡さずに面会者も遮断しというふう
な陰湿なより不安を高める態度をとることによって、結果として納得させる。結果とし
てあきらめさせる。そうした時間が病棟の中において流れているという事態をはっきり
と見た上で、今、議論していただいているマンパワー等の問題に関しては、精神医療が
あきらめる現場ではないんだよ、きちんと治療していくために必要な時間とベッドなん
だよということを言い切れるだけの質の研修の保証と人手の保証、そのことに関してき
ちんと基準病床並みにつけていただきたいということをお伝えしたいと思って、この場
に来ました。
 ぜひ、書面上の議論ではなく、きちんと質を深めた内容として作業を進めていただき
たいというふうに思っています。

【吉川委員長】
 ありがとうございました。大変厳しいお話をいただきました。参考資料4のところに
あります「危険防止のための遮断等の措置が必要」と書いてある、この文章のところか
らご発言が始まりまして、偏見を助長するような文章表現というものに対するご指摘を
いただいた上で、やはり療養環境としての人的な配置を適切にしてほしいという話をい
ただいたわけですし、その人的な、数の問題だけではなく、質的な意味を含めてお話を
いただいたと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、2番目に、小林参考人の方からお話をいただきたいと思います。

【小林参考人】
 本日はお招きありがとうございました。私は山本さんと同じような団体で、東京精神
医療人権センターのコーディネーターであり、患者の権利養護者(AP)です。山本さ
んは事務局長ですけれども、私は平の事務員でございます。
 きょう、参考資料として出しましたもののうち、大幅に書き換えたものがあるので。
ともかく本日は、「精神科の医療が真に統合された医療法」をつくっていただきたいと
いう観点で意見を述べさせていただきます。私の先に出した資料に英文が入っていて、
日本語訳が入っていませんでした。きょう皆様のお手元に仮訳を配布しましたので、こ
れを英文の訳に付けていただきたいと思います。
 私は「精神医料人権センター」という立場から、山本さんと同じように意見を述べて
いきたいと思います。まず、医療法の第1条に、「国民の健康の保持に寄与することを
目的とする」という法の目的が書いてあるわけですけれども、私たち精神医療の分野で
働く人間が見ると、とても不可解な法律で、国民というのはだれを指すのかという思い
がいたしています。つまり、精神病者は国民の中に入らないのかという思いです。そし
て、その中での21条のただし書きの存在がある。さらに医療法施行令第4条の7、つま
り病院の従業員の定員のところ、ここでも議論が集中しております人員配置の精神科特
例を導入したということですね。山本さんは”堂々とした差別的な表現”と言いました
けれども、確かに差別的な表現が何のちゅうちょもなく法律に入っている。でも法律に
入っているからには、その合理的な根拠があったはずですから、いわゆるアカウンタビ
リティーということで、その合理的な根拠を明らかにする義務が政府・行政にはあると
思っています。ぜひ説明をして下さい。
 私たちが考えますには、この法律自身は1948年の制定ということで、戦後間もない当
時のものだったわけです。昨今は心理的・社会的・薬物的療法をもとにする近代精神医
学というものがあるわけですから、これにはこの条文では全くそぐわない。心理的・社
会的なものというのは人材こそが手段・ツールになるわけですね。ですからこの条文を
削除すること。過去を考えて、誤りを正すためにも一般化と同等のスタッフを保障する
ような条文を入れるなり付言するなり、そういう努力をぜひしていただきたいと思いま
す。
 御存じのように、国際的な国連原則の8には「ケアの基準」というものがあります。
「すべての患者は他の疾患を持つものと同一の基準に即してケア及び治療を受ける権利
を持つ」というものがあります。この原則に照らし合わせても、今の医療法の中にある
この条文自身は大変不適格なものだと思います。
 そして、もう一つ、ここでも議論になっている私達が大問題にしている施行規則の問
題です。この施行規則の中には細々としたいろいろな指示があるわけですけれども、今
日の日本の精神医療をつくり上げてきた思想が赤裸々に反映されていると思っていま
す。特に第10条の5の精神病床のみでの施設収容の問題と、16条の6、精神科病床をす
るところは遮断をする構造的な設備をしなければいけないという条文の存在は、また精
神障害者に対する偏見や差別を医療の中にも厳然として存在させてきている。そして、
このことが社会の中で根強い精神障害者に対する偏見、差別、そして精神科に対する差
別、偏見を深く根づかせる一つの大きな要因になっているということにぜひ気づいてい
ただきたい。この具体例は後の方で述べたいと思います。
 そして、これらの法的に差別を是認した結果として、まず一番大きな影響は、患者さ
んも勿論そうですが、私がここで協調したいのはそれと同時にスタッフが、おれたちは
他科からこんなにのけものにされているとか、一般並みではないという思いが日常的に
何十年間も積もり積もってくれば、人間としての尊厳や誇りというものを奪ってしまう
のです。それがない人間というものは、弱いところつまり患者に当たっていくというこ
とで、いわゆるスタッフに尊厳や誇りがないところに決していい治療や環境などは創り
上げられるわけがないのです。それが精神科が質のよい医療を提供できない原因の一つ
です。これが全部ではありません。たくさんある原因の中の一つだと私は思っていま
す。
 そういうわけで、この特例に乗じた、少ないスタッフを前提とした精神科医療の常識
とされる病院の運営がなされてきています。その結果として、問題が多い閉鎖処遇とか
拘束の乱用など人権侵害をもたらしてきていると思います。私たちがこの閉鎖処遇の問
題とか拘束の問題を言うと、病院の方々は、すぐ人手がないから、人手がないからと言
うわけです。人手を増やせば、これがなくなるかということはまた別の問題ですけれど
も、人手がないということが単なる口実ではなく、ともかく大きな原因になっていると
いうことは事実だと思います。
 それから、スタッフの算定についてですが、私たちは専門家ではないので、医師と患
者が16:1、看護と患者が3:1とか、ここに載っていますけれども、はっきり言っ
て、利用者にも実際はよくわからないのではないかと思うんですね。今後医療は情報公
開にさらされるわけですから、そのときに我が病院は看護が3:1というと、余り病院
に縁がない人たちは、いつも患者さん1人に対して看護婦さんが3人いるのかと思うの
ではないでしょうか。お医者さん1人に対して患者さんは16人なのかと、パッパッパッ
と計算すると思うんですけれども、実際はそんなことはなくて、まことに複雑怪奇な算
定方法になっていると思います。ですからこれを一般の人にもわかりやすくするよう
な、とても看護基準というのは病院を選ぶときの指標として非常に重要なことなので、
何か一般の人々に、利用者にわかりやすい算定の方法、実は3:1だけど、日中時間に
デイルームにいるときは20:1でございますとか、そういうことを書くようなことをぜ
ひしていっていただきたいと思います。
 私たちは都内の精神病院調査をいたしました。すでに4回目なのですが、宣伝になり
ますけれども、『東京都病院事情』、こういうものをやっているんです。これで都内の
38病院を直接訪問しました。看護基準の3:1という日本医師会は決して認めないとい
う記事も読みましたけれ、訪問先の病院のこの数字すらデイルームで見かける看護婦さ
んというのはほとんど1人か2人いればいい方だということで、これが3:1ですかと
言って絶句した覚えがあります。そのくらい現状では看護というのが手薄だということ
をぜひわかっていただきたいと思います。そして、とても治療機関と思えないスタッフ
数の病院がまだたくさんあります。
 この手元の資料の中に入っていると思いますけれども、お医者さん1人に対して患者
さんが 140人とか二百何人とかという3桁の病院が都内にも3件ほどございます。これ
で果たして治療が、収容所と言われればそれはそれでいいですけれども、治療をする病
院と名をつけて、いいのかという憤りを感じました。
 それから、スタッフの質の問題です、これは差別になってしまうかどうかわかりませ
んけれども、平均年齢が70歳のお医者さんと68歳の看護婦さんという病院もありまし
た。定年の方々に対して職場を提供するという病院のモットーがあるのかどうかわかり
ませんけれども、これは現実の仕事としては大変問題が多いと思います。
 そして、資料に「CPTの基準」というのがありますが、CPTといっても、多くの
人はまだなじみがなくて申しわけございませんが、ヨーロッパ拷問防止委員のことで
す。実は日本は去年の6月に国連の拷問等禁止条約というものを批准してそのメンバー
国になりました。その国連よりも人権に対しもっと高い基準を持ったヨーロッパ評議会
の中のヨーロッパ拷問等防止委員会というのがございます。これを訳して“CPT”と
私たちは言っているわけですけれども、ここがいろいろな国の拘束施設を訪問調査する
中で、1997年の報告に「精神科施設における非自発的入院」というテーマで、精神科施
設の問題を報告・レポートを書いております。その中でポジティブな生活環境とはこう
いうものだとか、治療とはこういうものとみなすということが書いてあるので、それを
ちょっと抜粋して参考に付けさせていただきました。ご一読下さい。
 私たちは病院訪問をしたわけですけれども、これは医療法の問題なのか診療報酬の問
題なのかはっきり言ってよくわからないんですけれども、とにかく精神科において機能
分化がなされてないということが問題だと思いました。とにかく日本の精神科における
急性期も慢性期もごっちゃにした収容というのは、先進国では絶対に非常識だと思って
います。私が人権センターの相談で体験した例では、新規措置入院者が療養型のBの中
に入院させられていたのです。ですから周りの患者は20年、30年という患者さんばっか
りで、その方だけが新規の若い方だったわけですけれども、こういうことは私としては
大変びっくりしています。
 私はスペインやイギリスで精神科医療改革を見てきました。ともかく急性期と慢性期
とに分け、急性期の人は急性期病棟だけで治療をするのだという発想で私はいましたか
ら、この状態は大変びっくりしました。密度の高い治療は可能でしょうか。それから、
診療報酬だけで誘導しているわけで、アルコールや老人性の痴呆の治療病棟とかという
のは建物も立派になっていました。それからデイケアもかなりきれいにはなっています
けれども、スキマで残された分裂病が対象者の慢性期の病棟の放置というのが問題だと
思います。スタッフが傾斜配置になってしまって、もともと少ない人員の中で傾斜配置
になっているから、一番手抜きができるところは慢性期の病棟になっているわけで、古
い大部屋と少ないスタッフというものをたくさん発見しました。これを多くは、社会復
帰病棟と呼んでいます。
 もう一度、医療法の施行規則に戻ります。「センター」は精神医療の改革を唱えてき
ました。そして「病院から地域へ」ということを随分言ってきたんですけれども、「入
院は総合病院へ」ということを余り強調してこなかったわけです。余り入院のことは考
えたくないという気持ちがあったわけですけれども、入院は総合病院でしかも必ずしも
精神科病棟でなくてもいいのではないかと思っています。そういうふうに実践している
国がヨーロッパのスペインの一部とかイタリアの一部などではあり、現実に一般の病棟
の中で入院させていますし、私はちょっと見ただけのデータですけど、オランダでは既
に1975年に総合病院と精神病院の中での入院者はほぼ拮抗しているような状態というの
がありました。今、先進国では新規入院は大体は精神病院ではなく総合病院の精神科に
ということが潮流になっています。
 もっと極端なことを言えば、開発途上国では精神病院なんかつくる余裕はないわけで
すから、一般病棟の中に入れるわけですね。だからといって、事故や殺人事件がたくさ
ん起きているとか、そういうようなことは聞いてはおりません。一般病棟で対応できる
のです。
 そして、私たち相談をうけていく中で改めて知ったことですが、単科の精神病院を優
先している日本の精神医療の構造的差別というのは、医療者の偏見を増殖させてきてい
ます。医療者における精神科への偏見というのが強いという話を随分聞きます。他科受
診の際、精神科受診歴を隠したり、薬はどんなお薬を飲んでいますかと聞かれたとき
に、精神科の薬を言うと、あなた、精神科に行っているんだねというわけで、じゃあ、
精神科に行きなさいと言われたというような相談が結構あります。総合病院の精神科に
自分が入院したいんだという訴えがあっても、現実にはほぼ不可能なわけです。
 このように精神病は別のもの、精神病は単科でという傾向は、確かに外国でも戦後多
くありました。けれども、今はその誤りに気づいて、統合した医療をしてきているわけ
です。スペインでは法律も医療法で一本化して精神保健法も廃止してます。この様に先
進国では精神科を総合病院の中に入れていこうという流れをつくってきています。です
から日本もぜひその流れに乗っていっていただきたいと思っています。
 続けて、施行規則の16条の6に関連することですけれども、私の訪問の経験から、総
合病院の中で精神科の病棟で面会するときに、厚い大きな扉を潜っていかなければなら
ない経験をしました。これは大変ショックでした。この扉の中に入ったら出られないの
ではないかと思ったこともありますし、その病棟の前を通る他科の患者さんたちは、こ
の病棟の鉄扉の中にはどんな危険でおそろしい人がいるんだろうと思うのが当然だと思
います。そのような予断を与えることを法律で書いてあるということ自体が信じられま
せん。語句の訂正の問題ではなく、その思想が問題なのです。そして、患者を病棟外に
うろうろさせるな、何か起きたらどうするという他科からの文句がつらいという精神科
職員の悩みも聞きました。差別、偏見をなくすためには、まず足下から対策を考えなけ
ればならない。ですからすべての医療者に、特に医者に精神科のトレーニングを必ず受
けてもらいたいと思います。そして、残念ながら、もうからないという理由で、総合病
院で精神科を閉鎖するところがありますけれども、これも国際的な潮流に逆行している
と思います。
 精神障害者への偏見や差別をなくすために、一方では行政は精神保健福祉法というも
ので差別をなくそうとしていることもあるし、あるいは、心のフェスティバルというイ
ベントで、精神障害者への理解を深めるために少なからぬ予算を組んでいることは知っ
ております。でも、そういうことの一方で、もっと重要な基盤をなす法律や施行規則
に、精神障害者を堂々と差別する条文が編み込まれているということに気づくべきです
し、これはぜひ削除していただきたいと思います。表現を改めるのではだめです。一般
的な医療に統合されることが精神病者、精神科への差別・偏見をなくす一つの手段だと
私は思っています。その成果をあげている国や地域もありますから。
 今後、21世紀に向かって、いわゆる既存の医療業界の都合ではなく、利用者の立場か
ら精神科サービスをつくり上げてもらいたいと思います。すべての人が良質の医療を受
ける権利を享受し、精神障害者もその一員として医療におけるノーマライゼーションを
実現できる法律にしていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

【吉川委員長】
 ありがとうございました。小林信子さんの方から、国連原則のお話から始まりまし
て、医療者が持っている精神障害に関する偏見の問題、もちろん医療環境という意味で
も、さまざまなご提案をいただきました。ご提案というよりもご指摘をいただいたとい
った方がよろしいかと思います。私ども、今、御指摘いただきましたことを、それなり
に感じ取っているものはもともとあるわけでございますけれども、改めてこういうふう
にお話を伺いまして、また、真摯にそのことについて考えていきたいと思っています。
 それでは、3番目でございますけど、広田和子さんの方からお話をいただきたいと思
います。よろしくお願いします。

【広田参考人】
 こんにちは、広田和子です。お招きをいただきましてありがとうございました。この
ような堅苦しい委員会は初めてですので、非常に話しづらいなというふうに思っていま
す。
 私の肩書は「精神医療サバイバー&保健福祉コンシューマー」ということで、ちょっ
ときょうの委員会とは内容が違う資料を出させていただきました。
 せっかく初めて厚生省に正式に招かれたものですから私が書いた”24時間精神科救
急がないために患者も家族も消防も警察も困っている”という文章と”移送について”
という文章を資料としてださせていただきました。
 今、お二人の方からいろんな適切なご指摘があったんですけれど、精神医療サバイ
バーというのは、かぎと鉄格子に象徴される、閉ざされた時代おくれの自由もない精神
医療から地域社会に生還できた、生き残って帰れた人、そういう意味で、サバイバーが
使っています。サバイバーの多くは当然精神医療の中で屈辱の体験を受けてますから、
ほとんどの方がいわゆる治療を拒否します。それを反精神医療と申します。そして少数
ですが、自分がこんな嫌な体験をしちゃったので、みんながこれからかかるときには安
心してかかれるようにしようよという人がおります。私はそのうちの一人です。
 私は1983年に神奈川県の精神病院に通院しましたが、病院に行ったことで、1988年に
何のインフォームド・コンセントもない注射をいきなり打たれまして、その注射の副作
用のアカシジアといって徘徊をするんですが、これで22時間歩いて、耳も聞こえなくな
って、視力も下がって、味覚もいわゆる鉛のような味がしまして、ありとあらゆる幻覚
症状が出ました。これはすべて注射の副作用です。そして、医療機関を変えたいと申し
上げたときに、医者から「私のミスでした」と。今この状態はどこへ行っても、だれが
診ても手の施しようがありません。緊急入院してくださいという形で入院しました。
 しかし、入院したものの、今、小林さんがおっしゃったように、ガチャンと音がする
鉄の扉の閉鎖病棟でした。自分の意思で入院しているのに。そして88年の4月21日の入
院でしたが、1カ月で薬の調整ができて退院して出たときに出てきたものは、いわゆる
裁判所からの保護義務者の通知書でした。それを見て私は激怒しました。
 それから作業所に行ったり就労しました。いろんな形で社会参加していくわけです
が、そして91年にはアメリカに行く機会が訪れたり、いろんなことがあって、なぜ、自
分がそういう体験をしたのかということに非常にこだわりを持ちました。そうしました
ら多くの仲間たちが同じような体験をしています。病気ではなくて、薬の副作用や注射
の副作用で入院しているという現状がこの日本に起きているわけです。これが内科や外
科で起きればニュースになります。新聞に載ります、テレビで報道されます。しかし精
神科はそういうことが起きてもしようがないかという患者のあきらめ、家族のあきら
め、そして医療関係者のそれについて、まひしてしまっている感覚、それを私はこの十
何年間たくさん見てきました。
 私自身はそういう体験をしましたから、一度は就労しましたが、今は相談を中心に、
いろいろな活動をしております。うちでも夜11時まで相談を受けています。そうした中
で感じていることをきょうはお話しさせていただこうと思います。
 今、医療法を変えるのだと、一般医療並みにしてほしいというお話が2人の先輩から
出たわけなんですけど、昭和33年10月2日に出された厚生省の事務次官通達 132号、こ
れで都道府県知事に対して、いわゆる精神科特例というのが発令された。そのころは医
者と看護婦は少なかったんでしょう。しかし、それから、病院を建てるために国は低金
利で金は貸したけれども、精神科特例を外すことなく、今日まで脈々と息づいている。
その間に病院はどんどん増えていって、まるで隔離収容施策のようになっていってライ
シャワー事件が起きる。
そのときに既にきょうの厚生省の資料で出てますように、アメリカではライシャワー
事件の前年の63年にケネディ大統領が地域に患者を帰しているわけです。ところが我が
厚生省は、ライシャワー事件が起きても、患者が地域で安心して暮らせる施策を作ら
ず、むしろ世論に押される形で隔離収容施策が進んだというふうにいろんな本を読んで
いくと出てきます。それが今日まで続いている。そのツケがあるわけです。
ですから、私は自分が受けた、体験は、それれはただ単に、私の主治医の問題だと
か、私がかかっていた医療機関の問題ではなくて、この国の精神医療のおくれが広田和
子に一つの被害をもたらした。そういうふうな観点から見ますと、この特例を放置して
きたという、これ一つをとってみても、この国は国民に対して、ライ予防法や薬害エイ
ズのように、国民の前に精神障害者の施策として謝罪するべき必要があるというふうに
私は思っています。そういうふうな謝罪がなくて、抜本的改革は得られません。今や日
本は217万人の精神障害者を抱え56人に1人。そして21世紀になればもっと増えるだろ
うと言われています。3万 3,000人去年自殺していますが、警察庁の発表では 5,500人
が精神障害者だそうです。そういうふうな事を前にしても、精神保健福祉課の人数はた
かだか20人、予算も他の障害者から比べれば1桁安い。そうした現状の中で、きのうの
事件、そして佐賀のバスジャック事件、そして新潟の少女監禁事件、去年の全日空のハ
イジャック事件、ああいう事件が多発しています。
 私は多くの大学に呼ばれて講演もしていますが、学生から上がってくる感想文は、第
一文は精神障害者は怖いと思った。まくら言葉です。精神障害者は怖いと思った。そし
て、きのうの事件です。本人がインフォームド・コンセントされているかどうかわかり
ません。私もされてませんでした。全く知らなかった。知らないけど、いきなり注射を
打たれた、その注射が精神分裂病の患者に打つ注射だということを、注射を打たれてか
ら5年も6年もたって知るわけですね。それがこの国の現状なわけですよ。
 きのうの23歳の青年が、あそこで家族を3人殺して、私がとっている神奈川新聞は共
同通信電ですが、共同通信電は精神分裂病という病名を出しています、プライバシー
を。出しているけれど、本当に本人がそれを医者からインフォームド・コンセントされ
ていたのか。あなたは分裂病だというふうに私は思っています。 130人に1人、どんな
時代のどんな環境でも発病する可能性がある精神分裂病だと思っています。ですから、
こういう薬を出していますと。あなたが聞こえてくる声は幻聴ですよ。そのためにこう
いうお薬を出して、こういう副作用が出るかもしれません。
 そういう説明があったかどうかわからないのに新聞には出てしまっている。これが我
が国の現実です。ですから私は何しろ厚生省に謝罪していただきたい。私よりもっとひ
どい体験をした患者はいっぱいいます。いっぱいいるけれど、それをひどいとか人権侵
害だとか、私の人権を侵されたとかというふうに認識できるほどの、そういった振り返
るゆとりもない。自分が精神病だとか精神障害者だということを隠さなければ生きてい
かれないと思っている患者は全国に散らばっています。そういうふうに孤立した患者が
ある意味では残念ながら事件に遭遇し、自殺をしているわけです。患者会や作業所に行
っている人が殺人をしたという話は余り聞いたことがないです。孤立している中で事件
が起きている。それはこの国の精神医療のおくれだというふうに思っています。精神障
害者の施策のおくれだと思っています。神奈川県の予算もマンパワーも、横浜市の予算
もマンパワーも全部厚生省と横並びで1桁違います。そこを何とかしなければいけない
と私は思っている。ああいうふうな大きな事件が起きた後に「精神障害者が怖いね」だ
けで終わっては困るわけです。
 カナダのバンクーバーモデルができたのは、患者が主治医を殺したところから、これ
ではいけないということで立ち上がってできたと私は聞いております。ですから、我が
厚生省もああいうふうな事件がこの1年間で4件と多発しているわけですから、まさに
日本の精神医療のおくれが表面化しているというふうにとらえて、マスコミに打って出
て、世論に訴えて、予算をたくさんとって、24時間安心して利用できる精神医療にする
べきだと私は思っています。
 私は疲れますから時どき休息入院をしています。自分の入院している医療機関に働い
ている人に聞きました。「もし、あなたの御家族が精神の病になったときに、この病院
に入院させられますか。」「させられない」と答えました。この中の委員にもお聞きし
たいと思います。この中の委員が、もし神奈川県に住んでいて、夜の10時半に精神的急
性期状態を迎えたらどうするか。行き先は一つです、神奈川県内の場合、警察です。な
ぜならば、神奈川県内の場合、8時で精神科の救急医療は終わっているからです。相談
窓口は夜10時までですが。これは全国的に決して珍しいことではない。
 私たちが求めているのは、特別に何も御殿のようなものをつくってくれとか、お城の
ようなものをつくってくれということではなくて、精神的な病になったときに、24時
間、 119を鳴らしたら、救急車が搬送してくれて行ける安心して受診出きる医療なんで
す。そして地域で安心して暮らせることです。
まさに山本さんが言ったように、この資料4の病床種別一覧が国民の前に出たらどう
でしょうね。ああ、やっぱり精神障害者は本当に危害を加える人たちなんだよね。もう
既に怖いと思っているわけですから、ですから、こういうものが出ることすら不愉快な
話ですけれども、こういうものが出てくるということは、厚生省もおかしいということ
を認識して、出していると私はとらえています。
 精神医療の遅れが患者に心的外傷をもたらし、治療を拒否する現実があります。そし
てその辛い体験が家族関係をも不幸にしています。
 私もそうでした。注射の副作用で地獄の様な体験をした時、精神病院へ通院を勧めた
家族を恨みました。
 しかしその後、いろいろな本を読んだり、勉強したことで、家族を恨むのは筋違い
で、この国の精神医療の遅れを、それを放置してきた厚生省の責任だと思うようになり
ました。日本中に患者が辛い体験をしたために、家族関係を不幸にされてしまった人た
ちが多勢存在しているという現実を直視すべきです。
 それで私はもう一点申し上げたいのは、この中に、私は精神医療サバイバー&保健福
祉コンシューマーとして参考人として呼んではいただいています。しかし、この委員会
の中に、本来、主役であるべきはずの、いわゆる精神医療のユーザー、サバイバー、コ
ンシューマーが1人も入ってないわけです。精神保健福祉法の第3条で、厚生省は国民
に対して、精神障害者が社会で生きていくために協力する義務があるというふうにうた
っている。しかし一番協力していないのは厚生省なわけですよ。つまり主役を入れてな
いわけですから、主役を抜きにして委員会を進めている。これはこの委員会だけではな
くてすべてです。きょうは吉川先生が私に「何でも言いたいことを言っていいよ」とお
っしゃっていますから、厚生省に対して思っている事を言わせていだたいていますが、
これからはきちんと当事者を入れるべきです。それも1人でなくて複数入れていただき
たい。
 こういうところだとお医者さんが何人も出ているわけですから、医者は特例だよとい
うのではなくて、当事者も何人も入れていただきたい。池原さんは個人的にはリベラル
な方です、でも家族会を代表しているわけです。家族会が要望して移送という制度がで
きました。あれも安心して24時間利用できる精神医療があれば、あんなものは要らない
んです、はっきり言って。ああいうふうに自分の意思がなくて入院しなければならない
制度は全国の患者が言っています。任意入院制度以外は全部強制入院制度だと。たとえ
医療保護入院であろうとというふうに言っています。そこでは家族と本人は必ずしも利
害が一致しないんですよ。家族が代弁できるところも今まではあった。でももうできな
いんですよ。移送のようなものができると。ですからきちんと当事者側の委員を入れて
いただきたいというふうに私は思っております。障害者基本法ができて地方自治体は当
事者を委員として入れていますので。
 宇都宮病院事件が起きて、精神保健法ができるまで、我が国の精神障害者の自己決定
権はなかったわけです。つまり任意入院ができるまで、いわゆる法律上が本人の意思で
入院するという制度がなかったわけです。これも謝罪の対象になりますよ。おかしいで
すよ。すごくおかしいと思いますよ。皆さんがもし私たちと同じ体験をしたら、きっと
おかしいと思います。ですから西島先生のように、お力のある方が、ぜひ私ども患者を
応援していただいて、当事者の委員をいれる様にしていただいて、精神医療が安心して
かかれる様にしていただきたい。だれがいつ精神の病になっても、おれだって、私だっ
て、どこの病院も怖くないと思えるように、していただきたいと思うんですね。そうな
れば、こういう委員会はもしかしたら必要ないのかもしれない。何しろくどいようです
が、こういうことをこういうこじんまりとした堅苦しいところで、謝金は出るらしいで
すけれども、私は午前中起きれませんから、きょう午後にしていただいたんですけど、
そういうふうな配慮をいただくだけではなくて、厚生省は公共広告機構を使って、スポ
ットですよ、テレビで、56人が精神障害、急増中、急増中、そういうような話とか、厚
生省自信がもっともっと自分たちから打って出て、今マスコミにやられっぱなしですも
のね。精神障害者が怖いと思われるような事件が起きているから。こうしたときこそ世
論に訴えるべきですよ。
 そういうふうな、私たちは負の財産の中で生きているわけです。ゼロからスタートす
るのではなくて、負の財産の中でくらしているというところをぜひ私は知っていただき
たいというふうに思います。それで私たち患者も一生懸命みんな生きています。生きて
いるけれど、自分たちの努力だけではどうにもできない。ですからもし移送などという
制度よりも、むしろ患者が暴れたときに、暴れるには三通りの理由があります。一つは
病気かもしれない。一つは家族が怒らせているのかもしれない。一つは、またあの精神
病院に入院したくないと思っているのかもしれない。そういうときに、暴れられた家族
が逃げ込めるような、いわゆるレスパイトケアとか、そういうようなものもきょうの委
員会とはちょっと関係ありませんけど、そういう視点をここにおられる専門家の方、ま
たは全家連を代表している方、または厚生省の方が持っていただいて、すべて何でもか
んでも患者をどうにかしよう、こうにかしようという視点ではないことを考えていただ
いて、24時間安心して利用できる精神科救急医療に対する行政指導をきちんと行ってい
ただきたい。平成7年10月27日に、精神科救急医療システム整備事業の実施について、
健医発第1321号、厚生省健康政策局長通知をだしているわけですから。
 警察は精神障害者のことをマル精と言っていました。マスコミも使っています。警察
は3年くらい前からメンタル・ディスオーダム(MD)というふうに変わりましたけれ
ども。自傷他害のおそれのある精神的急性期状態の人を保護して、警察に泊めておかな
ければならないから、私が警察に行って「精神障害者ですが」と言ったときに、警察官
が決まって、「あなたは精神と言ったけど、普通の人ではないですか」と言うわけです
よね。ですから家族関係を不幸にし、地域の中でどこに行っても、日本国中ある警察と
の関係も不幸にしているすべての根源は、この国の精神医療のおくれ、そして、それは
厚生省の精神障害者に対する施策のおくれだというふうに私は思っています。その一つ
が精神科特例です。精神科特例を廃止すべきです。また、平成7年度には総務庁行政監
察局のレポート「ノーマライゼーションの実現に向けて」精神障害者が地域でふつうに
生活していくために、でも精神障害者の施策の遅れについて勧告がでている程です。
 ですから、精神障害者の施策について、厚生省がライ予防法、薬害エイズのようにき
ちんと謝罪して抜本的改革をしていただきたいということと、委員をきちんとどういう
ふうな審議会であれ、委員会であれ、入れることが、国民に対して精神障害者を1人の
国民として認知しているということだと思っております。

【吉川委員長】
 どうもありがとうございました。広田さんの方からは、また少し変わった視点で、精
神病床そのものの問題というよりは、我が国における精神障害者に対する医療のあり方
といった視点からお話をいただいたわけでございます。ただ、全くこの委員会と目的と
無関係ということではございませんで、やはり精神科の診療というのは、病院の中の環
境だけの問題だけではありませんで、この委員会の議題としての問題とは確かにずれて
はいたかもしれませんけれども、やはり基本として押さえておかなければいけない問題
を、広田さんの方からお話をいただいたわけでございます。
 それでは、3人の参考人の方々に対して、各専門委員の先生方から、ご意見をいただ
きたいと思います。あるいはご質問ももちろん結構でございますので、それらをいただ
きたいと思います。いかがでございましょうか。

【池原委員】
 山本深雪さんに、もしできたらお教えいただきたいんですけれども、病院の実際の状
況などいろいろお調べになってみて、少し具体的に、例えば医師、看護の配置の比率と
か、あるいは病床の面積とか、危害防止のための遮断装置というのはとりあえず論外と
して、ベッドサイドというか病床のアメニティーとか、そういうことについて、少し具
体的に手がかりになりそうな数字とかお考えになっているもので、全くの個人的なもの
で構わないのですけれども、いうものがあったら、少し提示していただければと思いま
す。

【山本参考人】
 1人当たりの居室面積の定めが、今、 4.3m2となっていますが、現場においては、急
性期病棟であるにもかかわらずベッドとベッドがぴたっとひっついて配置されていた
り、あるいは頭の上に他人の足が来るというふうにベッドが配置されていたりといった
構造が結構見られます。それは私が思うには、1人当たりの平米数という定めだけで
は、結局のところそうした配置になってしまうのだなということで、そういう他人とと
ても急性期でしんどかったときに、見知らぬ方のいびきも含め、薬の副作用のいろんな
ことも含め、何だかとても落ちついてゆっくりできた環境ではなかったという声が多く
聞きます。あれは平米数の定めだけでは現状に見合った取り決めになっていないという
ふうに実感してまして、できることであれば、1人のベッドを取り囲むスペースが幾ら
必要であるというふうに記述していただかないと、ああいう事態は改善されないと思っ
ています。
 あと1人当たりの平米数のところに関係しているのだと思いますが、デイルーム等を
プラスして人数割で計算しているようです。そのために昼間、私たちが行くと、デイ
ルームあるいは食堂にルームと呼ばれているところに昼間かぎがかかっています。なぜ
というふうにお尋ねすると、居室面積の方に計算をしているのだそうですが、日中そこ
にスタッフの目が届かないためにかぎをかけていますという病院が3病院ありました。
そういう事実は数字で換算されるペーパー上のものと、中に入っている利用者が使えて
いる平米数ということとはずれが発生しているわけですね。あれも非常におかしなこと
で、もう少し定めの方法に工夫か要るのでないかと思いました。
 それと1人当たりの平米数の定めと関係あるのかどうか。面会室が詰所の中に設定さ
れている病院があります。詰所の中ではスタッフに聞かれたらまずい話とか悪口等は具
体的に言えないわけです。面会室はせめて詰所から離れたところに設定されてしかるべ
きだと思うのですが、そういうことも含めてきちんと表記されなければ、残念ながら病
院側の都合でもって運用されている実態です。そこら辺はもう少し安心して療養できる
環境と呼べるにふさわしいあり方に変えていただけるよう具体的な記述を求めたいと思
っています。
 もう一点だけ、現状で保護室というふうに言われているスペースの中に、太陽の光が
まるっきり入らないところがあります。そこに二十数年ずっと入っておられる方がいま
す。私はあれは限りなく拷問に近いなというふうに思っているんですが、保護室、特に
重篤な状態の中で利用するしかないという判断があったのだとすれば、最低限太陽光線
を体に浴びることのできるような環境とか、体を自由に動かすことのできる運動スペー
ス、そういうところとセットされた条件でなければ、二十数年間もああいうところに入
れておくことは私は明らかな人権侵害で、このまま放置される実態というのは許せない
と思っています。あれは改善の余地等十分あるはずですので、そういうところからハー
ドな処遇を受けているからこそきちんとされるべきではないかと思いを持っています。

【吉川委員長】
 小林さんの方から。

【小林参考人】
 病院調査は私たちもやって、この中にアンケートをつくって、ない知恵を絞りまして
やったときに、個室の広さ、病棟の広さについて「1床当たりの面積は何平米ですか」
ということを質問すると、これがみんなデイルームと廊下を全部含めた面積をたして割
っちゃうんですね。ですから割と広く出てくるんです。実際廊下は廊下で広さの基準が
あるわけですけれども、問題は病室なわけですから、それだけだというと、ちょっとわ
からないと。もう一度計算し直していただいたりしました。
 国際的には大体10m2というのが標準ですけれども、日本はその半分しかないわけで
す。一つの原因は、精神病院で私たちが回った中で、二つの病院のうちの数病棟だけに
カーテンがある。いわゆる精神病院には遮断のカーテンがないのが当然だと思われてい
るわけです。でも、それはプライバシーとかを考えれば、当然カーテンがないのはおか
しい。でも、今の状態ではいつも監視していられないとか何とかといろんな理由があっ
てないわけです。だんだん個室もつくっているような病院がありますが、一般の病棟で
も夜寝るときぐらいはプライバシーを保てるような環境にするには、全体の広さと一つ
ひとつのスペースと、そういうような工夫ですね。CPTレポートの38条に書いてあり
ますけれども、”快適な生活環境”の項の中にいろいろヒントが出ていますが、私は
カーテンがないというのがすごく大きな問題だと思っています。あれを設置するとすご
く場所をとりますからね。

【吉川委員長】
 ありがとうございました。

【広田参考人】
 いいですか。そのカーテンの問題なんですけど、いろんなところに私行ったり、入院
していてカーテンがないんですよ。それでどういうことが起きるかというと、ある男性
の患者さんのお宅に私が行っていた。その方は疲れて、いきなりパンツ1枚になったん
です、私の前で。「何でそんなパンツ1枚になったの」と言ったら「精神病院ではこう
じゃん」と言うわけです。つまり人間の羞恥心をなくすわけです。そういったカーテン
があると、精神病院側としては、中で火を使うとか、いろいろあれこれ言うんですけれ
ど、人間としての羞恥心もなくすような、事が起こる。それから、精神病院の中に姿見
がありませんから、自分がどんな格好して歩いているかということも患者さんは意識が
ないというふうに思います。
 それから、少し長く入院する患者さんだったら、お風呂が週に2回しか、私が行って
いる病院はないわけです。そうしたら、退院したら毎日シャワーでも使えばいいじゃな
いといってもシャワーも使えない、そういうような状態が起きています。

【吉川委員長】
 ほかに何かご質問、どうぞ、竹島委員。

【竹島委員】
 山本さんにお聞きしたいのですが、病院の施設の、先ほど保護室で太陽の光が全く入
らない施設があったというお話がありましたけれど、幾つか訪問されていて、新たに建
て直された施設と古い病院で、療養環境において変化が生じてきているのかどうか、そ
このところ教えていただきたい。全体的に見てどうかというところですね。もちろん大
都市などの場合には、土地の面積自体が非常に確保しにくいという病院側の事情もある
のかと思いますが、逆にこういう好ましい、ところがあったという部分、こういう工夫
がされていたのはいいことではないか、そのプラスの面をちょっと教えていただけれた
らと思います。
 それから、小林さんには、先ほどお話がありましたけれども、小林さんが訪問された
国の中で、高齢化した精神障害者の人たちをどういうふうに処遇していたのか。そこの
ところで何か見てこられたことがありましたら教えていただきたい。ご存じのところで
構いませんがそこを教えていただきたい。
 広田さんには同じような形で、療養環境の中で、やはり山本さんと同じなんですけれ
ども、こういう工夫はいいことではないかというご存じの例があったら、ぜひそれを教
えていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【吉川委員長】
 それでは山本さんの方から。

【山本参考人】
 十分にきちんと言えるかどうか自信がありませんが、新しく建て替えになっている保
護室の中で気がついているのは、昔の古い鉄の縦の格子から「グリーンルーム」という
ふうな名称に名前自身が変わって、色も薄緑色のじゅうたんが敷いてあって、全体的に
とても落ちつける環境で、広さも4畳半を明らかに超えるような広さ、トイレにして
も、トイレを使用している最中に、スタッフの方から目隠しの部分がきちんと囲いとし
てあって、使用し終わった後に水を流す設備も中からある。さらに今が何時かというこ
とを示す時計が強化ガラスの向こうの側に置いてあって、カレンダーも置いてありまし
た。その日が終わったら、スタッフがカレンダーに×印をつけて、この日は終わったよ
ということを知らせている。日時とそういう工夫がさまざまされていましたし、あと自
分の私有物を置くスペースをちゃんとベッドサイドにとってました。
 そういう意味では、私はそこの保護室のベッドなら、ちょっとゆっくり落ちつけるか
なというふうに少し思いました。現に利用していませんから、どうなのかわかりません
が、ですから変えようと思えば、こういうふうな太陽の光を取り入れたいときはブラン
ドを開け、欲しくないときはブラインドを閉めといったことで、本人がブラインドのい
じることがよくないなと思ったときは、それを遮断するガラスのようなものがありまし
たけれども、そういうふうな状態像に見合った本人の、例えば水が欲しいときにペット
ボトルを中に持ち込むことができるとか、そういうさまざまな工夫がなされているとこ
ろも多く見受けました。
 まるっきりそうした工夫が何もないというのが逆にまた際立って見えてくるんですけ
れども、ハード面の工夫というのはとても大きな部分でもあるのだなということは気づ
かされました。

【吉川委員長】
 ありがとうございました。小林さんの方から何か。

【小林参考人】
 特に高齢者に対してこれであるというような情報はないです。私は外国に行っても、
このごろは地域ケアの方ばかりを見ることが多いので、これは老人、いわゆるグループ
ホームに老人も若い人も一緒に入っている。グループホームといっても、大体5人か6
人ぐらいの規模です。そんな大規模のものではないわけです。家族の単位でいて、その
人がおじいさんやおばあさんの役割をとるというような感じでばらばらといます。
 ただ、昔、留学していたときに見たのは、イタリアのトリエステで閉鎖病院の中を改
造してシャンデリアがあるようにしたところに看護婦さんがいっぱい配置されていたと
ころとか、スペインでも南の方の病院では、病院の一部を改築して、その人たちの共同
住居みたいのをしてましたけれども、いわゆる“ジェリアトリック、ジェリアトリック
”とみんなが言っていて、やっぱり寂しい印象はぬぐえませんでした。今ではもっとグ
ループホームが供給されているようです。
 やはり西洋の人は、「我々は高齢者に対して余りよい施策を持っていない」というよ
うなことを自嘲してました。東洋のあなたたちの方こそいろいろいいアイディアがある
のではないかとか、我々東洋人というのは目上の人を尊敬する人種だと思われていたの
でしょうけれども、そういうような感じでした。
 だから、今のところはよくわかりません、すいません。

【吉川委員長】
 広田さん。

【広田参考人】
 この間、ある病院に行ったときに保護室がとても工夫されていまして、扉が二つあっ
て、急性期の症状が激しいときには、トイレがこちら側から入れるけど、それが少しお
さまって、まだ、そこを必要とするときには、こちら側から入りますよというふうな工
夫があったし、一番ひどいときには自傷もありますから、ベッドを壁に立てかけちゃっ
て、壁にしちゃって、少しそれがおさまったときベッドが出てくるというのを見て、こ
ういうところなら、すごくいいなというふうに思ったのが1点なんですね。わかります
かしら。つまりこういうふうに壁があるとベッドがこういうふうにおりてくるんです。
状態がよくなった。最悪の場合にはベッドが壁になっちゃう。下にラバーがあって、そ
こに布団を敷いて寝る。トイレも工夫がありましたから、それはとてもよかったと思い
ます。
 それから、ある病院のところで、思春期病棟だったんですけど、いわゆる色分けがで
きていて、これがすぐ病床ということと結びつくかどうかわかりませんけれども、いわ
ゆる危機管理が、危機的なとき、火事とか地震とかあったときに色別に逃げていくと。
何号棟の入口とか、1号とか2号とか、AとかBとかCではなくて、赤とかグリーンと
かオレンジとかということですごくわかりやすいんですね。それだと少し入院している
患者さんが、状態が悪くても色までは忘れないでしょうから、すごくいいのではないか
というふうな思いで帰ってきて、そういうふうな、つまり明るい色を使ったきれいで広
い病床だったら患者さんもよくなるというふうに、そこのスタッフから聞きましたね。
 さっきも申し上げたように、医療がよくなれば、また行きたいと思うわけですよ。自
分のうちよりも、むしろ病院の方がきれいならば、具合の悪いとき入院しようという気
になるわけだから、そうすると結果的に家族関係もよくなるし、ある意味では事件とか
自殺とかというのも防止されるわけだから、すべてはいい医療なんだけど、そういった
2例、保護室のすごくよかった。あそこなら、私でももしすごく悪くても、あの保護室
ならいいなという感じがしたのと、それと色分けになっていて広くて。すごくきれいだ
し、わかりやすいということです。

【吉川委員長】
 ありがとうございました。ほかに何かご質問、どうぞ、末安委員。

【末安委員】
 小林さんに1点だけお願いします。病院統計の中で、コメディカルのスタッフの対病
床数と患者数と分けてとらえているわけなんですけれども、ドクター、有資格の看護
者、コメディカルなスタッフの量的な数と、病院全体の評価を別になさっているんでし
ょう。

【小林参考人】
 はい。

【末安委員】
 それは相関するものがあるんですか。量的な数から見えた何か病院の評価というの
を、皆さんがやった調査で、あれば教えてください。

【小林参考人】
 『東京精神病院事情』の関連ですよね。私たちはコメディカルが多い病院はよい病院
ではないかという予測というか、それは持っています。今、心理、社会、薬物的療法と
かというような中で、心理、社会に当たるものはOTとか心理の人とか看護の人たちと
か、そういう人たちが人海作戦でというかたくさんいて関わるわけです。コメディカル
が多くいるところがいいということで、入院者に対して何人かということで数を出した
わけです。
 ただ、例えば心理の人とかはパートの人が多かったりするわけですね。だから、スタ
ッフの数というのも、我々は一応看護なんかは常勤者を対象にしていますけれども、O
Tとかなどはとにかく配置されているということだけで分けていました。実質的には、
これだけ数がそろっているから実質的にも機能しているのかといえば、そのこととは別
ですけれども、こういうコメディカルが多いところの点数というのは一つ重要な評価点
になってはいるんです。

【末安委員】
 数が多いといいということだけではなくて、そういうことは理解できるんですけれど
も、でも数が多くても結構机に座っている人が多いと患者の利益になっていないのでは
ないかという感じがするんです。それを何か別なもので、数から想定できるものはある
のか。評価の方法があったのかどうかを聞きたかっただけです。

【小林参考人】
 多分まだそこまではいってないですね。まず数をつかむことだけで精いっぱいで、確
かに人数がいても、看護が多いところでも、さっき山本さんが言ったように、全部ナー
スステーションに入ってかぎを閉めちゃっているとか、おやつ食べているとか、そうい
うところが随分あるんですよね。OTとかいっても、医者の指示待ちでしか仕事をしな
いところとか、ワーカーがいてもそうなので。ただ、そういうことを指標にしたり、数
値化することをまだとてもできないので、ただ、そういうことのために我々は現実に訪
問したのです。アンケートによって数とか平均年齢とかをさぐり、ワーカーが60歳近い
人ばかりのところもいて、これはちょっとフットワークが悪いなという印象をもって、
データの分析をしました。
 そういうことで数と年齢によってある程度の質の予測がつく。それと我々が実際に訪
問してどうなのか。看護婦さんたちが割とよくかかわっているというのが、我々病院を
見なれていますから、見ればある程度わかる。とても冷たい感じのかかわり方をしてい
るとかというのもわかりますから、それを我々は感想文の中に書いたわけなんで、た
だ、なかなか数値化はできません。

【吉川委員長】
 どうもありがとうございました。いかがでございましょうか。そろそろ後の議題の方
もございますので、この辺のところで閉めたいと思いますが、よろしければ、これで、
参考人の方々に後ろに下がっていただきまして、後までお聞きいただくのは一向に構い
ませんのでどうぞ。
 それでは次の議題に移らせていただきます。議題2は、先ほど申しましたように、委
員の先生方から提出されました資料等についてでございますけれども、それぞれ資料を
出していただいております3人の先生あるいは先日御意見をいただきましたときに、伊
藤弘人委員からもいろいろと恐らく追加のお話があるかもしれませんが、そうしたこと
で後の時間を使いたいと思っております。
 それでは最初に資料を出していただきました金子委員からご説明いただきましょうか


【金子委員】
 それでは若干ですが、ご説明させていただきます。私の方からは、1枚字が書いてあ
るものと2枚グラフあるものとの計3枚でございますが、今朝打ったものですから誤字
があるのを修正していただきたいと思います。
 まず1番目の◆は「総合病院精神科の現場からの要望」ということで、これは今年の
4月14日、厚生相の省という字が違っておりますので、直していただければと思いま
す。松本課長にお会いして、日本総合病院精神医学会の方から要望書を手渡しました。
この内容に関してはわざわざ今日は説明しませんけれども、先ほどの3人の参考人の方
のご意見の中にも、山本さんの「精神科では人手こそ治療の道具である」とか、「ハー
ドな症状の人ほどきちんとしたマンパワーをそろえるべきである」とか、小林さんの「
精神病床のみでなくても入院環境を整えてよいのではないか」、また広田さんの「24時
間かかれる救急にはやはり人手をきちんとすることが必要ではないか」という、我々の
主張と似通った部分もあると改めて思った次第でございます。
 今回、御提示いたしたいのは、2番の◆になりますが、昨年の8月に「総合病院精神
科基礎調査アンケート」というのを行いました。これは日本総合病院精神医学会の会員
が勤務する病院について行ったものでございます。ということで、すべての日本の総合
病院ということではございません。また、総合病院という言葉を使っておりますが、皆
さんもご存じのように、第3次医療法改正におきまして、総合病院という規格自体はな
くなりましたけれども、その規格を流用させていただいておるものです。
 現状では1万 9,070ベッドほど総合病院の精神科はあるわけですが、今回の調査施設
は 240施設です。設立母体はそこにお示ししたとおりです。
その中で有床の部分を抜き出しまして 139施設についてグラフ化してみました。次の
ページを見ていただけますでしょうか。そうしますと、精神科医1人当たりの病床数と
しては、入院患者さんの実数はわかりませんので、対病床数でみましたけれども、1:1
6よりも濃密に配置されている病院施設が54%です。それから、16:1から32:1までの
ところが27%、32:1から48:1という特例までのところが13%ということで、94%以
上が特例以上ですし、また16:1という一般科と同等のところが半分以上ありました。
現状がこれだということです。
 それから、医者の配置とそれぞれの医療機能を見てみました。二つグラフをつくって
みましたけれども、一つは精神科医1人当たりと病床数と平均在院日数についてプロッ
トしてみました。横軸が精神科医1人当たりの病床数で縦軸が平均在院日数です。検定
はしていないのですが、明らかに精神科医1人当たりの病床数が少なければ少ないほど
平均在院日数も短い傾向はあるということがおわかりいただけると思います。
 それから、次のページには、精神科医1人当たりの病床と病床の回転率を見てみたも
のです。これも精神科医1人当たりの病床数が少なければ、病床回転率が高くなってい
るという結果が出ております。つまり1ページに戻っていただきますと、保護と収容を
旨とする前時代の精神科医療から、早期発見・早期治療、またリハビリテーションを円
滑に進めるという精神科医療へ転換するためには、医師数配置など人員配置の基準は決
定的な要素ではないかというのが、このアンケートの結果をもって感じた次第でござい
ます。以上です。

【吉川委員長】
 ありがとうございました。また、ご質問その他は後にさせていただきますが、それで
は続きまして、伊藤(哲)委員からお願いいたします。

【伊藤(哲)委員】
 私の方からは皆さんに配付した資料に沿って簡単に説明させていだたきますけれども
一つは、今回の医療法の改正に当たって、従来からいろいろな方面から要望があります
精神病床の機能分化をある程度狭い範囲、限定された範囲だけでもいいから進めるべき
であるということです。精神病床がほかの一般病床に比べて人員の配置などが低くてい
いという根拠は、これは当事者はもちろんのこと、国民全体に示すことは我々はできな
いということが前提にあります。もしそれを示すとすれば、今はスタッフの医師が少な
いから、あるいは看護婦が少ないからという申し開きしかないと思うんです。実際にそ
ういう現実があることは確かですので、将来に向けてできるところから限定的にでもい
いから、一般病床に近い病床区分をしてスタートに立ってほしい。一般病床に水準を近
くするという意味です。
 具体的にそれではどうするのかということですけれども、ごく限定されたところしか
現在の医師数とか看護婦数では一般病床に近いレベルは保てないだろうということで、
その限定の仕方を2番目に具体的に書いてみました。
 (あ)は一般病床と同じ人員配置ということですが、そのときにどういう病床が精神
科の一般病床として位置づけられるべきかということですが、まずは総合病院の精神科
はぜひそういう位置づけにすべきではないか。ただしすべての病床、総合病床の精神科
の病床がそういうふうに該当するかどうかということではなくて、やはり措置、応急入
院、精神科救急システム、そういうふうに活発にかなり高度な医療をせざるを得ない病
床について先に指定していくということ。
 2番目は、単科精神病院も一部はそういう一般病床となるべきであるということで
す。総合病院がレベルアップするだけで、現実に90%以上占めている精神科の単科病院
が現状と同じということであれば、日本の精神医療のレベルアップということは言えま
せんので、幾つかの条件をつけた上で単科精神病院の一部を一般病床並みにすべきでは
ないかということです。細かなことは読んでいただくということで飛ばします。
 次のところですが、実際にベッド数をどのぐらい一般病床にすべきかということです
が、非常に限定した数しかできないだろう。その算定法ですけれども、まず措置入院患
者さんはすべて一般病床並みの16:1、3:1というのは、これは必要ではないだろう
か。これを48:1という従来のやり方を踏襲するのは、どう見ても説明できないという
ことです。それから、隔離・拘束を受けている患者さん、重篤な身体合併症を有する患
者さん、児童思春期の患者さん、覚醒剤の急性精神病状態にある患者さん。医療保護入
院で、本来なら3カ月目ぐらいまでは手厚い医療を受けるべきだと思いますけれども、
せめて30日以内の患者さんについては、一般病床並みのレベルで医療を受けるべきだ
と。
 でも、これを計算すると、いろんな条件が重複しますので、何ベッドあればいいか、
私も算定を試みたのですが、データがないので出なかったのですけれども、2万床とか
3万床、現在の病床の1割以下が重篤な患者さんを診る病棟とすれば、その程度を差し
当たりはレベルアップすべきではないかということです。将来的には、4番に書いてあ
りますけれども、少なくとも医療保護入院のうちの3カ月以内ぐらいの方までは拡大し
て一般病床並みというところに持っていくべきではないか。現時点では4番目までは無
理であるということです。
 それから、あとは病床配置については、もし、そういう一般病床並みの病床ができる
のであれば、できるだけ2次医療圏ごとに病床を配置していって、1カ所に固まらない
という施策をとるべきではないかという提案です。
 ただ、先ほど言いましたように、医師の数、看護婦の数のデータと、一体何病床そう
いう病床が必要かという試算が私のところではできませんでしたので、その辺も十分検
討する必要はあるということです。考え方を示しました。

【吉川委員長】
 ありがとうございました。それでは、竹島専門委員からお願いいたします。

【竹島委員】
 それでは、私の方も資料のページに沿ってお話しさせていただきます。6ページから
ですが、私の手元で、扱える資料の中から整理をしてみました。
 まず6ページは、入院患者、平成10年6月の入院患者が1年後にどれぐらい残留して
いるかという数なんですが、10年6月の入院患者は1年後17.5%残留をしているという
ことでございます。これは基本的には全国の 1,663病院のうちの 1,616病院のデータで
ほぼ全病院を、網羅をしているものではないかと考えております。
その次のページは、きょうの添付資料にもございましたので、これは説明を省略させ
ていただきます。
次が8ページでございますが、8ページからはどういう資料かと申しますと、新たに
入院した患者さんが1年後にどれぐらい病院内に残っているか、入院を継続しているか
ということで見た場合に、5%未満から10%未満、あとは10%刻みで50%以上まで分け
まして、資料8ページは、常勤換算をして、これは非常勤を3分1人とカウントをしま
して、職員1人当たりの受持患者数を見たものでございます。ただし、ここでお断りを
しておかなければいけないのは、この5%未満、この残留率の違いというのは、また同
時にそこに新たに入院している患者さんの層の違いもまた反映したものでございます。
見てみますと、5%ないし10%未満のあたりでは、疾患としましては、器質性の精神疾
患が少なくて気分障害、神経症性障害といった、比較的入院期間が短期である患者さん
の入院が多いといった傾向がございます。
 それに対して入院期間が長期、残留率が多い病院では、新たに入院している患者さん
の中で痴呆性疾患の患者さんが多いという傾向がございます。それを前提にしたもので
ございますが、職員の配置の多いところの方が残留率が低いといった傾向が出てまいり
ます。 その次は、9ページは同じように残留率と常勤1人当たりの在院患者数の違い
を見たもので、やはり常勤の方に絞りましても同様の傾向が見られます。ただし、8、
9については、外来患者についてのデータは含んでおりません。
 さらに10ページ、11ページは看護体制と比較したものでございますが、同じような傾
向が見てとれるということでございます。
 ちなみに5%未満の病院の中での設置者の別なんですが、5%、10%未満のいずれに
とりましても、それぞれ5%では半数以上、また、5%〜10%未満でも、法人ないし個
人の病院が約4分の3ぐらいを占めるということも申し添えさせていただきたいと思い
ます。
 以上のことから、私の方で申し上げたいことは、残留率が低いのがいいと決めてみる
ことはできませんが、やはり残留率の高いとか低いとかといったことがそれぞれの医療
の果たしている役割について、結果的にといいましょうか、現状において果たしている
役割の違いを示唆しているのではないかと考えてはおります。

【吉川委員長】
 どうもありがとうございました。それぞれの委員の方からご説明をいただきましたけ
れども、先ほどちょっと申しましたけれども、伊藤(弘人)委員、何かありますか。

【伊藤(弘)委員】
 前回の資料で一度先生方にご提示しています。ただ、もう一つ、申し添えさせていた
だければと思いますのは、先ほどのご発言からも出てきましたけれども、私は機能分化
というのはかなり実態的には進んでいるのではないかと考えております。と申しますの
は、精神保健福祉課で6月30日になされていらっしゃる在院患者さんの動向を見ます
と、65歳未満の方は年間 5,000人ぐらいずつ減ってきているのです。一方、65歳以上の
方は、年間 3,000人ぐらいずつ増えてきて、総体としまして年間 2,000人ぐらいずつ減
っているという状況があります。これはとてもざっくりとした表現でありまして、まだ
詳しい内容は今後やはり調査をしていかなくてはいけないのですが、例えば、今のご提
示から申し上げると、年齢で切る限りでもかなり機能分化というのが入院医療について
起きているのではないかということを申し加えさせていただきます。以上でございま
す。

【吉川委員長】
ありがとうございました。それでは、それぞれの先生方に対してご質問、御意見等が
ございましたらいただきたいと思います。どうぞ、津久江委員。

【津久江委員】
伊藤先生、よくわかったのですが、質問を一つ、二つさせていただきたいのですが、
今までにある病棟機能分化というのが六つほど精神科にはありますね。これとのリンク
はどうするのかという問題が一つ。
 それから、先日医療経済実態調査のデータが出ましたですね。公的病院が人件費比率
159.8%というデータがあるんです。この問題、どう先生はお考えでしょうか。

【伊藤(哲)委員】
 まず一つは、現在の急性期治療病棟との関係ですけれども、現在急性期治療病棟が大
体 4,500から 5,000近く病床あるわけですね。これは医師は48:1でいいということに
はなっているのですが、看護婦さんについては 2.5:1、3:1ということでいってい
るわけですから、そのまま、あるいは診療報酬制度上の切りわけですけれども、実際に
は医師は、実態として恐らく急性期治療病棟は48:1ではない。ちょっとデータを私持
っていませんけれど、むしろ先生の方が詳しいかもしれませんけれども、16:1に近い
ぐらいでやっておられる病棟もあるのではないかということで、私は医療法はそのまま
近いところにいけるのではないかと見ております。 4,500ぐらいは。それが一つ。
もう一つ、人件費が公立病院では非常に高いのはそのとおりでございます。 153はち
ょっと高過ぎる。110 なんぼというふうに、先生、私のデータともしかしたら違うかも
しれませんけれども、それが非常に高いのは、看護婦などが医療法上は6:1というこ
とになっていますが、既に3:1、2.5 :1という配置をされている国公立病院結構あ
ると思うんですね。それはそのまま診療報酬制度にリンクしてませんので、恐らく全く
持ち出しということになって人件費比率を高くしているのだろうと思います。そういう
ことで人件費が高くなるのはその辺だろうと思います。もちろん、そのほか公的な病院
には人事の適正配置ということが非常に苦手で動きの悪いといいましょうか、そういう
公的な病院の不効率というのももちろん含まれてはいます。それと両方だと思います
が、実際には診療報酬に定められている以上の数、特に看護婦さんについては結構配置
されているという実態もあると思います。

【吉川委員長】
 先生よろしいですか。

【津久江委員】
 データは、公立の精神病院の医療収入に対して給与比は 119.8%、中医協のデータで
ございます。医薬品比が 115%というのが実際のデータでございます。
それから、先生、もう一つお伺いしたいのですが、看護婦さんだけでなくて、先ほど
も質問が出たようなんですが、コメディカルスタッフについてはどうお考えでしょう
か。

【伊藤(哲)委員】
 どういうふうに配置すべきかということでしょうか。

【津久江委員】
 御意見です。

【伊藤(哲)委員】
 例えば医療法上で精神病院にはコメディカルスタッフは何名を置くべきか、書き込む
かどうかのご意見ですか。

【津久江委員】
 看護婦さんと別の視点で物を見ないといけないと思うんですが、例えば、精神保健福
祉士ですか、あるいはCP、OT、その他いろんなたくさんの業種があると思うのです
が、その辺のお考えはどうでしょうか。

【伊藤(哲委員】
 もし書き込めるものであれば、理想としては、医師、看護婦とは別に、病棟の機能に
もよると思いますが、例えばリハビリテーション病棟というようなものがもし新たにで
きるのであれば、当然そこにそういう職種を配置すべきだということを記載すべきだと
思うのですが、今の段階でどうすべきかということは、私も非常に迷っているといいま
しょうか、例えば療養病床には当然PSWとかを置くべきだということになっているわ
けですけれども、一般的な病床にそこまで人員増やして強制的に置かせるようなことが
できるのかどうか。

【津久江委員】
 急性期対応の急性期治療病棟でも精神保健福祉士か心理技術者が常勤することになっ
ております。

【伊藤(哲委員】
 ありますね。そういう形で、心理、作業療法士、そこまで細かく書き込むべきかどう
か、書き込めればいいと思っているんですけれども、医師でさえ16:1か48:1という
ときに、そこまで今すぐ持っていけるかどうか。できたらせめてPSWについては置く
ようになってほしいとは思っていますが。

【津久江委員】
 もう一つ追加しておきますけれども、急性期治療病棟たくさんはないんですけれど
も、全国にあって頑張っておるわけでございますが、16:1の先生方の国公立病院に対
しては、診療報酬上の評価があったんですよね。我々は確かに傾斜配置していると思い
ます。48:1ではとても対応できませんので、そこは評価されなかったんです。

【伊藤(哲委員】
 もしそうだとすれば、おかしいと私は思います。

【吉川委員長】
 よろしゅうございますか。今、結論が出るということではございませんて、それぞれ
ご意見ということでございますけれども、ほかに何か。

【山崎委員】
 伊藤哲寛先生にお聞きしたいのですけれども、実は公立病院と民間病院の診療の棲み
分けというのですか、そういうものが全然できてないと。例えば措置入院の患者さんを
見ましても、現在公立病院に入院している患者さんは8%、民間病院は92%の措置入院
を受けているわけです。結局これは、本来公立病院の赤字というのは、政策医療を行う
場としての公立病院の存在というのがあるわけですけれども、結局政策医療というもの
がどういうものかというのは余りはっきりしていないのですが、精神科における政策化
の医療というのは、精神科救急であったり、処遇法の患者さんであったり、処遇困難な
患者さんであったり合併症であったりといったことだと思うのですが、その区分につい
て、本来赤字を使っている公立病院がきちんとした本来の役割を果たしていなかった
と。
 先ほど参考人の方々のご意見にもありましたように、宇都宮病院にしてもそれと絡
み、安田病院、大和川病院にしても、結局あれは本来公立がきちんと機能していれば、
ああいうふうな病院というのは出現しなかったはずだと思うのですけれども、その辺の
公立病院が本来果たすべき役割についてのご意見をお聞きしたいのですが。

【吉川委員長】
 西島委員、伊藤先生へですか。

【西島委員】
 伊藤先生もそうですが、竹島先生からいただいたデータの中を含めてちょっとご意見
をと思ったんです。

【吉川委員長】
 伊藤委員、先に。

【伊藤(哲)委員】
 公的病院が、先生おっしゃるように、税金をかなり投入していただいていることは事
実ですから、当然民間病院の先生方にかなり無理をおかけするような症例を多く見てい
るのは当然なことだと思います。ただ、実態として地域によっては十分果たせなかった
という実態はあるとは思います。
 ただ、ああいう不祥事件、大和川病院とかああいうのが起こるのは、公的病院がもし
受けてくれれば起こらなかったかどうかということはちょっと切り離して考えていただ
きたいと思うのですが、いずれにしても措置入院患者さんなどはもっと高い比率で見る
べきだと思っています。ただ、今の比率の出し方は、新規の入院の方のデータではなく
て、ずっと在院している長期の方も含めてのデータです。最近は公的な病院への措置の
入院はかなり増えているというふうに数字はなっているはずです。
 というのは、今残っている方は、昔、随分民間病院の方にお願いして、ずっと長く残
ってしまったケースが入っていますので、分析はもう一回やり直して、最近増えている
かどうかはもう一回きちんと見るべきだと思っています。その上で最近公的病院が少し
でも措置入院や何かを新規に受け入れているのかどうか、そのデータを出して、もしだ
めであれば、きちんとすべきだと思いますけれども。

【山崎委員】
 実は残っている患者さん側の問題などがありまして、結局民間病院の閉鎖性云々とい
う話が出ると、結局そういうふうな患者さんをお預かりしているために処遇を閉鎖処遇
をしなければならない病棟が非常に多いんですよね。したがって、そういう患者さんは
本来公的な病院がする患者さんであったのを、民間病院がずっと長期間、30年、40年と
お預かりしているような形なわけでありまして、実際退院させるかという話が出ます
と、隣近所から絶対に退院させないでほしいという陳情が来るような患者さんが民間病
院に入ってまして、そういった患者さんが閉鎖性を助長している側面があるということ
をご理解いただきたいと思うんです。

【伊藤(哲)委員】
 その辺についてはそのとおりでして、もしそういうふうに、現在入院している患者さ
んが重症で、措置をなかなか解除できないというようなケースの場合は、本来なら公的
病院に転院させるぐらいなことをやっていただくべきだと私は思っていますけれども、
ただ、先ほど言いましたように、公的な病院も看護婦さんについてはかなり充実してい
ます。それで人件費相当高くついているんですが、医師については公的病院と言いなが
らも、医療法に定められた人員配置しか基本的にしませんので、やはりそれとの関連
で、措置の患者さんを受け入れるのであれば、それなりのきちんとした体制を持ってい
くべきだと思いますし、仮に体制が今整ってなくても引き受けるべきだと私は思ってい
ます。

【吉川委員長】
 ありがとうございました。山崎委員のご意見、伊藤(哲)委員のご意見、それぞれで
きるだけ今後データを積み重ねて議論を本当は深めなければいけない問題だと私は把握
いたします。それでは西島委員どうぞ。

【西島委員】
 先ほど竹島委員から資料を提出していただきまして、一つには、平均残留率がこうい
う形で1年後には17%ぐらいしか残留していないという状況。それから、2枚目の資料
でいきますと、残留率と常勤換算1人当たり云々というようなところで在院数が非常に
少ないのは、感情病とか神経症とか、そういう患者さんたちが5%未満で多い、そうい
う現状もこの中から読み取れるのだろうと思うんですが、そういう周辺がどんどん変わ
ってきているんです。変わってきている中で、先ほどの参考人の方々の意見でも、「収
容所」という言葉が何回も出てきているんですよ。しかし、これからは収容所であって
はならないわけで、治療施設としてやっていかなければいけない、私はそう思うので
す。もう一つは、これから地域で患者さんたちが生活していく。そのための条件づくり
はしていかなければいけない。
 その中で、初めて機能分化をどうしていくのか、病床機能をどうしていくのかという
考え方をしていかないと、これを先にしちゃって、周辺は何も進まないということにな
ったら、ますます「療養病床」という言い方がいいのかどうかわかりませんが、長期の
入院患者さんをまたつくってしまうことになりかねないと思うんですね。ですから、こ
れから先の長期の患者さんは、非常に重度な患者さんたちが長期になっていく可能性が
あるだろうと。となると、「慢性」という言葉で本当にいいのかどうかということもや
はり考えなければいけない。
 そういう意味で、先ほど伊藤先生がご提出いただいた「精神科一般病床」という言葉
がありますが、こういう問題や課題があるから、この課題を解決した中で精神病床の機
能分化を考えましょうというのが精神保健福祉部会の報告書の一つの結論だと思うんで
すね。そういう周辺整備をしていきましょうと。
 今回の今先生がお出しになったのは、ここでまた病床を二つに区分する話でございま
すから、まずは課題をきちんと解決するということを厚生省がそういう強い決意で臨ん
でいただかないと、これ以上、話が進まないような気がしてしようがないわけです。ま
ずは課題をどうするのか、しますというのが厚生省のこの前の部会での結論だったと私
は思いますし、例えば、大変な患者さん、きのうも大きな事件がありましたけれども、
ああいう患者さんたちをどこでどう治療していくのかということも明確に打ち出してい
かないと、これは患者さんのQOLの問題なんですね。そういうことも含めた中で、課
題をきちんと解決していく。その中で初めて精神病床の機能分化をどうするのかという
議論になっていくだろうと私は思うのです。
 ですから、そういう意味で、去年の11年の11月だったですか、一つの報告書が出てい
ますが、あの中では当面診療報酬によって変えていくというお話をしたと思うんです
が、ですから今の伊藤先生の話が診療報酬にかかわる話であればいいのですけれども、
これは医療法の中で書き込むということになると、これはいろんな問題が出てくるのか
なという気が私は少ししております。

【吉川委員長】
 ありがとうございました。西島委員のご意見、今までも何回かお話をいただいており
ますが、これからの我が国の精神保健福祉のあり方の先を見ての考え方をまずしっかり
とつくるということ、その中で病床分化ということも含めて考えていかなければいけな
いのではないかというご意見だと思いますが、それにつきましては、また、この委員会
そのものももちろん考え方として取り入れていかなければいけないことだとも思ってい
ます。
 それでは、竹島委員、何かご意見ございますか。

【竹島委員】
 すいません、金子先生にちょっと教えていただきたいのですが、私の手元のデータで
見ておりましても一番難しいところなのですが、総合病院の精神科等の場合に、いわゆ
る後送、救急等の受け入れ病院になっていて、そこから後送があって、それが結果的に
入院数、退院数を非常に多くしている病院が幾つかある。この後送について先生のデー
タの中でどんなふうに評価してとらえていいのか、平均入院日数が短いということで言
えば、後送が多いとすごく短くなるという方にいくわけですけれども、例えばそういっ
たものではなしに、治療完結というところでこのデータをもう一度見るということがで
きるかどうか、ちょっと教えていただきたいのですが。
 それともう一点、すいません。この総合病院の精神科等で、例えば重症の患者さんを
治療するといった場合に、ハード面その他で今欠けていること、整備しなければいけな
い課題について、人的なものといったものも含めて、どんな点が気づかれているかも簡
単に教えていただけたらと思います。

【金子委員】
 まず第1点目からお答えいたしたいと思います。これはアンケート調査でして、個々
の施設名をここでお出しするわけには残念ながらいかないということでお許しいただき
たいと思います。しかし、東京などにおきましても、平均在院日数が短かったり病床回
転率が高かったりという病院は決して救急医療の先端で頑張っている病院ばかりではご
ざいません。かといって、西島先生からは、病態ごとに、例えば感情病であるとか神経
症がというようなことで残留率が小さいというお話もございましたけれども、相関係数
等求めておりませんので、有意差があるかないかまではわかりませんが、印象としては
そればかりではないと思っております。
 つまり、それぞれの総合病院が余りにも医療機能として特化して特別な役割ばかりを
果たしているわけではない。しかしながら人員配置が濃いところほど平均在院日数が短
く病床回転率が高いという事実はあるとまず考えていただければと思います。
 それから、第2点目の、これは病室の構造等ということに関係する項目だと思うので
すが、日本総合病院精神医学会でも総合病院の精神科の病棟は閉鎖病棟であるべきか、
開放病棟であるべきかという結論はいまだ出ておりません。ただ、病態ごとに病棟をも
つことは当然総合病院の場合できません。ほとんどのところは50床以下で、一個病棟し
か持っておりませんので、そこで2単位をつくるというのは現実的に不可能です。どち
らかにしないといけないわけですけれども、そのどちらにもメリットとデメリットとい
うのがございます。問題は幾つかあると思いますけれども、ただ、開放病棟であって
も、かなり重症な患者さん、例えば精神科の救急においても緊急措置に該当するような
症状を持っている患者さんも治療しているという報告は幾つか出ております。
 というところでよろしいでしょうか。

【吉川委員長】
 どうもありがとうございました。議論は尽きないところがあると思いますけれども、
そろそろ時間も参りましたし、本日の質疑はこの辺のところで閉じさせていただきたい
と思います。
 それから、今後の進め方でございますけれども、委員長といたしましては、この精神
病床の設備構造の基準に関して、ここまでいろんな形でフリーにお話をいただいてきま
したけれども、何らかの結論を9月末までには出さなければいけないというような、そ
うした制約があることは冒頭にお話をしたとおりでございます。したがいまして、とり
あえず私どもとしては、少し具体的な議論をしていただきますために、次回8月21日に
予定しております委員会では、数値をはめ込んだ形で皆さん方に議論のためのメモとい
うことでご提案をさせていただきたいと思っております。今、事務局の方にその作業を
進めてもらっておりますが、それをもとにして、8月21日の議論はさせていただきたい
と思います。いかがでございましょうか。もしよろしければ、そんなような進め方でい
きたいと思っています。
 もし、それでよろしければ、本日これで閉じさせていただきますが、事務当局にお願
いをいたしますけれども、数値をはめ込んだ議論のためのメモを次回ご提出いただけれ
ばということでお願いしたいと思います。
 そのほか、何か事務当局の方からございますでしょうか。

【重藤補佐】
 委員長の方から、次回8月21日ということでございましたので、8月21日4時から同
じくこの場所で行いたいと思います。それから、21日の日に9月の日程等につきまして
は決めさせていただきたいと思いますので、委員の先生方に9月の日程等の資料をお持
ちいただければと思います。

【吉川委員長】
 わかりました。それでは、本日お忙しいところお集まりいただきましたけれども、こ
れで閉じさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。」

http://www1.mhlw.go.jp/shingi/s0008/txt/s0807-1_9.txt より引用)



*作成:仲 アサヨ
UP:20090612 REV:20100114
精神障害/精神医療 ◇精神病院不祥事件全文掲載
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