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「障害者の情報アクセス権と著作権の調和ある発展に向けて大きな一歩──著作権審議会第一小委員会『審議のまとめ』(平成11年12月)について」

障害者放送協議会放送研究委員会

last update: 20151221


障害者放送協議会放送研究委員会からの公式見解が公表されました。

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障害者の情報アクセス権と著作権の調和ある発展に向けて大きな一歩
-- 著作権審議会第一小委員会『審議のまとめ』(平成11年12月)について --

                             1999年12月9日

                     障害者放送協議会放送研究委員会
                            委員長 河村 宏

  障害に関わる中央17団体で構成する障害者放送協議会の放送研究委員会(以
下、当委員会)は、障害者の情報アクセスに関わる著作権法の諸問題について、
様々な障害分野の要求を集約した要望書を文部大臣と著作権審議会会長とに提
出し、本年 6月以来、文化庁と協議を進めてきた。当委員会は著作権を尊重す
ると共に、障害者の知る権利と著作権の調和ある発展を追及している。

  今回発表された著作権審議会第一小委員会『審議のまとめ』は、著作物を鑑
賞し享受する権利が障害者と高齢者を含むすべての人にあることをはじめて明
確にした点で画期的である。当委員会は、視聴覚障害をはじめとする身体障害、
学習障害や知的障害、あるいは高齢による複合的な問題等、著作権法の整備な
くしては解決できない障害者の情報アクセスに関わる諸問題をそれぞれ取り上
げて問題提起し、法改正と障害を持つ当事者の代表を著作権審議会委員に含め
ることを要求し協議を続けてきた。このたびの『審議のまとめ』は、この協議
における問題提起を受けて、早急に法改正が必要な問題と今後引き続き関係者
の協議に委ねるべき課題とに整理している。

  当委員会は、『審議のまとめ』が、「聴覚障害者のための放送番組等の字幕
又は手話によるリアルタイム送信」と、「点字データのコンピュータへの蓄積
及びコンピュータネットワークを通じた送信」とを、必要性と緊急性が高く権
利者の利益を不当に害するものではないとして法改正に向けて一歩踏み込む姿
勢を示していることを高く評価する。

  もちろん残された課題は多々あるが、今回の『審議のまとめ』は、わが国の
著作権行政が、初めて障害者の知る権利と著作権の調和ある発展を求めて動き
出す転換点にさしかかっていることを示すものである。半年という短時日の間
ではあるが、全国の障害関係団体と与野党文教委員の諸先生方のご支援を得て
当委員会が提示してきた要求と提案を、終始真摯な姿勢で受けとめて今回の
『審議のまとめ』を結実させた関係者の粘り強い努力に敬意を表すると共に、
この『審議のまとめ』の趣旨に沿った法改正を次期通常国会で是非実現するよ
うに改めて文部大臣、政府および国会に強く要請するものである。

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なお、この公式見解は、本日(12/9)文化庁から『審議のまとめ』がプレス発
表されたことに呼応して、各報道機関等に対して発表されたものです。改変し
ない限り、転載自由です。

なお、この公式見解の添付資料として、全国LD親の会として、以下の見解を
公表しております。これについても、改変しない限り、転載自由です。

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                   平成11年12月9日

         全国LD(学習障害)親の会 会長 藤本 健

 「著作権審議会第一小委員会審議のまとめ」に関する見解

私共、全国LD(学習障害)親の会は、視聴覚障害者に準じる形
態で、学習障害者に対しても「情報保障」の必要性があることを
指摘し、著作権審議会等で検討することについて要望してまいり
ました。

今回の審議のまとめでは、初めて学習障害者に対する「情報保障」
の問題が取りあげられ、今後継続的に検討していくことの必要性
が指摘されています。

このことは、従来の障害者に対する施策から考えますと、一歩踏
み出したものであり、大いに評価したいと考えます。

今後は、一日も早く、学習障害者等の判断基準や範囲、政府全体
としての取り組みが明確化されるとともに、学習障害者に対する
「情報保障」の形態や制度等が確立されるよう要望します。


【参考】 全国LD(学習障害)親の会

1990年2月に各地のLD(学習障害)の親の会の全国組織として
結成。1999年11月現在、41都道府県53団体、2,700名の会員で組
織されている。
 
会 長  藤本 健
事務局  152−0001 
     東京都目黒区中央町2−18−11−301 山岡方

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参考資料 「著作権審議会第一小委員会審議のまとめ」抜粋

3 学習障害者等関係

視聴覚障害者以外にも、学習障害者等に対し、権利制限による
様々な形態での視聴覚障害者に準じる「情報保障」の要望があ
る。

この問題については、学習障害者等の判断基準や範囲が現時点
においてまだ確立しているとは言い難いこと等の問題があるこ
とから、政府全体としての取り組み等、関係各方面の検討状況
を見ながら引き続き検討を行うことが適当と考えられる。

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以上
井上芳郎さんより送っていただきました。



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