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「アクセス委員会の機能と構成──世界の動き・アメリカ」

田中 邦夫 『月刊福祉』第82巻2号 1999年2月 p.123

last update: 20151221


アクセス委員会の機能と構成
世界の動き・アメリカ

 『月刊福祉』第82巻2号 1999年2月 p.123

 田中 邦夫(たなか くにお・国立国会図書館)

 アクセス委員会は正式名を建築及び交通障壁基準遵守委員会(Architectural and Transportation Barriers Compliance Board)という連邦機関であって、障害をもつアメリカ人に関する法律(ADA)、および建築における障壁に関する法律(ABA)のもとで作られた基準についての、最小限のガイドラインと要項を作成する。また電気通信法のもとで通信用機器のアクセシビリティのガイドライン、リハビリテーション法のもとで情報技術へのアクセシビリティの基準を作成する。さらにこれらのガイドラインや基準に沿った技術的な助力を提供し、ABAを施行する。
 この委員会は当初は1973年に、リハビリテーション法第502条によりABAを施行するため連邦議会によって設立されたものであったが、後1993年にADAが、1996年に電気通信法が根拠法に加わった。
 1998年に入ってからアクセス委員会が作成もしくは公表したものの中には、車椅子のバスへの乗り入れ設備についての「道路上のバスに関するガイドライン」、電気通信機器のアクセシビリティ、使いやすさ、互換性等についての「電気通信法のアクセシビリティ・ガイドライン」、および「ADAによる建築及び施設へのアクセシビリティ・ガイドライン」の建築における子供用の設備に関する部分等がある。
 メンバーは大統領に指名される公共メンバー13名と、各省庁の高官からなる連邦メンバー12名の合計25名からなる。視覚障害者3名、聴覚障害者3名、脳性麻痺者1名、車椅子使用者5名が含まれる。さらにメンバーには障害をもつ子供の親や、障害者組織の弁護士もおり、障害者と関係者で過半数となる。
 わが国における審議会は権限的にもこの種の委員会とは異なり、またこのように関係分野を総合的にカバーするものもないが、類似の問題を扱うべき建築、道路、運輸政策、電気通信等の審議会に、障害者ないしそれを代表する委員の名は見られない。

(資料)http://www.access-board.gov/; Donna Sorkin: Personal communication. (Ms. Sorkinはアクセス委員会の公共メンバーである)。



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