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「障害学:文化の視点から」

倉本 智明
連続講座「障害学へのお誘い」第3回

last update: 20151221


◆連続講座「障害学へのお誘い」第3回◆

障害学:文化の視点から

                         1998.11.5 倉本智明

1.文化とはなにか?

 《文化》
  a.慣習化された行為・行動様式
   箸を使う、おじぎをする、歩く速度が速い・・ etc.
  b.ルール・価値観
   人を殺してはいけない、男らしく/女らしくふるまう、美意識・・ etc.
  c.生産物
   食器、建築物、芸術作品・・ etc.


2.障害者とは誰か?

 《障害者》
  ・身体(精神活動をも含む)の形質や機能の差異と関わって、他の人びとから  
区  別され、「障害者」と名づけられた人びと

  →誰が障害者かを決めるのは、その社会/コミュニティの文化

3.障害者文化とはなにか?
 《障害者文化》
  ・障害者が経験/実践する文化の総称
   ろう文化、盲文化、“青い芝”の文化・・ etc.
  ・障害者身体が文化の構築に深く関与
   見えないことと触覚文字としての点字、歩けないことと車いすスポーツ・・ etc

3.障害者文化とはなにか?
 《障害者文化》
  ・障害者が経験/実践する文化の総称
   ろう文化、盲文化、“青い芝”の文化・・ etc.
  ・障害者身体が文化の構築に深く関与
   見えないことと触覚文字としての点字、歩けないことと車いすスポーツ・・etc
  ・支配文化(健常者文化)からの影響大
   化粧をする盲人、自分の姿を嫌悪する脳性マヒ者・・ etc.

  →障害者文化の4類型
   指標1:身体との関係性(関与/非関与)
          ×
   指標2:支配文化との関係性(自律/従属)


4.障害学における文化パースペクティブの意義

  《社会モデルのジレンマ》  
   ・社会モデル:身体を括弧に入れることで、障害をめぐる問題を政治化
    but 切り捨てられてしまう問題
      a.第三者である介助者の同行なしには、友人や恋人と出かけることができ
      ない重度肢体障害者の問題
      b.男性器の勃起不全に悩む脊髄損傷男性の問題

   ・医学モデル=個人モデルに逆戻りすることなくこれらの課題に応える方途
    →文化視点による問題の相対化


REV: 20151221
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