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「遺伝病,体外受精し検査 着床前診断を容認 産科婦人科学会」

『朝日新聞』 1998/06/28 1頁

last update: 20151221


遺伝病,体外受精し検査
着床前診断を容認
産科婦人科学会

 日本産科婦人科学会(会長・佐藤和雄日大教授)は二十七日,東京都内で理事会を開き,生まれてくる子供に重い障害があるかどうかを調べるために体外受精を行い受精卵の遺伝子を検査する「着床前診断」について,条件付きで認めることを決めた。今後,診断を準備している施設が学会へ申請し,学会の審査委員会が適切と認めれば実施される。これまで体外受精の適用範囲は国内では不妊治療に限られてきたが,生命を選択する手段にも広げることは議論を呼びそうだ。
 理事会は二十七日,同学会の倫理委員会が提出していた見解案を一部修正の上,承認し,「着床前診断に関する見解」として公表した。主な内容は,@診断は重い遺伝病の可能性がある場合に限るA対象の病気や実施する施設がふさわしいかどうかを事前に学会が審査するB実施前に十分な説明をした上で同意(インフォームド・コンセント)を夫婦から得る,など。違反した施設や医師に対しては承認の取り消しの処分をすることや,この診断の有用性などを学会として今後再評価することも盛り込んだ。
 着床前診断では,生まれてくる子供に重い遺伝病が出る可能性が高い場合に,体外受精の遺伝子を調べて,遺伝病の可能性がないと判断できたときに,受精卵を母体の子宮に戻す。
 学会はこの診断法を導入する理由として,@妊娠後の中絶が避けられるA受精卵で診断するので「子供を選別する」という心理的負担が少ないB重い遺伝病を心配して妊娠をあきらめていた夫婦が妊娠を望める──などをあげている。
 これに対し,市民団体などからは,「障害の有無による命の選別だ」という批判や,診断の確実性に対し疑問や母体の負担を懸念する声も出ていた。

『朝日新聞』1998年6月28日 1頁


  ※入力:立岩


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