「「ただの人」であるということ」
最首 悟 『週刊朝日』1998-3-6:132-133
last update: 20151221
■最首悟「「ただの人」であるということ」
(毎回違う筆者が語る私の読書生活),
『週刊朝日』1998-3-6:132-133
「……
自己否定は「私が何々である」ことからの解放だった。「ただの人」という無規
定性がだんだん身にしみてくる。関連して昨年は「日本語に英語の『I』にあたる
ものがないとはどれほど大変なことか」という『日本語の外へ』(片岡義男著,筑
摩書房),「自己決定,私的所有とは割り切れたものではない」という『私的所有
論』(立岩真也著,勁草書房)の二つが大きな収穫だった。とくに後者は,著者本
人(p.132) がたいへん純朴な本だと言っていることに共感を覚える。自己とか他
者の積極規定はおおむね作為に満ちている。
……」