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「日本弁護士連合会の意見書」


last update: 20151221


日本弁護士連合会の意見書

   日本弁護士連合会では、人権擁護委員会第4部会に生命倫理小委員会を設
置し、法的規制に関する提言の案を作成している。近いうちに連合会の意見と
してまとまると思われるが、現段階では、まだ第4部会の意見にとどまってい
ることをはじめにお断りしておきたい。

1.法規制の必要性

   生殖医療技術を利用するにあたっては、利用者とりわけ女性の地位と権利
を保護し、生まれてくる子の権利と法的地位の確立をめざすことは、世界各
国において急務の課題であるにもかかわらず、わが国では、取り組みが決定
的におくれている。技術の濫用を防止して適正な利用をはかり、生まれてく
る子の人権を保護するために、生殖医療法を制定すべきである。

2.生殖医療審議会の設置とインフォームドコンセント等の義務づけ

   許容される生殖医療技術と禁止されるべき生殖医療技術を区別し、利用の
要件を定めるために、医療関係者のほかに、倫理、社会、法律などの分野か
らの委員を含めた審議会を、国及び各都道府県に設置する。
  生殖医療技術を利用するにあたっては、許可を受けた専門医師による不妊
の原因 ・ 治療方法 ・ リスクとペネフィット等についての充分なインフォーム
ドコンセントが行われなければならない。とりわけ非配偶者間人工受精を行
うにあたっては、夫婦のあり方 ・ 親子のあり方 ・ 養子制度 ・ 生まれた子の父
に関する法的問題等について専門家によるカウンセリングを受けるべきであ
る。

3.子と地位と権利の確立

  子の法的地位と権利を確立するために、夫の同意書面を定型化し、非配偶
者間人工受精によって生まれた時は、その子は夫の子とみなし、ドナーと子
の親子関係は断絶するよう、民法等を改正する。
  非配偶者間人工受精によって生まれた子は、自己のために、非配偶者間人
工受精の記録にアクセスし、閲覧できるように、記録を厚生省、またはその
外郭団体が永久管理 ( 例えば50〜100年ではどうか?) する体制をつく
る。ドナーに関する記録を顕名で残すためには、精子は単一で使用されなけ
ればならない。

4.生殖医療技術に対する個別の規制

   受精卵 ・ 精子 ・ 卵子などの凍結保存期間は、原則として男女の婚姻中で、
かつ3〜5年に限る。代理妻(転記者注:「代理母」の間違いと思われる)は、
原則的に禁止する。出生前診断は重い遺伝病等を除いては禁止する。 胚の研究
は、受精後2週間に限り、クローンなど遺伝子操作は禁止する。商業的利用は、
刑事罰をもって禁止する。


……

 ※以上は,1998年1月29日に行われた厚生科学審議会先端医療技術評価部会「生
殖医療に関する意見聴取」の際提出されたもの。

◆19980210
 玉井真理子→日本弁護士連合会
 厚生科学審議会先端医療技術評価部会に提出された貴会の意見書に対する質問



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