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母体血清マーカー試験実施における臨床的問題
虎の門病院産婦人科

佐藤孝道,宮川智幸,塩田恭子

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last update: 20151220


第42回日本人類遺伝学会, 兵庫, 1997年10月

[目的]次第に広く実施されつつある母体血清マーカー試験(以下、M試験)について、
その実施上の問題点を明らかにすること。[対象と方法]1993年1月以降、当科遺伝外
来に母体血清マーカー試験の結果に関してのカウンセリングで受診した50例につい
て、その問題点を検討した。[結果](1)M試験の種類は、母体血中α−フェトプロテイ
ン(以下、MSAFP)17例、トリプルマーカー試験(当科では独自にM試験を行っているが
その症例を含む)29例、ダブルマーカー試験4例であった。(2)M試験に関して初期の説
明や対応が不十分と考えられた症例として、担当医の理解の誤りがあると考えられた
もの2例、妊娠週数の誤り4例、極端な説明不十分2例があった。(3)カウンセリングの
結果42例に羊水検査を実施したが、内20例(47.6%)は妊娠18週以降であった。また、
10例(23.8%)は20週を過ぎて羊水検査を実施することになった。さらに、羊水検査実
施時期の遅れから、14例はFISH法を併用して検査を行った。(4)MSAFP低値で紹介され
た1例に21トリソミーが発見された。[考察](1)M試験に関しては、初期段階でどのよ
うな内容の説明を行うべきかに関して、明確な取り決めが必要と考えられた。(2)M試
験では、妊娠週数の正確な算定が重要であることを改めて強調する必要があると考え
られた。(3)確定試験としての羊水検査の実施時期の遅れをなくするために、遅滞ない
システムの重要性が示された。


REV: 20151220
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