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「『遺伝子治療を考える市民の会議(コンセンサス会議)』へ市民・専門家ボランティア募集」

「科学技術への市民参加」研究会 1997/10/04 

last update: 20151221


「遺伝子治療を考える市民の会議(コンセンサス会議)」
          へ
   市民・専門家ボランティア募集
                           1997年10月4日
                  「科学技術への市民参加」研究会

1.市民の会議(コンセンサス会議)開催の趣旨
[なぜ、市民の会議か?]
 現在、科学技術の発達・進歩は、一般の人々の生活に多大な影響を与えています
。科学技術は、われわれの生活に利便性や快適さを与える一方、科学技術の開発や
使用の是非、利用方法をめぐる社会的な調整が各種メディアでも論議されることが
多くなってきています。
 科学者・技術者といった専門家と政府・産業界を中心に科学技術を進めることに
ついて疑問が投げかけられる機会も多く見られます。一方で、科学技術の発達や方
向付けについて一般市民の承認を得るべきだという声も強まっています。他方、科
学技術の専門知識を欠く市民に責任ある対応が可能かどうかを懸念する声もありま
す。
 例えば、原発、廃棄物処理場の建設、遺伝子治療・診断、遺伝子組み換え作物、
脳死・臓器移植など、生活に直接、間接に影響を与える科学技術について、普通の
生活者(市民)がどのように関われるのか、また関わればいいのかという問題はご
く身近に提起されています。
 その一方で、一般市民が上に挙げたような科学技術について、問題を考え、自ら
の意思決定をするための場は社会的にほとんど用意されてはいません。したがって
、科学技術への市民参加のために、どのような場や方法を組織すればいいのかとい
う問題は、今後の社会にとって大きな課題の一つであると思われます。
今回開催しようとする市民の会議は、科学技術へ市民が参加するための機会・仕組
みを探る研究の一環として企画したものです。

[コンセンサス会議方式を試みる]
 コンセンサス会議とは、一般市民十数名(市民パネル)が、問題とする科学技術
についてさまざまな専門家の説明などを聞いた上で、討論を行なってコンセンサス
(合意)を得るよう努力する、すなわち日常生活という文脈から意見や提案をまと
める会議方式です。このコンセンサス会議は、1980年代後半にデンマークで市民に
よるテクノロジー・アセスメントの一環として生み出されました。90年代に入る
と、オランダ、イギリス、ニュージーランドなどでも行われるようになり、97年
春にはアメリカでも実験的に試みられています。
 欧米諸国と比べ、日本は討論に慣れていない風土があり、こうした方式は日本に
はなじまない、とよく指摘されます。しかし、私たちは市民による会議方式(コン
センサス会議)がどの程度できるのか、またどの程度意味を持ちうるかも含め、実
験的に開催する意義は十分にあると考えます。私たちはこの試みを通じて、「日本
的な」、あるいは「日本において可能な」市民参加の方式を検討し、探りたいと考
えております。

[第一歩としての市民の会議]
 私たちは、その第一歩としてこのコンセンサス会議方式を試みようと考えました
。そして、幸いにも、この私たちのプロジェクトは、トヨタ財団、日産科学振興財
団の研究助成をいただくことができました。
 デンマークでは、1回コンセンサス会議を開くのに、2000万円近い経費が使
われています。それに対して、今回私たちが利用できる資金はその10分の1強で
す。したがって、今回の会議は、コンセンサス会議方式を、試みとして行わざるを
えません。また、そのために、一般市民の方々、専門家の方々には、この試みに賛
同していただいた上で、ボランティアとしてこの会議に参加していただかなければ
なりません。
 この市民の会議においては、市民パネルの方々(市民パネラー)が理解した上で
話し合いを行っていただくことが主眼です。そこで、市民パネラーには時間をかけ
て科学技術に関する専門的事柄に関して、知り、考えていただくという努力をお願
いしなければなりませんし、また、専門家の方々には、市民パネラーに分かりやす
く説明していただくというご苦労をお願いしなければなりません。

[なぜ遺伝子治療か]
 今、さまざまな科学技術が新たに社会に入ってこようとしています。遺伝子治療
という研究はその一つです。報道に見るように、95年には北海道大学で免疫に関
わるある酵素ができないADA欠損症という病気を治療するためにこの方法が用いられ
、さらに、エイズ治療、がん治療を目標として、実験的に行われようとしておりま
す。
 私たちにとって、遺伝子、遺伝子組み換え、そしてそれを用いた遺伝子治療は決
して分かりやすいものではありませんし、また、それが私たちとどう関わるかは、
よく分からないのが現状ではないでしょうか。しかしながら、病気に無縁な人はい
ない以上、誰しもが新たに開発された治療技術と出会う可能性をもっています。そ
こで、私たちはこれを、テーマとすることにいたしました。

[市民の会議とSTS国際会議]
  この「市民の会議」は1998年1月より3月までに3回開催します。会議では、専
門家により遺伝子治療をめぐる論点と専門的知識を提示していただき、市民パネル
が主体となって専門家と質疑を行います。最終的に、市民パネルはこのテーマに関
する論点についての見解をまとめることになります。
 さて、来年早々の1998年3月に、東京・広島・京阪奈を開催地として、STS国際会
議が開催されます。これは、広く科学技術と社会の相互作用を研究対象とする日本
の研究者集団によって企画され、国際キリスト教大学村上陽一郎教授を組織委員長
として、ヨーロッパ、アメリカ、アジアなど、国内外の研究者を集めることになっ
ています。
 このSTS国際会議において、京阪奈でも公開シンポジウムを設けることになり、私
たちのこの試みを、広く一般の方々に紹介することになりました。この公開シンポ
ジウムでは、「市民の会議」の趣旨、遺伝子治療についての解説、会議の結果得ら
れた結論などを示し、このような会議の方式の、日本における可能性と意義につい
て検討したいと考えています。

[この「市民の会議」についてのお問い合わせ・連絡先]
 この試みの意義にご賛同下さる多くの方々のご参加をお願いいたします。
 「市民の会議」についてのご連絡、お問い合わせは次へお願いいたします。なお
、電話では対応できない場合が多くありますので、出来る限り、郵便、ファクシミ
リ、e-mailをお使いくださるようお願いいたします。
     〒350-03 埼玉県比企郡鳩山町石坂
     東京電機大学理工学部 
       若松征男
     Tel; 0492-96-2911(内3310) Fax; 0492-96-5132
     e-mail wakamats@i.dendai.ac.jp

[主催]
「科学技術への市民参加」研究会
(東京電機大学理工学部教授 若松征男を中心とする研究者グループ)

[この試みのための資金]
この試みのための資金:トヨタ財団1997年度研究助成、日産科学振興財団の研
究助成による。

2.「遺伝子治療を考える市民の会議」の実施手続き
日程と開催場所
# 1997年11月下旬まで  参加者(専門家・市民)募集・依頼
# 1997年12月上旬 市民パネラーの決定・依頼
# 1998年1月初旬 市民パネラー向け説明資料配付
# 1998年1月24日(土)(午前11時開始、午後5時終了予定) 第1回会


# 1998年2月21日(土)(午前11時開始、午後5時終了予定) 第2回会


# 1998年3月07日(土)(午前11時開始、午後5時終了予定) 第3回会

  第1回〜第3回会合の場所:大阪科学技術センター(予定)
# 1998年3月21日(土) STS国際会議における一般公開シンポジウム
   場所:けいはんなプラザ、時間:午後5時〜7時半(予定)


(1)市民パネラーの募集・選定
 「市民パネラー募集について」:大がかりな宣伝・広告はできません。新聞への
催しもの案内欄への投稿、コミュニティ新聞などへの投稿、インターネットを使っ
た募集、および、私たちの個人的ネットワークを使うことなどによって募集いたし
ます。なお、会議を大阪(大阪科学技術センター)で開き、公開シンポジウムをけ
いはんなプラザで開催するため、今回は関西地区から、募集いたします。
 「市民パネラーの選定」:できる限り、年齢、性別、職業などのバランスをとる
ように、応募者の方々から十数名程度(目標)を選ばせていただきます。なお、市
民パネラーは遺伝子治療に関する知識をもつことを前提としていません。
 11月末までに募集を終了し、市民パネラーを決定する予定です。
 ご応募は11月20日(木曜日)までにお願いします。

(2)討議する論点について
 当研究会がこの会議の運営委員会となり、事前に、市民パネラーで討議していた
だく論点を整理し、5〜6点用意いたします。
 ここでは、主に、人の遺伝子を操作することの技術的・社会的・倫理的意味、人
体治療実験についての社会的な許容、%瓩ンフォームドコンセントの実態などが議論
の焦点になると考えられます。なお、これは、会議の途中で別の論点が出てくるこ
とを排除するものではありません。

(3)市民パネラー向け説明資料配布
 参加していただく市民パネラーの方々に理解しやすいように、専門家の方々に、
説明のためのごく簡単な資料を作成していただき、事務局から市民パネラーにお配
りします。
 また、遺伝子とは何か、遺伝子操作とは何かに関する予備的な知識の説明資料は
、事前に、運営委員会で作り、お配りします。
これらの資料は、あらかじめ、市民パネラーに事前に読んでいただくようお願いし
ます。

(4)第1回会合
 まず、運営委員会が「市民の会議」の趣旨・運営の説明、遺伝子治療に関する論
点の提示、基礎知識の説明(配布資料の復習)を行います。その後、専門家による
プレゼンテーションを3〜4件、行っていただきます。
 プレゼンテーションでは、遺伝子治療に関する意義・現状・今後の見通し・問題
点(技術的なものだけでなく、社会的、倫理的なものを含む)を、第2回会合を含
め、専門家から、わかりやすい言葉で説明していただき、理解を深めます。プレゼ
ンテーションは全体で10件程度を考えており、それぞれ、報告30分、質疑15分で
行う予定です。
(5)第2回会合
専門家によるプレゼンテーションを5〜6件、行っていただきます。

(6)第3回会合
 運営委員長が議長となり、遺伝子治療に関する市民パネルの意見を4〜5時間かけ
てまとめていただきます。ここでは、意見などを文書化するために、運営委員会か
ら書記を出しますが、発言はしません。また専門家はこの議論には参加しません。
なお、討議した結果(コンセンサス)に、科学知識上の誤解・誤認などがないかど
うかだけは、専門家にチェックしていただきます。

(7)STS国際会議における報告会 = 公開シンポジウム  1998年3月21日(土)
 一般公開で行われる最終報告会(科学技術と社会に関する国際会議の公開シンポ
ジウム)では、この会議の趣旨、これまでの会合がどのように行われたかを紹介し
、さらに専門家お二人に遺伝子治療をめぐる解説をしていただきます。そして、市
民パネルから、この会議を通じて得られた討議の結果(コンセンサス)を報告して
いただきます。さらに、この会議に参加された市民・専門家の方々から、会議全体
への感想、意義・役割についての意見などをお聞きします。その後、会場との質疑
・意見交換を行います。

3.報道関係者への発表
 報道関係者には、この会議についてのプレスリリースを準備段階から最終報告ま
で、機会を捉えて行う予定でおります。

4.専門家の方々にご協力をお願いする事柄
(1)市民パネラー向け説明資料の作成
   A4数枚程度で一般市民にわかりやすい言葉でご自身の論点を説明したもの

(2)「会議」と最終報告会へのご参加(計2回)
1)第1回または第2回「会議」におけるご説明(30分程度)と質疑応答(15分

2)最終報告会(1998年3月21日(土))へのご参加と質疑応答

5.市民パネラーにご協力をお願いする事柄
 このテーマに興味をもっていただくことだけが市民パネルに参加していただく条
件です。そして、遺伝子治療について理解し、議論に参加していただくことになり
ます。具体的には以下の条件に同意していただきます。
(1)3回の会合および公開シンポジウムへのご参加(計4回になります)。
(2)このテーマについて、見解をとりまとめていただくこと。
 なお、報告書にはお名前、ご職業だけを明記させていただきます。ただし、ある
意見がどなたのものであるかを特定できないようにいたします。
6.費用などのお支払い
# 専門家の方々へ
・説明資料作成について謝金:1万円
・旅費・宿泊費:大阪・けいはんなプラザまでの往復運賃及び宿泊費(実費相当定
額払い)
# 市民パネラーの方々へ
会議場までの往復運賃

7.「遺伝子治療を考える市民の会議」のホームページ
 現在構築中ですが、とりあえず、以下のアドレスでご覧いただけます。
http://histec.hss.titech.ac.jp/course/~nakajima/stsmeet/gene.html

8.その他
# デンマークのコンセンサス会議につきましては、以下をご参照下さい。
若松征男:「素人は科学技術を評価できるか」『現代思想』96年5月号
小林傳司:「拡大されたピアレビューの可能性――「コンセンサス会議」の事例」
、STS Year Book, 1997(投稿中)

# STS 国際会議につきましては、下記にご連絡ください。
 1)中央オフィス
 STS国際会議組織委員会
 〒102 東京都千代田区九段南4-7-22-2F (株)バイリンガル・グループ内
 2)サブオフィス
 STS国際会議組織委員会
 〒182 東京都調布市調布ヶ丘1-5-1 
 電気通信大学大学院情報システム学研究科 小林信一気付
 Fax; 0424-85-9843
 e-mail sts@kob.is.uec.ac.jp
# STS 国際会議のホームページは以下のアドレスで見られます。
 http://www.hostcinf.shinshu-u.ac.jp/stsconfjp.html
#(ご注意)STS国際会議の連絡先と「遺伝子治療を考える市民の会議」の連絡先を
  お間違いのないよう、お願いします。


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