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「3-3-1 遺伝医学の分野における開示義務:法的視点から」

玉井 真理子・中澤 英之・阿部 史子 19970901 『遺伝医療と倫理』(バイオエシックス資料集 第1集)
信州大学医療技術短期大学部心理学研究室

last update: 20131127

◇3-3 守秘および情報開示

◆3-3-1

遺伝医学の分野における開示義務:法的視点から

Mary Z. Pelias 1991  Duty to Disclose in Medical Genetics:A Legal Perspective, Am J Med Genet 39:347-354

Abstractの全訳

 遺伝医学は、その技術が発展しつつあるだけではなく、それに関する一般的知識 も増え続けているという分野である。同時に、遺伝学専門家には、患者・クライエ ントに対して、最新の研究と最新の診断技術に基づいた情報を伝える義務が生じて きたようにも思われる。この医師の開示義務は、長い時間をかけて法律上でも進化 してきた。しかしごく最近では、それまでわからなかった治療上のリスクが、もし も明らかになった場合、以前患者として治療対象だった人に対してもあらたにその リスクの開示をする義務があると言われるようになってきた。すなわち、遺伝医学 者が、親から遺伝したあるいは子どもに遺伝するかも知れない体質について開示す る際、現在わかっているものだけでなく将来明らかになるかもしれない情報につい ても、開示を義務づけられるかもしれないということである。専門家は、患者が知 りたいと言ってこなくても、現在わかっている問題だけでなく将来わかってしまう かもしれない問題についても開示する義務がある、と最近の判例でも示されている。 率直にかつ余すことなく開示することを義務化してしまうと、発症可能性のある遺 伝子を検査する際のカウンセリング方法や、遺伝疾患をもつ未成年者への治療方法 にも影響が出てきてしまう。もしも現状のまま、過去の患者への開示をも遺伝学者 の義務にしてしまうと、遺伝学者は、今かかえているカウンセリングの守備範囲を も越えて仕事を負うことになるであろう。さらに、遺伝クリニックへ最初に来て以 来何年も来ていないような患者に対しても再度連絡をとらなければならないという あらたな負担も生じてくることになるであろう。

      [資料集p.77]



*作成:小川 浩史
REV: 20131127
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