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「3-1-6 インフォームドコンセントとBRCA1検査」

玉井 真理子・中澤 英之・阿部 史子 19970901 『遺伝医療と倫理』(バイオエシックス資料集 第1集)
信州大学医療技術短期大学部心理学研究室

last update: 20131126

◆3-1-6

インフォームドコンセントとBRCA1検査

Gail Geller et. al. 1995 Informed consent and BRCA1 testing, Nature Genetics 11:364

訳者による要約

 乳がんのリスクがある女性のうち、約9割近い人がBRCA1の検査を受けようと思 っているという報告が出されている。そのもっとも大きな理由は自分の子どものリ スクが知りたいというものであった。しかし、これらの調査が行われたとき、調査 対象の女性にBRCA1検査のもつ長所および短所について十分な教育が行われていな かったことが明らかになった。我々が調査したところ、検査に非常に興味を持って いた人でさえ、検査の限界や不確実性について十分理解をすると、検査に対する興 味が減少するという結果がでている。この傾向はその人の社会経済的背景に関わら ずみられた。さらに、大半の乳がんがBRCA1とは関係ないこと、乳がんを予防する 確実な方法がまだないこと、検査結果が外部にもれるリスクがあること、などの事 実を知ると、検査を行う価値さえ疑うようになる傾向も明らかになった。つまり、 検査の長所および短所について理解すると、検査に対する興味が減少するのである。 ただし、これらの調査結果はまだ数値化されていない。いずれにせよ、これらの結 果は、教育をすることなしに遺伝的昜罹患性検査を行うことが危険であることを表 している。また、検査に興味を持っていることと、実際参加しようと思うことは異 なることも認識しなければならない。さらに、検査が研究レベルで行われるもので あっても臨床レベルのものであっても同様に、検査対象者の教育を行い、理解度を 推し量りつつ、また本人の検査に対する抵抗感を理解した上で、検査に参加するか 否かの決断を本人がしっかりできるようにすることが必要である。

      [資料集p.68]



*作成:小川 浩史
REV: 20131126
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