last update: 20131126
第1章 遺伝カウンセリング
◇1-1 遺伝カウンセリングの定義
◆1-1-1
アメリカ人類遺伝学会による遺伝カウンセリングの定義
F. C. Fraser 1974 Genetic Counseling, Am J Hum Genet 26:636-659
Ad Hoc Committee on Genetic Counseling 1975 Genetic Counseling,
Am J Hum Genet 27:240-242,1975.
Fraserによる上記報告のp.637に掲載されている。この報告は1972年12月10日か
ら13日に開催された遺伝カウンセリングに関するワークショップに基づくものであ
り、翌年Ad Hoc Committee on Genetic Counselingによる審議を経て正式に学会の
定義となり、現在に至るまで踏襲されている
定義
遺伝カウンセリングはコミュニケーションの過程であり、家族内で遺伝性疾患が
発症したときの人間的問題(human problems)、あるいは発症リスクにまつわる人間
的問題を取り扱うものである。また、そのために特適切な訓練を受けた者が、この
コミュニケーション過程を通して、個人や家族が以下のことをできるように援助を
試みるものである。
(1)診断、考えられる疾患の進行過程、可能な治療方法など、医学上の事実を理
解すること
(2)遺伝と疾患の関係、特定の親族に疾患が再発するリスクを正しく認識するこ
と
(3)疾患の再発リスクがある場合、対処方法にどのような選択肢があるかを理解
すること
(4)リスクと家族の考え方とを念頭に置いて、その家族にとって最適と思われる
行動の方向付けを行い、そしてその決断に沿って実際に行動すること
(5)疾患遺伝子を持つ家族が発症した場合、および疾患の再発リスクがある場合
に、出来る限り最良の調整を行うこと
[資料集p.8]
*作成:小川 浩史