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「子宮摘出が「こうぜん」と──変化に乏しい施設の状況」


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last update: 20151221


■子宮摘出が「こうぜん」と
 変化に乏しい施設の状況

ポスト障害者の十年 共生の社会の実現を求めて・中

 『奈良新聞』1993-9-12

 今年の六月、女性障害者の
正常な子宮が摘出されていた
ことが明らかになった。
 この子宮摘出の問題に対し
て全障連は「実はこうした事
態は『公然の秘密』として特
に施設内では治療の名目でな
されており、いわば今回は氷
山の一角」(楠敏雄代表幹事)
と障害者の置かれた差別の実
態に憤る。
 施設という世間から隔絶さ
れた「管理社会」の中で、ど
れほどの女性障害者が同じよ
うな経験を強いられたのか。
その数は計りしれない、とい
う。
 一方で、同じ六月に福祉に
携わるケースワーカーたちに
よる差別「川柳」の問題も明
らかになった。これはケース
ワーカーの雑誌「公的扶助研
究」に文学ノート第一回川柳
大賞と題して障害者差別の川
柳特集が組まれていた。
 「やなケース 居ると知り
つつ 連絡表」「ケースの死
 笑いとばして 後始末」な
ど生活保護受給者に対する侮
蔑(ぶべつ)に満ちた川柳が
掲載されていた。「一体どんな
気持ちで被保護受給者たちと
向き合っているのでしょう
か」(全障連事務局)と顔を
曇らせる。
 全障連大会の「施設分科会」
は「施設障害者の人権ネット
ワークを広げよう」をテーマ
に話し合った。
 まず施設入所の現状とし
て「ほとんどの人が地域での
適切な住宅や介護体制のな
さ、仕事のなさのために入所
している」「劣悪で社会性が
奪われるような生活を多くの
障害者が強いられている」─
ことが報告された。
 このような状況を打破する
ため施設共闘全国ネットワー
クを広げ具体的には1.本音が
出せる場作り、自立した自治
体の建設を進める2.外出、外
泊と保障を勝ち取る3.施設の
お仕着せの生活管理を変えて
いこう─など五つの方針を確
認した。
 また、県内唯一の身体障害
者療護施設「県立菅原園」(奈
良市大倭町)の実情を入所し
ている稲葉進・同園自治会長
がリポートで報告。入園者に
対して介護職員が少ない点や
個人外出で入園者自身の意見
が反映されていない点にわた
って改善を強く訴えている。
 楠敏雄・全障連代表幹事は
「国際障害者十年の間には交
通問題などのようにいくらか
前進した分野はあるが、施設
の状況は障害者の現状の中で
も、もっとも変わらなかった
分野である」としている。
        =つづく=

※「子宮摘出が「公然」と」は縦書きの大きな字で
 「変化に乏しい施設は状況」は横書き
 「ポスト障害者の10年 共生の社会の実現を求めて」は縦書き
 なお「上」は「なお根強い乗車拒否 自立権無視の事例数多く」
 「下」は「自立生活支える就労 労働行政の立ち遅れ指摘」
 この連載は,1993年9月に奈良で全障連の第18回全国交流大会が行われたことを
 受けてなされたもの。
※『全障連』121(19931110)p.26に掲載されたコピーから引用
※いくつか誤記と想われる部分がありますが(例えば,「自立した自治体」は「自
 立した自治会」の誤りでしょう),そのまま引用しました。
※1.,2.,3.は,原文ではマル1・マル2・マル3


REV: 20151221
不妊手術,断種(手術,法)  ◇優生学  ◇女性障害者の子宮摘出問題・関連文献  ◇障害者と性・関連文献  ◇全国障害者解放運動連絡会議(全障連)  ◇全文掲載
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