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バンクーバー宣言

DPI(障害者インターナショナル) 1992/04


 4月22日〜26日にバンクーバーで開催された会議において,DPI世界議会
は,DPIの世界評議会に,以下に,述べる決議及びアクションプランを採択する
ようここに勧告する。

我々は以下について決議する:
 特に南側に焦点をあてた南北問題ならびに南側相互のデベロプメント(発育)に
関するより直接的かつ関連性のある議論を行ない,議論が関連するすべてを網羅し
ているよう確認すること。最初に取り上げられるべき事項は,障害についての基本
的性質について共通の理解を得ることである。
 DPIは,将来におけるすべての活動のなかで,以下に掲げる環境面でのアクセ
ス及び今後開催されるフォーラムで決定される規定等の情報へのアクセスを充足さ
せるよう努力する。また,DPIは,カナダのマスコミの報道した「自立’92
(Independence 92 )」が,不正確なイメージであったことを非難する。
 DPIは,マスコミが障害者問題の意識を高める上で及びこれらの問題に対する
一般の傾向を変えていく上で,非常に重要な役割を担っていることを理解する。従
って,この問題はDPI内で,国家,地域並びに国際的優先事項として認識され,
十分に議論されるべきである。
 DPIは,障害を持つ人々の基本的人権の否認,あるいは否認の支援に対して反
対する行動が,よく目に見える形で直接的な行動となるよう,関心を持つすべての
人々に力を与え,情報を提供するWWDAN(World Wide Directo Action Network)
(世界直接行動ネットワーク)を創設し,運営する。
 言動が今こそ行動に移されなければならないことを理解し,世界会議は,世界評
議会にいかに述べるアクションプランを採択するように求める。特にDPIは,同
プログラム及び組織のすべての段階にいる代表されない障害者を含むすべての障害
者のために具体的方針を掘り起こし,実施すべきであるということを注記する。

 DPI 4ケ年プラン・デベロプメント・プログラム目標

1. DPI本部は,職場,訓練,ネットワーク作り,プログラムの資金確保を含
む障害及びデベロプメント(発育)問題に焦点をあてた情報クリアリングハウスと
して,機能する。
 DPI本部は,物質的及び財政的資源を,現在及び将来の地域的かつ地元のデベ
ロプメント・オフィスへ提供することを通して,機能の分散化を図る。本部とかか
るオフィスとの関係は,DPI全体のメンバーの利益のために,情報の相互交換に
よるものとする。
2. DPIは,そのメンバーのデベロプメント(発育)に中心を置く。
 a.既存のメンバーが代表者となり,民主的に運営していくよう力を入れる。
 b.アジア太平洋地域,中東及び東欧を含む新しいメンバーを獲得する。
3.DPIは,ナショナル・アセンブリーが設立されているか否かにかかわらず,
障害を持つ人々が特に無力である地域において,積極的に行動を起こす。このなか
には,パレスチナ人やクルド人のように,国を持たない人々並びに難民キャンプで
生活する人々も含まれる。

 女性委員会アクション・プラン

 障害を持つ少女及び女性は,国際社会及び経済に大きく貢献できる。これらの者
が被っている極端な地位の低さ並びに差別は,耐え難いものである。
障害を持つ女性の平等な参加及び権利取得を促進させるために,DPIの第三世界
議会は,世界評議会にDPIの機構に対し,以下のことを勧告する。
1. 1992年度中にDPIの女性デベロプメント事務官としてDPI女性委員
会の仕事を担当する正規スタッフを擁すること。
2. 本規約(?the constitution)に基づき,女性問題が地域,国家,域内,国
際レベルでより効果的に取り組まれる様に,DPIを組織し,見直し,より発展さ
せていく。
3. 教育プログラムにおいて,及びユネスコやその他の国際組織と連絡を取り,
DPI教育及び女性委員会が障害を持つ少女及び女性と共に動いていける様十分な
支援を行なうこと。
4. 連結年次報告を作成し,第三世界議会の勧告の実施状況を監視するナショナ
ル・アセンブリー並びにリジョナル・アセンブリーからの情報を広く伝えるために,
必要とされる組織改善を実施し並びにDPI組織内の報告システムを創る。
5. 第三世界議会で勧告されたDPI女性委員会の行動プランの実施に関し,D
PI女性委員会を支援する。

 アクション・プランに向けたDPIインデペンデント・リビング委員会目標

1. インデペンデント・リビングの基本的人権としての認識を高める。
2. DPIはインデペンデント・リビングに関する情報,インデペンデント・リ
ビングセンター並びに同プログラムが世界中で共有されるよう,主導的立場をとる。
3. DPIは,国連が各政府及び民間部門に対し,障害を持つすべての人々と接
触(アクセス)への実施を促進するよう働きかける。
4. DPIは,手段・情報を共有する上で政府が説明義務を負えるようにインデ
ペンデント・リビングの定義を発展させる。
5.DPIは,インデペンデント・リビングの明確な概念を確認し,この言葉が濫
用及び誤用されないように努力する。

 国連/DPIの関係に向けてのアクション・プラン

1. 情報:
a.DPIのメンバーに国連及び同機構に関するトレーニング・コースを提供する。
b.ナショナル・アセンブリーに国連に関するバンドブックまたは手引書を配布す
る。
c.DPI委員会と国連間でニュースレターの基盤となるよりよい報告システムを
確立する
2. パートナーシップ:
a.DPI内における関わり合いの基盤を拡大する。
b.個別的かつ地域に根付いており,予算外資金の獲得に適格である共同プロジェ
クトを開始する。
c.この分野におけるネットワークを用いて,国連の任務を分担するという国連の
要請に応える。
d.世界評議会に各々の次会議で,一般規則及び人権に関する現在の活動のDPI
とのかかわり合いについて議論するよう求める。
3. 資金源:
a.DPIと国連及び各政府とのパートナーシップをより積極的にすることで得ら
れるべきである。
b.ナショナル・アセンブリーは,各々の政府に更に資金を提供する様より圧力を
かけていく。
c.予算外資金を得られるプロジェクトを創設する。

 人権委員会アクション・プラン

1. ジュネーブにある国連人権センターの一機関として,あるいはニューヨーク
にある事務局の下部組織として国連オンブズマン制度を創設する。
2. オンブズマンの職務をこなし得る適性のある障害者の数を認める。DPIは
DPIナショナル・アセンブリーが,事務局にこのような障害者の名前を提供し,
国連に提出するよう奨励する。
3. DPIナショナル・アセンブリーはオンブズマン制度に関するDPIの立場
を各々の政府に伝えるという役割を認識する。
4. 国連は,オンブズマン・オフィスの創設に関し,DPIに助言を求めるよう
勧告する。

★バンクーバー宣言 1992 DPI(障害者インターナショナル)

 12年前,DPIはカナダのウィニペグで発案された。1年後,シンガポールで
約53ヵ国からきた400人以上の代表がDPIの誕生に立ち会い,世界の障害者

◆組織のもとに団結し
◆人権のために戦う
ことを呼び掛けた。
 今,バンクーバーで,発展と政治活動とネットワーキングと苦闘のエキサイティ
ングな年月ののち,われわれ120ヵ国以上から3000数人の代表は国際的に統
一された声として,以下のことを確認する。

●われわれの戦いはまだ終わっていない。
●障害者はいまだどの国でも最も貧しい人々である。
●われわれはまだ,私たちを差別し,完全な結合を妨げる環境的,態度上の障壁を
設けている社会に住んでいる。
●障害女性,難民,子供,高齢者,及び代弁者を送ることができないグループはい
まだに増大する差別に直面している。

われわれは要求する すべての政府がわれわれの人権を支援する法律の施行をとお
して社会への完全で平等な参加の権利を承認すること。
われわれは要求する すべての参加国が国連世界行動計画を実施資料として,また
障害者に関する国の計画立案の基礎として用いること。
われわれは要求する 政府,法的な権限を持つ役所や機関,専門家及び援助・教育
機関は障害者と障害者団体を障害に関する真のエキスパートと認め,われわれの生
活に影響を及ぼす全ての課題についてわれわれに相談し,直接的に参加させること。
さらに障害者団体に適切な財源を提供すること。
われわれは要求する 障害者によって定義された自立生活の原則を適用し,財源を
確保すること。
われわれは要求する 障害は社会変化の枠組みの中で定義されるべきで,個人的な
面倒事と見られるべきではない。
われわれはお願いする 世界的なマスコミが,われわれを受動的な慈善の対象とし
てではなく,社会の平等な一員と認め,そのように描きだすこと。
われわれは招待する 障害者の団体全てが障害者の人権を達成するため,われわれ
と共に国,地域,国際的レベルで運動すること。
われわれは支援する 新興国の兄弟姉妹たちが自らのニードと解決策を明らかにす
るため努力していること。
われわれはすべての戦争と暴力の追放を宣言し全世界の平和を要求する。
われわれは要求する 世界行動計画からのいかなる逸脱,人権のいかなる侵害も見
逃さず,かつ当該国に対してふさわしい行動をとるよう勧告するために,障害者が
全面的に参画する適切な監視及び評価過程を確立すること。
われわれは全ての障害者団体に私たちのたたかいへの参加と自分自身の団体の結成
と人権のための戦いとわれわれの世界平和を求める叫びへの参加を呼び掛ける。わ
れわれの時代が来たのだ−われわれは決して逃げない
団結の力を!(斉藤 明子 訳)


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