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「全国障害者解放運動連絡会議・日本脳性マヒ者協会全国青い芝の会総連合会の岡山県知事に対する「抗議並びに質問書」」


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last update: 20151221


全国障害者解放運動連絡会議・日本脳性マヒ者協会全国青い芝の会総連合会の
岡山県知事に対する「抗議並びに質問書」

一九九〇年一月一〇日
岡山県知事・長野士郎殿
抗議並びに質問書

  全国障害者解放運動連絡会議           代表幹事 楠敏雄
  日本脳性マヒ者協会全国青い芝の会総連合会    会長   中山善人

 私たちは障害者を排除・差別抹殺するあらゆる攻撃、とりわけ優生思想に反対し、
障害者の自立と解放をめざして活動している全国障害者解放運動連絡会議(全障連)
および日本脳性マヒ者協会全国青い芝の会総連合会です。
 私たち障害者はこれまで「じゃまもの」「役立たず」として地域社会から排除さ
れ、施設へ追いやられてきました。これらの施設においては障害者は日常的に人間
らしく生きる権利を否定され、希望を持つ自由さえ奪われ、障害者差別に貫かれた
価値観を押しつけられてきました。外出・外泊は著しく制限され、異性による入浴
介護や性的いたずらが公然とまかり通っているのです。また、「治療」の名目で障
害者の主体性を無視した人権侵害も繰り返されています。
 さて、一九八二年に大佐荘において行われたA子さんに対する子宮摘出手術は明
らかに障害者の存在そのものを否定する優生攻撃に他なりません。さらに大佐荘の
職員のレポートでは人間的自由を求めるA子さんの叫びや抵抗はすべて「異常行動」
と決めつけられていますが、これこそまさに施設側の秩序や管理上の都合のみを一
方的に優先させた障害者差別と言わざるをえません。しかもこれまで二度にわたっ
て行われた確認会において貴県側は、この問題が障害者の人権侵害との認識をまっ
たく持たぬばかりか、その判断を医師や専門家のみに委ねるといった無責任な対応
に終始しました。貴県は障害者はこの世に生れてくるべきではないと考えておられ
るのでしょうか。障害者が子供を生み育てることはいけないことなのでしょうか。
障害者が性行為を行なうことはタブーなのでしょうか。あなたがたの認める障害者
とは、自分の思いや怒りを表現したり抗議したりする障害者ではなく、「かわいが
られるおとなしい障害者」なのでしょうか。
 私たちは貴県のこのような姿勢に強く抗議するとともに以下の諸点について質問
させていただきますので誠意ある回答をお願い致します。

                  記
一、今回発覚した大佐荘の問題に対する貴県としての基本見解および行政責任を明
 らかにされたい。
二、貴県の優生保護法、優生思想に関する基本見解および障害者観について明らか
 にされたい。
三、収容施設に関する貴県の見解および今後の施設改善の方向と具体的計画を明ら
 かにされたい。
四、障害者の社会参加・地域での自立を促進するための貴県としての具体的施策を
 明らかにされたい。
                                   以上

 なお、回答は一月二五日までに文書にて下記へお送りくださるよう、よろしくお
願い致します。

…以上…

※『全障連』092(19900129)pp.9-10に掲載されたものを全文引用


REV: 20151221
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