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「昭和五九年度全国大会での「発表レポート」の内容に関する反省と謝罪について」


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last update: 20151221


■昭和五九年度全国大会での「発表レポート」の内容に関する反省と謝罪について

                  岡山県阿哲郡大佐町田治郡三二四五
                  身体障害者療護施設・大佐荘
                            荘長 吉田 政博

 昭和五九年五月一〇日、東京で開催された第九回全国身体障害者療護施設研究協
議大会の第二分科会において、当施設から発表したレポート(処遇困難な事例とそ
の対策)の内容に関し、平成元年十一月、「子宮摘出事件」として新聞紙上で報道
されましたが、この件について、大佐荘では当時の記録および内部関係者の意見聴
取等をもとに事実関係の調査を続けた結果、次のような点において配慮が足りなか
ったと認識しましたので、反省し謝罪する次第であります。
 一、手術は家族及び本人の意思で行われたものであり、大佐荘は事前に知り得な
い状況におかれていました。なお、手術の内容も「卵巣摘出」ではなく「子宮摘出」
の誤りでした。
 全国大会の「発表レポート」において、レポート作成者に以上のような事実誤認
が生じた理由は、経過記録を看護日誌から転記したものですが、看護日誌自体に不
備がありました。母親から産婦人科で手術を行ったとの報告を受けた看護婦が、看
護日誌の既往症の欄に記入するときに病院に確かめることなく、卵巣の手術を推測
して記入したことが原因しています。
 「発表レポート」の手術に関する記述部分に甚だしい事実誤認があり、手術の結
果を「対応の効果」と結びつけて記載したことなど、入所者に対する処遇方針が不
十分であったため、管理者として職員に対して適切な指導・助言が出来なかったと
いう責任を痛感しております。
 二、また、今回発表レポート全文を再検討した結果、次の点において問題がある
と認識しましたので、反省し謝罪する次第であります。
(1)処遇困難事例としているが、これは施設側からの一方的判断によるとらえ方
 であったこと。
(2)異常行動という表現をしているが、これは入所者の様々な要求であり、その
 要求が何であるかということを見つけその原因を解消することが何よりも必要で
 あったこと。
(3)障害の度合いによる様々の行動に対しては、それぞれの状況を十分理解する
 態度が必要であったこと。
(4)レポート作成時の調査が不十分であり、かつ人権意識が不足していたこと。
(5)レポートは情緒不安定及び介護の安定を図るために手術したように受け取れ
 るが、この手術を正当化することは差別につながるものであったこと。
 従いまして、今後、職員指導に関して適正な運営管理体制を整えるとともに、地
域との連携を更に深めるなどして職員ひとり一人の人権意識や科学的な認識力を高
め、より一層、入所者の意志、生活要求の訴えを第一義においた生活環境づくりの
ために最善の努力をする覚悟であります。


REV: 20151221
療護施設  ◇青い芝の会全文掲載
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